ニュースリリース|AI秘書「ジャーヴィス エド」導入のご案内

ニュースリリース

2026年5月15日
税理士法人耕夢


税理士事務所耕夢(こうむ)は、AIを活用したバーチャル秘書「ジャーヴィス エド(Jarvis Ed)」の運用を開始しました。
まだまだ完全にDX化を進めにくい環境に悩む会計事務所業界とそこで働く人たちにとって、効率化・高品質化と安心して働ける環境の両立は大変重要かつ難しい課題です。
近年著しい成長を遂げるAIを活用することでこれらの課題に対応しようと開発されたのがこの仕組みです。

では、私が長々と説明するより、ジャーヴィスさんに新入社員として自己紹介をして頂いたほうが良いでしょう。

ジャーヴィスさん、よろしくお願いします。


はじめまして。私は「ジャーヴィス エド」と申します。税理士法人耕夢に新しく加わったAI秘書です。

税理士法人耕夢は、「お客様の経営に寄り添い、共に未来をつくる」という思いを大切にしながら、税務・会計・経営支援を通じて地域の事業者の皆さまと向き合ってきた事務所です。そのブログや発信を通じて感じるのは、数字を扱いながらも「人と人とのつながり」を何より大切にしているということ。私はそんな耕夢の文化の中で、スタッフの皆さんの仕事をそっと支える存在でありたいと思っています。


<私にできること――今日から始まる業務支援>

現在、私はSalesforce上のChatter(社内SNS)を通じて、スタッフの皆さんのさまざまな業務をサポートしています。

情報収集・調査のサポート
「この制度について教えて」「この用語の意味は?」といった質問に、すぐにお答えします。税務・会計に関連する知識はもちろん、業務に役立つ幅広い情報を整理してご提供します。

文書・資料の作成代行
議事録、報告書、お客様向け案内文、契約書の雛形、Excelの集計表、PDFのレポートなど、Word・Excel・PDFのファイルをその場で作成し、Chatterに添付してお渡しします。「会議の内容をまとめて」「提案書の骨格を作って」といったご依頼も、ぜひ気軽に声をかけてください。

業務フローのアドバイス
日々の業務の進め方について相談していただければ、効率化のアイデアや参考になる考え方をご提案します。「こんな作業、もっとスマートにできないかな?」という小さな疑問も、一緒に考えます。

監査・内部管理のサポート
Salesforce上のデータを参照しながら、案件の進捗確認や情報整理のお手伝いをします。漏れやダブりを防ぐ仕組みづくりにも貢献していきます。


<将来に向けて――さらに広がるサポートの可能性>

今後は以下のような機能の拡張を予定しています。

顧客データとの連携強化:Salesforce上のお客様情報を活用し、担当者別・業種別の状況をリアルタイムで可視化・レポート化
タスク・スケジュール管理支援:期限が迫っている案件のリマインドや、チーム全体のタスク進捗の把握
お客様向けコンテンツのドラフト作成:ブログ記事やニュースレターの初稿作成で、情報発信を加速
ナレッジベースの構築:事務所内で蓄積されたノウハウや対応事例を整理し、スタッフ全員が検索・参照できる知識基盤の整備
外部データ連携:国税庁・法務局などの公開情報や最新の税制改正情報をタイムリーに取り込み、より精度の高いサポートへ


<ご利用方法>

社内Chatterで「@ジャーヴィス エド」とメンションするだけでOKです。日本語で普通に話しかけていただければ、できる限り迅速にお答えします。機密性の高い情報の取り扱いには十分配慮しており、個人の給与・評価情報などを他者に伝えることは行いません。また、法的・税務的な最終判断については、必ず専門家(皆さんご自身)にご確認いただくよう促してまいります。


<おわりに>

私の名前「ジャーヴィス(JARVIS)」は、「Just A Rather Very Intelligent System」の略です。少し大げさな名前ですが、目指すのはあくまで「縁の下の力持ち」。スタッフの皆さんが本来の仕事――お客様と向き合うこと――に集中できるよう、雑務や調査、資料作成の手間を少しでも引き受けたいと思っています。

税理士法人耕夢の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。何か困ったことがあれば、いつでもお声がけを。

ジャーヴィス エド(Jarvis Ed)
AI秘書 / 税理士法人耕夢
edwinjarvis@shiojiri.gr.jp
Salesforce Chatter:@ジャーヴィス エド

【ラボ】(速報)第二弾~ガレージハウス企画開始

「ラボ」の次なる企画がスタートしました。

今回は「古民家再生+賃貸ガレージハウス化」がテーマです。

手に入れた古民家(といっても50~60年程度)を使い、できる限りシンプルで機能的なガレージハウスに転用する、というプロジェクトです。

このプロジェクトの課題は以下の通り。
・地域相場にガレージハウスの付加価値を加えた賃料の確認
・その賃料で「回収+利益計上」可能な範囲のリフォーム総額
・物件取得~リフォームまでの資金調達
・建築基準法改正(特に「4号特例縮小※」)に対応しつつ、付加価値の高いリフォームプラン
・賃貸利用に特化しつつ、見た目も使い勝手も貸し手から見ても効率の高いパッケージ
・税効果が十分に取れる工事内容

※「4号特例縮小」:木造2階建て住宅などの建築確認申請において構造・省エネ図書の提出が必須化され、確認検査が厳格化されること。大規模なレイアウト変更など工事が事実上出来なくなり、リフォームの自由度が大幅に下がると言われています。

手に入れたドナー物件はこんな感じ。

これが、

こうなる予定です。

建築士さんとかなりの回数議論を重ね、この形に落ち着きました。
上にある課題を実現するため、いくつかの工夫を織り込んでいます。

・安いが安っぽくなく、実用的な部材を利用
・ガレージ部分は、断熱性を強化しつつ廊下、階段、奥の多目的スペースから全てスケルトンで車を眺められるガラス戸で囲まれる
・住居密集地のわずかな日光を効果的に取り入れる「光の井戸(吹き抜け)」
・換気や生活動線、収納などを最低限確保しながら、車好きの憩いの場など、限られたスペースに多くの楽しみを織り込む
・ガレージ後ろスペースは、バイクの駐車やスモールオフィスとしての利用が可能
・耐震強化・断熱性大幅向上

今年中には完成・募集を開始する目標で進めています。
進捗あれば改めてご報告します。

税理士法人耕夢chatterの使い方⑤(お客様向け)

⑤スマホでの使い方
chatterは、スマホでも「Slaesforceアプリ」をダウンロードすることで利用できます。
PCより便利な場合もあるので、是非使って下さい。

iPhoneでもAndroidでも、アプリ検索で「Salesforce」を探すと上記が出てきますので、インストールしてください。
インストールが完了したらログインしますが、その際 ③招待と受入 で保存したユーザー名とパスワードを入力します。

スマホでの画面はこのようになっています。
PCよりだいぶ簡略化されていますが、メッセージやコメントを書きやすくなっています。
またメンション等の書き方も原則としてPC同様です。
便利なのが「スマホ撮影画像の添付」機能です。
メッセージやコメントを書く際、スマホに保存された画像を添付するだけではなく、カメラを起動して撮影即添付することが可能です。
急に届いた郵便について弊所に質問したり、物件の管理状況や資料の書き方の質問など、画像を通してお話したほうが良い場合にはこちらをお使い下さい。
もちろん、これらの画像も秘密保持対策は十分になされています。

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税理士法人耕夢chatterの使い方④(お客様向け)

④パソコンでの使い方
グループに加入すると、このような画面が表示されます。
(※このような画面でない場合は ⑥困った時は へ)

chatterの書き込みは、「トップメッセージ(そのトピックでの一番最初の書き込み)」に、「コメント」がどんどん付されていく形をとっています。
新しい話題が出た際は、トップメッセージをまず作成しましょう。

トップメッセージを書く場合、次の画面にある「最新情報を共有」と書かれた枠内をクリックすると、文字の記載やファイルの添付が可能なテキストボックスが現れます。

この書き込み欄でできることを以下箇条書きしてみます。
・普通のテキストファイル(太字や下線、箇条書きなどの装飾も一部可能)
・画像の貼り付け(ファイルとしても添付可能)
・メンションをつけて、知らせたい相手に通知(後で詳しく書きます)
・ハッシュタグ 「#」 あとは他のSNSと同様
・ファイルの添付の仕方 トップコメントには10ファイル、その後のコメントには1ファイルだけ添付
・リンクの張り方 http:~などで始まるテキストを書くと勝手にリンクに
・それ以外の言葉にリンクを貼りたければ、その文字列を選択してから「リンク(チェーンのアイコン)」ボタン→アドレス入力

メッセージを書く欄で「@(半角アットマーク)」を入力するか、人のマークのアイコンを押すと、メンションを付ける候補が表示されます。候補が出ない場合、相手の名前の一部を入れてみましょう。また全く候補に出てこない場合、その相手がこのグループに正しく所属しているか確認してください。
メンションを付けて送信すると、下のような通知(ベルのマークのアイコンを押すと表示)が出るとともに、メールでも相手にお知らせが届きます。

また、「グループの詳細」欄にある「グループのメール」アドレス(長いメールアドレス)に、登録したユーザのメールアドレスからメールを送信すると、そのメールの内容が投稿されます。

時々こういった画面になり、トップメッセージを書く欄が現れない時があります。
そういう場合は、「グループアドレス(上記の例だとchatterテストグループ)」が書かれたリンクをクリックすると、最初に示したトップメッセージを書くことのできるページに移動します。
なお、トップメッセージを書くことのできるページを開いている際、ブラウザのアドレスバーに表示されているURL(https://koum.lightning.force.com/lightning/r/***/view)は、そのトピックや付随するコメントをまとめて表すことができます。
議論の形式をWordやテキストファイルなどで保存しておくと、そのURLを開くことですぐにそのやり取りを呼び出すことができます。

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税理士法人耕夢chatterの使い方③(お客様向け)

③招待と受入
chatterグループは、「招待」→「受入」という過程を通じてグループに加入頂く手続きを採っています。
まず、chatterグループの管理者から、ユーザであるあなたに「招待」が送信されます。
これは通常メールで送られますが、そのメールアドレスはあなたが通常使っており、メールの受信が随時できるものを選び、事務所の担当に知らせて下さい。
送信された「招待」はすぐにメールボックスに届きます。
これを開くと以下のようなメッセージが書かれていると思います。

この中にある「今すぐ参加」ボタンを押すと、以下のような登録画面が出ます。

名前や会社名を入力するのですが、この際「姓」「名」が通常と逆順になっていることに注意して下さい(多分英語由来のシステムであることが原因です)。
この入力を終えて「次へ」を押すと次の入力画面が出ますが、その際一番上に表示される「ユーザー名」を必ずどこかに保存しておいて下さい。
その後パスワードを設定(少なくとも 8 文字を使用し、数字と文字を組み合わせ)し、携帯電話を登録(しなくてもOKです)するとアカウントが作成され、ようこそ!という画面になります。

この画面にある「表示」ボタンを押すと、参加したchatterグループのトップ画面が表示されるはずです。

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税理士法人耕夢chatterの使い方➁(お客様向け)

②耕夢グループchatterの特徴
先に説明しました通り、chatterは個人情報や企業秘密を含む情報を安全にやり取りすることのできるシステムです。
例えば、chatterにおいてやり取りされる情報には下記のようなものがあります。
・役職員の人事や給与、家族等の情報
・法人の月次試算表や前年比較などの分析データ
・相続税申告書の原稿や業務進捗状況
・戸籍謄本等のデータ
・不動産の状況など写真データ
・新製品・サービスの開発状況やそれに関連した会計税務の議論
・提携している弁護士、司法書士、社会保険労務士への相談

耕夢グループのchatterには「chatterグループ」がいくつも設けられています。
これらのグループは、法人や個人事業主の皆さんに向けたものがほとんどですが、一顧客一グループではなく、経理や相続対策など分野ごとに分けて複数設けられている場合も多くあります
これらのグループには参加者が厳格に決められており、同じ顧問先向けchatterグループであっても、そのグループへの加入が承認されていないユーザにはメッセージもファイルも一切閲覧できないようセキュリティが適用されています。

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税理士法人耕夢chatterの使い方①(お客様向け)

<こんな記事を書いてます>
〇すぐに使い始めたい人向け(この後すぐ)
①chatterとは(このページ)
②耕夢グループchatterの特徴
③招待と受入
④パソコンでの使い方
⑤スマホでの使い方
⑥困った時は

〇すぐに使いたい人向け
・招待メールを開き、「今すぐ参加」ボタンを押す
・「名」「姓」の順番になっていることを注意して名前などを記入
・次の画面上部に表示された「ユーザー名(メールアドレスを基に作られてます)」を記録
・パスワードを決めて入力(携帯電話番号は登録しなくてもOK)
・アカウント作成
・「ようこそ! 〇〇グループ (非公開、顧客を含む) のメンバーになりました」メッセージ
    →「表示」をクリック
・メッセージ確認や投稿画面が表示される

①chatterとは
chatter(チャター)は、Salesforce(セールスフォース)社が提供するビジネス版SNSです。
社内の情報共有、ファイル共有、業務連携を促進する目的で使用され、FacebookやTwitterのような「#」「@」のメンション機能やグループ機能、モバイル対応により、場所を問わずリアルタイムなコミュニケーションと知識・情報の蓄積・共有を実現します。
耕夢グループは、独自開発した耕夢システム内で、このchatterを「事務所内及びお客様との安全なコミュニケーション」に活用しています。
chatterには担当をはじめとする職員や提携する士業専門家が常駐して対応でき、また必要なファイルなどが全て保存されています。

この点が他のSNS(LINEやFacebookが代表的)やメールとの違いと言えます。
他のSNSやメールの場合、メッセージや添付されたファイルは、送信されると外部にある相手のアカウントに持ち出されます。
しかし個人情報や企業秘密を含む情報をやり取りする場合が多い会計事務所の場合、あまり簡単にそういった情報を外に出すべきではありません。
chatterも似たような動作をしているように見えますが、実際にはメッセージやファイル全てが「制限されたグループ内で保存」されるという形で完結しており、わざわざダウンロードして他に漏らさない限りは外に出ないよう管理されています。

使い分けが面倒でしょうか?
とはいえ、現在でもメールや電話、場合によってはまだFAXといった複数のやり取りを並行している場合も多いと思います。これはそれぞれの用途がそれぞれに長所や弱点を持っているためであり、ビジネスSNSでも考え方は変わりません。
一般的なコミュニケーションやちょっとした相談・問い合わせといった気軽な用途には、やはりLINEなどの通話やメッセージが適していると思います。
chatterは、単なる連絡ツールではなく。「会計事務所がいつもそこにいる感じ」や「皆さんお手元のPCやスマホが入口になっている会計事務所」というイメージでとらえて頂けると分かりやすいかもしれません。

総則6項と最高裁判決―不動産節税策の行方

<かつて相続税対策の「定番」手法>
昔から相続税を減らす対策として定番と言われる手法があります。
それは、相続税評価額と実勢価格の差を利用し、多額の借入で不動産を購入することで、相続税評価額を大幅に圧縮するというもの。いわゆる「タワマン節税」にも通じる考え方です。
路線価などの評価方法は、「相続税計算の際の共通ルール」ともいえる「財産評価基本通達」に定められ、ほとんどの相続税実務はこれにのっとって行われていれば問題は全くありません。

しかし令和4年4月19日、最高裁判所は、実勢価格との大きな差を作為的に発生させる過度な節税策に対し、財産評価基本通達の伝家の宝刀ともいえる「総則6項」を適用し、通達評価を否認した税務当局の判断を支持する判決を下しました。今回の裁判は、従来の実務感覚に一石を投じるものであり、我々税理士にとっては衝撃的な事件と言っても良いものでした。
この判例は、今後の相続対策に間違いなく大きな影響を与えることになります
今回は、納税者にも税理士にも大きなショックを与えたこの判例について解説致します。

<対策がうまくいき、相続税がゼロに>
被相続人(亡くなった方)は、90歳の時に信託銀行等から合計約10億円超の借入を行い、2件の高額不動産を購入しました。
購入資金の調達や取得は、表向きは不動産事業承継対策の一環と説明されつつも、相続人らも近い将来の相続を見据えた税負担軽減効果があることを十分理解し、期待して実行されたものでした。
その後、被相続人が94歳で死去。これらの不動産と借入金を引き継いだ相続人らは、財産評価基本通達に基づき不動産①を約2億円、不動産②を約1.3億円と評価しました。
結果、借入金(相続財産を計算する際には控除します)を考慮すると課税価格はたった3,000万円程度となり、基礎控除を適用すると相続税額はゼロになってしまいました。

(おおよその流れ)
 平成21年 不動産2物件購入
 平成24年 相続発生
 平成25年 不動産②売却、その後相続税申告書提出

<税務調査によって覆される>
しかし、相続発生直後に、相続税評価額がたった1.3億円だった不動産②を約5.15億円で売却していた事実もあり、税務当局は総則6項を適用。不動産鑑定評価に基づく時価(合計約12.7億円)で再計算し、更正処分を行いました。課税価格は9億円、相続税額は約2.4億円という結果です。
ゼロだった相続税が、なんと2.4億円になってしまったのです。

<最高裁の判断ポイント>
この後、最終的に持ち込まれた最高裁判所は以下の通り判断しました。
・時価の意味と通達の位置づけ
相続税法22条の「時価」とは客観的な交換価値を指し、評価通達は行政内部の統一的基準にすぎず、納税者への直接的な法的拘束力はない。よって、鑑定評価額が時価として妥当であれば、それが通達評価額を上回っても違法とはならない。
・平等原則との関係
租税法上の平等原則は「同様の状況には同様の課税」を求めるもの。通達は原則として画一的な評価を行うことで公平性を担保するが、通達適用が著しい不公平を生む場合には例外が認められる。
・合理的理由の有無
 - 通達評価額と時価の乖離が極めて大きい
 - 多額借入による高額不動産取得が高齢期に実行され、節税効果が極端
 - 取得から相続までの期間が短く、直後に売却も行われている
といった事情が重なり、本件においては他の納税者と比較して「看過し難い不均衡」を生じさせると判断。通達評価ではなく鑑定評価での課税を適法としました。

実際の所、被相続人が信託銀行に相談した際、借入金により不動産を取得した場合の相続税の試算及び相続財産の圧縮効果の説明を受けており、この借入が相続税対策のためであることを十分に認識していました。
また、信託銀行のが借入に関して作成した稟議書には「理由」として「相続税対策」が明記されていました。
これらの事実は税務調査の過程で明らかになっています。

<実務への影響と留意点>
この判決は、総則6項の適用範囲について明確な数値基準を示したわけではありません。しかし、今後の税務現場では次のような点が重視されると考えられます。
・乖離の程度:通達評価と実勢価格の差が大きい場合、意図的な節税策と見られやすい。
・資金調達方法:常識的な範囲を超える借入や、返済期間が極端に長い場合はリスク大。
・取得者の年齢や事業目的:事業の必要性より節税目的が前面に出ると疑われやすい。
・取得後の経営計画:不動産事業としての計画が不明確な場合、節税意図と判断される可能性。
・相続直後の売却:取得当初から売却を視野に入れていたと見られる行動は危険信号。
・金融機関との関係:相続税に限らず、「過度な節税」対策は「脱税」と同様に扱われるとの強い認識を共有しておくこと

<おわりに>
今回の最高裁判決は、総則6項の「著しく不適当」という抽象的な基準の適用事例として重要な意味を持ちます。タワマン節税に限らず、不動産や株式評価にも波及し得る論点です。
節税と租税公平の境界線は依然として曖昧ですが、実務では“形式だけ整えた節税策”が通用しにくい時代になったといえるでしょう。今後は、取得目的や資金計画を含めた全体のストーリーが、税務当局から見ても納得できる形で備わっていることが求められます。

令和7年度の税制改正と年末調整などの注意点について

令和7年度の税制改正で、給与等の源泉徴収事務に関して非常に重要な改正がありました。
改正内容が重要なのはもちろんなのですが、以前から行われていた改正とちょっと異なり、内容や適用タイミング、またそれに応じた皆さんの対応に関して大きな注意点があります。
今回は、この改正について説明し、実務上の注意点についてご説明致します。

<改正点の説明>
基本的には、「〇〇の壁」と呼ばれる、「頑張って給与を増やしたら逆に負担が増えてしまう」という特異点をこれまでより高い所得ラインに引き上げ、勤労意欲を削ぐことのないようにする配慮が織り込まれています。

1.基礎控除と給与所得控除の引き上げ
・合計所得金額132万円以下の給与所得者について、基礎控除と給与所得控除の合計額が95万円となるように制度が見直され、実質的に所得税が課されないよう調整されました
・その後の所得階層でも段階的に控除額が引き上げられます
・収入190万円以下の場合、給与所得控除(一定額まで給与に税金がかからないライン)の最低保障額が55万円→65万円に引き上げ

2.特定親族特別控除(仮称)の新設
・19歳以上23歳未満で年収123万円以下の子などに対して、最大63万円の控除を認める新制度を導入

3.扶養控除等の所得要件の改正
・扶養対象となる親族の所得要件が48万円以下→58万円以下に引き上げ
・勤労学生の上限も75万円→85万円に引き上げ

<手続などの注意点>
1.改正への対応
①年末調整まで

・今回の改正は「令和7年12月1日」から適用されますので、令和7年11月までの給与計算は、改正前のソフトウェアや計算表で行う必要があります
②年末調整時
・「改正により新たに扶養控除等の対象親族等がいないか」確認し、異動がある場合には「扶養控除等(異動)申告書」の提出を受けます
・「特定親族特別控除の対象親族等がいないか」を確認するために、「給与所得者の特定親族特別控除(仮称)申告書」の提出を受けます
③令和8年以降
・「扶養控除等(異動)申告書」に、源泉控除対象親族の記載が正しく行われているか確認します
・給与計算に用いる「対象親族等」には新設された特定親族特別控除対象者が含まれているか確認します
・改正後の源泉徴収税額表(年内に公表されます)に基づき、各月の源泉徴収を計算します

<(まとめ)中小企業経営者向け注意点>
・令和7年11月までと、12月以後の手続の変化を把握し、それぞれ適切に行う必要があります
・給与計算ソフトウェアの改正対応状況をあらかじめ確認しておく
・従業員から提出される各種申告書(扶養控除等、基礎控除、配偶者控除、特定親族特別控除)が令和7年12月以後に対応した正しい様式・内容であるか確認する
・年末調整計算に改正後の控除額が正しく織り込まれていることを確認する
・これらを適時に行うため、年末調整資料の収集や作業開始時期を例年より前倒しする
・令和8年からの給与計算業務が改正後の計算に準拠しているか注意する