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微小ながんも発見する「PET検査」

皆様、PET(ペット)検査という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?
このPET検査、「Positron Emission Tomography」の略で、日本語に訳すと「陽電子(ポジトロン)放射(エミッション)断層撮影(トモグラフィ)」となります。
このPET検査は、特殊な手法で非常に小さく、まだ悪影響の少ない形で除去できる「がん」の発見に役立ちます。
私はこのPET検査を毎年受診しておりますので、検査の説明と関係する制度についてご説明したいと思います。

1.がん細胞の特性
がんは「悪性腫瘍」と呼ばれ、自分の体の細胞が変異して病理性のある腫瘍(できもの)になることを言います。このがん、最初は1ミリ程度の大きさ(発生期)なのですが、育成期には数年かけて1cm~数cmと育ち、その後は急激に増殖、転移などを引き起こします。
ただ、育成期においてもがん細胞は普通の細胞とはちょっと違った特性を持っています。
それは、毛細血管の生成です。
がんは自分が育つために栄養を必要としますので、自分の周囲に勝手に毛細血管を張り巡らして少しでも多くの血液を得ようとするのです。

2.PET検査
PET検査はこの特性を利用します。
毛細血管で集めた血液は、正常な細胞に比べて数倍のブドウ糖を取り込むことになります。
そこで、FDG(フルデオキシグルコース)と呼ばれるブドウ糖に近い成分を体内に送り込んでおくと、このFDGもがん細胞に多く集まります。
実はこのFDG、正確には18F-FDGといい、グルコース(単純な構造をした糖)の-OH(ヒドロキシ基)を18F(弱い放射性を持つフッ素原子)で置き換えてあるので、それ自体から陽子線を発するのです。
これを特殊な機器で撮影すると、がん細胞は正常な細胞より「光って見える」のです。

3.被ばくについて
放射性物質を体内に取り込むのでちょっと怖いのですが、実際の被ばく量は「CT検査程度」と言われています。検査を担当する病院の皆さんはやはりかなり気を付けておられますが、年1回程度の受診のみだとほとんど影響はないようです。
なお18F-FDGの半減期(放射性が半分になる時間)は約110分です。
原発事故で注目された放射性物質(下記)と比較すると非常に短くなっています。
・ヨウ素131…8日
・セシウム134…2年
・セシウム137…30年

4.検査の流れ
問診、準備
病院につくと検査着に着替え、問診を受けます。その際、身長や体重も測りますが、この体重は検査溶液(FDG)の量を決めるのに大事なデータとなります。
採血と溶液注入
次に採血室に移動し、少しだけ採血します。
この採血も、血糖値があまり高いと検査が難しくなるので、必ず行われます。
そして採血針を刺したままアタッチメントを切り替え、数分程度かけてFDGを体内に注入します。
安静室
その後FDGが体にいきわたるまで、安静室にて45分~1時間程度安静にします。
その際、原則として雑誌や新聞、スマホなど、凝視するようなものは使用禁止です。目に血液が集まってしまい、検査に不都合が出るからです。皆さん普段忙しい方々だと思いますので、一瞬世間から隔絶される休憩時間と思って休みましょう。
検査
CTやMRIといった機器に似た装置に横たわり、15分ほど撮影を受けます。
動くと画像がぶれてしまうため、体を動かさないようにしなければならずちょっと辛いかもしれません。
pet_01
<私が受診している中之島クリニックのPET装置>

排出と終了
弱いものとはいえ放射性物質を体内に入れていますので、完全になくなるまでは病院にいる必要があります。注射から2時間程度経過するまでもう一度隔離された安静室で待機、全てが尿として排出されるのを待ちます。
結果の通知
1~2週間したら、自宅に検査結果が届きます。
ここで小さなものが発見されても、慌てず専門の病院を受診、治療を検討しましょう。
検査結果にはこのような写真が入っています。
IMG_4753

上左から順番に体の断面を撮影しています。
この中で、様々な内蔵部分に「光る」部分があればそこが微小であってもがんの可能性がある、ということになります。
但し、脳や膀胱など、元々血液や尿の集まりやすい所は必ず光ってしまうため、別の検査を組み合わせる必要があるようです。

5.医療保険の適用
原則としてPETには医療保険の適用はありません。
安くても10万円程度かかる検査なので、支出としてはちょっと痛いかもしれませんね。
但し、がんが疑われるときなど、医師による指示があった場合には保険適用の対象となり自己負担だけで受診できます。
また、最近の健康保険は「人間ドック助成」のような制度を使い、PET検査についても補助する場合が多いようです。また会社によっては健康保険の補助を超える自己負担部分も会社が負担することがあります。この会社による負担については、従業員への給与(課税)とせず、福利厚生費など税務上の経費とすることが可能です(弊所も同様の制度を導入しています)。

6.生命保険(特約等)との関係
生命保険にはがん等に対応する特約がありますが、これらの中にはがんが発見された場合に一時金を支給したり、その後の保険料を無料にするものがあります。
PETによる発見は治療の容易な非常に初期のがんも発見可能であるにもかかわらず、これらの制度が使える場合が多くあります。

少し費用が掛かりますが、早期発見・治療や医療保険の対応などメリットも多いので、皆様ぜひ受診を検討なさって下さい。

 

一年の総括

歳を取ると一年が早くなると言いますが、まさにそんな気分です。 あっという間に2013年の大晦日となりました。
今年は経済が回復の兆しを見せた年となりましたね。
賛否両論あるようですが、現政権の成果であることは否定できないと思います。

世界的には、政治経済ともに脆弱な状態ですし、周辺国との関係がイマイチ良くないことも不安要因ですが、少なくとも日本国内は経済活動があるべき状態に戻るよう期待しています。
来年4月に消費税率がアップする際の影響をどう抑え込むか、また周辺国との関係をどうコントロールするか(*)、そして世界経済が脆弱ながら安定を続けるか、という基礎的な部分が鍵だと思います。
(*)歴史的に見ても隣接する国同士が「友好関係」を保つことはおかしいので、「冷静に対峙する関係」の継続を望みたいところ。

ということで、引き続き「乱世」を視野に入れつつ今年の総括行きます。

<仕事>
年初より、新しい事務所アイデンティティ(ロゴやWEBページデザイン)をスタートさせ、新サービスの営業活動を開始しています。
この営業活動が成果を発揮するのは来年になりそうですが、既存の分野も順調にお仕事を頂くことが出来、昨年と同レベルの成果を残すことが出来ました。

さて一年間の業務で大きなトピックは「税務調査対策」です。
平成12年あたりから連綿と続けてきた「税理士法第33条の2添付書面」を利用した税務調査対策が完成の域に達し、今年はとうとう所得税、法人税、そしてなんと相続税の税務調査まで「省略」を実現できたのです。
この省略手法は、単に調査の負担を減らす、というだけではなく、顧問先様における「税務リスクマネジメント」が非常に高度なレベルで可能となることを意味します(詳細はこちら)。
今後「私の事務所が関与させて頂ける顧問先様は、税務調査についての心配は一切ない」と断言できるレベルまで完成されました。

なお4月にはマレーシア、6月にはラスベガス+ロサンゼルス、12月にはバリ島+バンコクと、気が付けば4か国も訪問した年でした。それぞれたくさんの経験と成果が得られ、海外分野でも実りの多い年になりました。

<プライベート>
こんな状況ですので、プライベートなんて特筆すべきものはありません…
海外行きの際ホテルや食事を楽しんだり、移動の際バイクを使ったりと、うまく織り交ぜないと難しい状態です。
「日曜日の午後5時ごろ一週間の仕事が終わる」なんて危機的状況を改善するため始めた「週末フリー化計画」は、なんとか「週末の大きな仕事が3つ以内」というところまで来ております(トホホ
唯一、バイクの変更が。G650Xカントリーという小さなバイクから、R1200GS(空冷最終バージョン)という大型オフロードに変わりました。このバイク、日本で売られているBMWバイクの中で一番人気なのですが、その人気にたがわず運転のしやすさ、楽しさはスポーツタイプをしのぐほど。今年は一度大阪-松山往復を試しましたが、疲れは一切ありませんでした。

<体調>
風邪ひとつ引かずに一年乗り切ることを目指していたのですが、5月に問題が起こりました。
突然腹(というより胃)が張って食事が通らなくなり、体のだるさやその他の不調で動けなくなってしまったのです。
が、胃カメラや内視鏡検査まで行って出た結果は「疲れですね」(笑
結局、胃の働きを良くする漢方一発で治りました。
知らない間に疲労がたまっていたようで…
その他は比較的楽に過ごせたようです。
忙しいのは変わらないのですが、疲れを溜めないよう気を付けて来年一年頑張りたいと思います。

<来年の目標>
来年は、今年完成した「税務調査のコントロール力」を、事業承継を中心とした新サービスに加えて、現在の問題解決力をさらに強化、拡大します。
このことで、経営者の皆様の不安を少しでも取り除けるよう、今まで以上に努力したいと思います。
もう一つ、来年は私が監査役を務める会社の上場が予定されています。非常勤ですから常駐する訳にはいかないのですが、会計士・税理士・不正検査士としての経験やスキルをフルに投入して、確実に実現できるようサポートしたいと思っています。

今年もたくさんの方に助けられ、無事楽しく健康で一年を終えることができました。 来年も皆様にとって良い年となりますように。

Le Cheminant Skymaster

先日手元にやってきたちょっと古い時計。
アンティークというべきか微妙なところなんですが、1950~60年代のものです。
時計メーカーは”Le Cheminant(ル・シェミナン)”だそうです。

メーカーについてはあまり有名ではないのですが、問題なのはその「中身(キャリバー)」です。

この時計が使っているキャリバー(心臓部)は、「フェルサ693」という、「両方向自動巻」を世界で初めて実現した点など、結構有名かついろいろな時計メーカーで採用された機械だとか。

フェルサ6**シリーズにはいろいろなバリエーションがあるのですが、その中でもこの機械は「トリプルカレンダームーンフェイズ」と言って、月、日、曜日と月の満ち欠けを表示できる、結構な複雑機構を持ってます。
#但し、月は手動です(笑
しかも、このシリーズでも高級な部類に入る「25石」装備となっています。

アンティウォッチマンさんで見ている時は写真が不鮮明で迷っていたのですが、手元に来てから軽く磨くと、ちょっとしたヤレ感を残しつつキレイな輝きを取り戻し、とても良い雰囲気を醸し出してくれてます。
オーバーホール直後で精度も文句なしですし、値段を考えると、見た目も性能もかなりな掘り出しものでした。

MICRO LUGGAGE

Once upon a time someone said “Segway is the greatest invention in the 21st century”. However, I disagree because that riding device is created just applying precision feedback control technology. And I think true innovation should be based on unpredictable idea for everyone, such as “Heelys“.

 

Ok, this is the one.

It seems just a small transporter with two large wheels, but it’s wrong. Can you see EXTRA WHEELS on the upper end of this luggage?

 

 

This is “Retractable kickboard” integrated on the back of the luggage, which is named “Micro Luggage“.

 

 

Micro Luggage is the most innovative luggage system that carry not only the load but THE OWNER! It can be ridden very easily like an usual kickboard and the steering control is very nice.

Of course the standard functionality as a travel bag is installed, especially many small pockets and soft upholstery are very nice.

 

 

I can’t wait to use this in my business trip!

(緊急)安全な食品と風評被害-仲卸事業者とは何か

1.今何が起こっているのか

食品の風評被害が顕著になってきました。

分かる気もします。そりゃ、訳も分からない一市民としては、放射能だろうが重金属だろうが、少しでも危険のありそうな食品なら(自分はともかく)大事な家族には与えたくないと思うのが当然です。

しかし、今起こっている問題は少し焦点がずれています。

本来安全でおいしいものを安く選びたいという消費者の需要と、その需要に応えるべく努力をする生産・流通からの供給のバランスが保たれているのが健全な経済です。
そういう健全な状態であれば、極端な需要や粗悪な供給は(ある程度)排除され、良い状態に向かっていくというのが古典的なミクロ経済学の考え方です。

「そうなっているじゃないか」とおっしゃるかもしれませんが、私にはどうも(食品に限って言えば)そうなっていないように見えて仕方がありません。
「鮮魚仲卸事業者」という立ち位置を中心に、以下疑問点など書いてみます。

いつもながら長い文章でくどいですが、最後まで読んで頂けると幸いです。

2.鮮魚の仲卸事業者

1)「中抜き」

元々、鮮魚(いわゆる「お魚」)の流通は、こんな形が主流でした。

  産地→産地市場→各中央市場→小売店→消費者

産地で獲れた魚を、産地市場に持ち込み、ここから各地の中央市場(複数段階になることもあります)が仕入れたものを小売店や飲食店に販売、一般消費者に販売するという流れです。

多段階の事業者が関与していますが、この事業者を通過する間に利幅が乗り、少しずつ付加価値が増えていきます。

最近は、このような多段階の流れが「無駄」であるとして、流通の工夫や情報化によって以下のようなルートを取ることも珍しくなくなりました。

 産地→→→→→→→→→大規模小売店→消費者

一見すると、これは「中抜き」する事業者がおらず、消費者にとっては非常に良い結果を生むように思えます。
それでは、単に間に立っている事業者は「中抜き」するだけの「ブローカー」なのでしょうか。

2)仲卸事業者の本当の機能

実はそうではありません。市場、特に中央市場の仲卸事業者は、元々以下のような機能を期待されているのです。

  • 小分流通機能
    卸売業者から仕入れた商品を、市場内での売買参加権のない買付人(小売業者など)向けに小分けして販売する。
  • 評価機能
    専門家としての立場で商品を識別、評価し、価格形成や流通調整の基礎とします。
  • 流通調整機能
    集荷先や供給先を調整したり、一時的に備蓄するなどにより、そのままであれば不安定となりがちな自然産物の供給を安定させます。
  • 価格形成機能
    専門家としての観点から品物を直接評価すること、また需給関係を勘案して適正かつ安定した価格を形成します。

よくお正月にテレビで「初セリ」の模様が放送されますが、あれは古典的な価格形成の一セレモニーに過ぎません。最近はセリを通す取引はかなり少なくなっており、一説によると「TVが季節の風物詩を撮りたいという希望に応えているだけ」という側面もあるようです。

3)現状

ただ、上で述べた「機能」を仲卸事業者自体が失いつつあるのも確かです。

私は一部の仲卸事業者しか知らないのですが、自らが上で述べたような機能を持っていることについて認識していない事業者が多いように思います。また、そのような機能を認識したとしても、いわゆる「中抜き」を大規模小売店に仕掛けられると、中小企業が多い仲卸事業者には太刀打ちできないのが事実だと思います。そんな訳で、統計上仲卸事業者は年々減少しているようです。

  (参考)クローズアップ現代  食卓が変わる?鮮魚の新流通

3.消費者として

私が子供の頃は、まだ魚はスーパーで切り身を買うのではなく「魚屋さん」で買うものでした。
物言わぬ特売シールではなく、魚屋さん(信頼出来ないと駄目ですが)が薦めるモノだったり、出来る人は自分で目利きして買うものだったと思います。

ま、そういうのは面倒なんで、結局スーパーで並んでいるモノを買うだけになってしまった訳です。

それはそれでいいんですが、若干なりとも流通業におけるそれぞれの立ち位置を見ることが多くなってくると、本当に皆がちゃんとあるべき機能を果たしてくれているのか?と気になります。

物量に走り直送を重視する生産地、本来の機能を果たせない仲卸事業者、消費者のニーズを「安い」ことしかとらえきれず、規格の揃った工業製品のように取り扱おうとする大規模小売店、そして旬を忘れ、形の揃ったそれなりのモノがいつも安く手に入ることを当然と考える私達のような消費者。

ここに「適切な価値の認識」ひいては「健全な需給調整」が起ころうはずもありません。

結局、こういう状況に大企業ならではの「事なかれ主義」が重なると、今回のような「風評被害」が起こるのではないかと思います。実際に、テレビで大手スーパーの社員さんが「福島県産のほうれん草についてはすぐ販売を止めました!」と語るところなどは、大企業としての立場は分かりますが流通業としての立場は完全に放棄していると感じざるを得ません。

4.興和水産という仲卸事業者

ここからはお客さんのPRに見えるかもしれませんが、そうではありません。不快な方はスルーして下さい。

大阪市中央市場に、興和水産株式会社という老舗の鮮魚仲卸事業者があります。この会社の河合淳一社長は、若い頃(今でも若いですが)から創業社長の鉄拳修行を受け、魚、特に青物(イワシ類・サバ類・サンマなどの、いわゆる「背の青い魚」を言います)についてはプロ中のプロ中のさらにプロです。

さてこの社長、最近こういうことを始めました。

美味しい~~!!千葉県鴨川の大羽いわし (04/21)

ページのコメントを転載すると、以下の通りです。

今日は、 千葉県鴨川の山平商店から上品の大羽イワシが入荷しておりますが。現在、関西は、風評被害で一部の量販店で千葉県などの魚をボイコットして販売していません。モニタリングでもOKが出ているのですが、私どもでは、産地あっての消費地、消費地あっての産地だと、常々思っております。今、産地をつぶしてしまったら大変な事になります。これからも安心・安全な物であれば頑張って販売して行きたいと思います、それが私達魚屋に出来る一番の支援と考えます。
どうぞ宜しくお願いいたします。
(東京では、普通に販売されております。)

これは本当にすばらしいと思います。
誤解のないように言いますと、私がすばらしいと思うのはこの行動が単に支援をうたっているからではありません。
社長が仲卸事業者として至極真っ当に行動していると思えるからです。

つまり、「プロとして」きちんと安全を確認した上で、「プロとして」産地から必要なモノを調達し、「プロとして」品質=価格を保証することができるという仲卸事業者の本来果たすべき機能を淡々と果たしている訳です。

これに対して、放射能と放射線の違いも分からず、「なんか出た」だけで「とりあえず止めてしまえ!」と逃げ腰の人たちは、結局の所普段から十分な付加価値を生む仕事をしていなかったのではないかと勘ぐりたくなります。

私は、この社長のように「まともなプロ」の「目利き」を信じたいと思います。

以上、取り急ぎの記事でした。