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今年の年末調整は大変!(改正とその他のお話)

今年も年末調整の季節がやってきました。
ここ数年「新元号」「配偶者控除の改正」やそれに伴う用紙の変更などがあり毎年注意点が多かったのですが、今年はさらに永年大きく変わらなかった論点(基礎控除や給与所得控除)にまで改正がある大変な年になります。
改正論点を中心にわかりやすく解説しますので、経営者や給与担当の方は是非早めに手続きのスタートを、また働く皆さんはできるだけ早めに資料の提出をしましょう。

1.年末調整とは
年末調整とは、年末に在籍している役員・社員を対象として、毎月の給与や賞与から「天引き」(源泉する、といいます)されている所得税を、年末に精算する手続きのことを言います。
この精算が必要な理由は、主に以下の通りです。

  • 所得税の計算は年末時点を基準にしているものがほとんどで、年末にならないと状況が確定しない
  • そもそも、毎月の給与や賞与から計算されている税額は「仮計算」でしかなく、年末までの支給額を確定しないと正確には税金が計算できない

年末調整2020
年末調整の流れ(国税庁「年末調整のしかた」より)

実はこの年末調整、上のフローチャートをご覧頂くとわかる通り、皆さんが記載される面倒な用紙(扶養控除等申告書、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、所得金額調整控除申告書、保険料控除申告書、住宅ローン控除申告書)の作成はプロセスのほんの入り口なのです。そして実はその後の手数が非常に面倒なため、会社側(特に人事部や経理部)には結構負担がかかっています。

このため、遅れたり督促されたりした場合に担当の方が不満な顔をしていても、ただでさえ面倒な手続きをさらに遅らせているわけですからわからないでもありません。
その入り口となる書類についてはできるだけ誤りや抜けのないよう、期限までに必ず出すよう協力してあげましょう。

2.令和2年から適用される改正一覧
今年(令和2年)から適用される改正は、以下の通りとなっています。

  • 給与所得控除の引き下げ
  • 基礎控除の引き上げ
  • 所得金額調整控除の創設
  • 配偶者控除、扶養控除などの合計所得金額要件の見直し
  • 未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し
  • 電子手続

3.給与所得控除の引き下げ
給与については、支払いを受けた給与額から、給与額に応じて変動する一定額を差し引いた金額に税金をかけることになっています。この「差し引く一定額」を給与所得控除と言います。
この給与所得控除の計算表が、下記の通り改正されています。

給与所得控除改正
給与所得控除の改正

 この表は慣れないとわかりにくいのですが、給与収入が増えるに従って、少しずつ給与所得控除額が増えるように作られています。
改正前後を比べてみると、給与収入が850万円までは給与所得控除が10万円減少し、その後は25万円まで減少幅が広がるように改正されています。
その分所得税が増えることとなりますが、後で説明する基礎控除の改正、所得調整控除の創設により一部増税の影響を打ち消すこととしています。

4. 基礎控除の改正
所得には全て税金がかかるわけではなく、「基礎控除」と呼ばれる最低ラインが設けられています。この基礎控除については、長い間どんなに所得の高い人であっても適用がなされてきたのですが、下記の通り合計所得金額2,500万円を超える方についてはとうとう適用がなくなってしまいました。
他方、2,400万円以下の所得者については10万円増額されています。

基礎控除改正
基礎控除の改正

この金額を計算するため、従来の年末調整書類に加え「給与所得者の基礎控除申告書」という用紙に記入の上提出する必要があります。

 5.所得金額調整控除の創設
その年の給与の収入金額が850万円を超える所得者で、
①特別障害者に該当する人
②年齢23歳未満の扶養親族を有する人
③特別障害者である同一生計配偶者を有する人
④扶養親族を有する人
の総所得金額を計算する場合には、給与の収入金額(但し1,000万円が限度)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、給与所得の金額から控除することとされました。

この金額を計算するため、従来の年末調整書類に加え「所得金額調整控除申告書」という用紙に記入の上提出する必要があります。

6.配偶者控除、扶養控除などの合計所得金額要件の見直し
いわゆる「扶養の対象」である、同一生計配偶者、扶養親族、源泉控除対象配偶者、配偶者特別控除の対象となる配偶者及び勤労学生の合計所得金額要件がそれぞれ10万円引き上げられ、次の表のとおり改正されました。これは、基礎控除の最低限度が4.の通り引き上げられたことに関係したものです。

扶養所得条件改正
配偶者控除・扶養控除合計所得金額改正

 7.未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し
配偶者と死別したり離婚して未婚のままであったり、扶養家族や子供がいる人、所得が一定の額以下の人を所得税法上「寡婦」や「寡夫」(両方とも「かふ」)と呼び、その条件に応じて課税所得が控除されることになっています。この制度、従来は女性の要件が少し広くなっていたり、全ての要件を満たす女性は控除額の割り増しがあったりと、男女差のある制度となっていました。
また、この制度の適用があるのは「民法上の婚姻関係にある者」に限られ、未婚のひとり親については対象となっていませんでした。
令和2年の改正においてはこの点が見直され、「ひとり親控除」と新しい「寡婦控除」制度に再編されました。
この改正については、別のページ ひとり親控除(令和2年 税制改正) において詳しく解説しています。

8.年末調整の電子手続
元々、「保険料控除申告書」や「住宅ローン控除申告書」を従来は書面(ハガキ等)で添付していた保険料控除証明書等は、保険会社等から送られる控除証明書等の電子データで提出することができることになりました。この手続を可能にするため、年末調整手続において、これらの電子発行された控除証明書等データ提出するための「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(以下「年調ソフト」が無償提供されています。
年末町営の電子申告イメージは下記の通りです。

年調電子化

 

なお、従業員から年末調整申告書に記載すべき事項を電子データにより提供を受けるためには、勤務先があらかじめ所轄税務署長に、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、その承認を受ける必要があります。この申請書を提出した月の翌月末日までに税務署長から承認又は承認しないことの決定の通知がなければ、この申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとされていますので、例えば12月から年末調整手続の電子化を行う場合には、念のためこの10月末までには申請書を提出しておく必要があります(10月提出→決定通知がない場合には翌月、すなわち11月末日に承認があったものとみなされる→12月から利用可能)。

 

9.その他以前からの年末調整注意点 (改正で説明した書類を除く)
①扶養控除(異動)等申告書

年末調整においては最も一般的な様式で、要するに「年末時点での扶養家族について書く」書類です。しかしこの様式は意外と重要で「(仮に記載すべき扶養家族がなかったとしても)提出しなければあなたの毎月の源泉所得税額を非常に大きな率で計算しなければならなくなります。
なお年末時点の扶養家族状況はすなわち年明けの状況なので、それを考えて来年用(今年なら「令和3年用」)の用紙に記載してもらいます。

②配偶者控除等申告書の書き方
年末までの「本人と配偶者の所得見積額」を記載します。
配偶者控除、配偶者特別控除が前回の改正で廃止され「103万円」の制限がなくなったため、より複雑になっています。なお、年末までに実績が見積額と変わった場合は、翌年1月(源泉税の納付や源泉徴収票の提出)までは会社が訂正するか、または自分で確定申告が可能です。

③保険料控除申告書
保険料控除申告書は、生命保険料、地震保険料、社会保険料(国民年金や健康保険料)、小規模企業共済などを自分で支払っている時に記載します。また受取人が配偶者や親族となっている生命保険料や、生計を一にする親族の家屋を対象にした地震保険料が含まれます。
この控除証明書を提出する際には、証明書の添付、特に生計を一にする親族の国民年金支払証明書を忘れないようにしましょう。また、控除証明書に記載してある区分(生命保険の一般、個人年金、介護や地震保険の地震、旧長期など)についても十分注意して記載しましょう。

④住宅ローン控除申告書
正式には「住宅借入金等特別控除申告書」と言います。
ご存知の通り、この制度は住宅ローンを借りて家を購入した場合、数年に渡って住宅ローン残高の一定割合を所得税から控除してくれる制度です。しかし、1年目は必ず確定申告で手続きしなければなりませんので注意して下さい。

自己株式取引における「時価」の考え方(弁護士・会計士・税理士向け)

株式会社が自己の発行する株式を株主から買い取ることがあります。
上場会社の場合株価対策や株主への還元を目的とすることが多いですし、非上場会社の場合は筆頭株主支配の強化、相続人からの買取による株式分散の防止、組織再編などの目的が多いようです。
今回は、この株式を買い取る際の「時価」の考え方について説明します。
この記事は専門性が高いため、内容は会計士や税理士といった会計専門家、また弁護士などの法律専門家に向けて記載しました。

株式をそれぞれの発行会社が買い取る(自己株買取)際には、その取引価格をどのように決定するかが問題となります。特に、当該取引は同族関係者間での取引ですから経済合理性に基づかない価格が設定されると課税上の問題が発生する恐れがあります。
これに加え、完全支配関係下(100%支配グループ内)における取引の場合には、グループ法人税制の適用が想定されますので、この論点にも注意する必要があります。
以下、上記を踏まえて自己株式を取引する場合(非上場会社)の時価の考え方について説明します。

1)法人間における非上場株式取引
法人対法人で非上場株式を譲渡する(自己株式ではない)場合、一般的には相続税の申告において株式の時価評価に使用する「財産評価基本通達」の178から189-7にある方式を「課税上弊害が無い限り」一部修正して計算するのが原則です。この場合の時価を「法人税法上の時価」と呼びます。この場合、譲渡後の議決権割合を基として計算方法が決定されます。議決権を基礎とするのは、株式会社においては議決権割合こそが会社を支配する力を表すからです。

2)グループ法人税制適用外における自己株式取引
ところが、自己株式の取引に関して上記1)を厳密に適用すると、議決権の数は0として規定されている(財産評価基本通達188-3)自己株式を取得した場合、最も評価の低い「配当還元方式」で評価されるべきという考え方となってしまいます。
しかし、通常の取引において十分な価値を持つ株式の場合、自己株だからといって非常に評価の低い金額で取引しても問題がないと言い切ってしまうのも問題があるため、「譲渡前の議決権数」を基礎として1)を適用する考え方が(理論的には完全ではないものの)実務的には多く使われているようです。
なお、自己株式取引において低額譲渡(時価とされる金額より低い価格で取引)の問題が発生した場合、譲渡側の法人には寄附金課税が見込まれるものの、譲受法人にとっては資本取引の為、受贈益課税が発生しないと考えられています。

3)グループ法人税制適用下の取り扱い
さらに、グループ法人税制適用下においては、自己株式の譲渡損益が資本金等の額に加減算され、課税所得に算入されないことになりました(平成22年改正税法)。また、グループ法人税制適用下においては、自己株式取得に伴って発生するみなし配当(株式を買い取る場合、資本にあたる部分以外を配当支払とみなす)も全額が益金不算入となります。
また、グループ法人税制適用下の寄附については、税務上なかったものとみなされ、支出法人側で損金不算入、受取法人側で益金不算入とされます。但し、この取扱いが適用される寄附金と受贈益は、一方の法人において寄附金となり、他方の法人において受贈益となるものに限られます(法法25の2①括弧書き、37②括弧書き)。このため、一方の法人においてのみ寄附金の額が発生し、他方の法人においては受贈益の額が発生しないというようなもの(前述)で発生する譲渡法人の寄附金課税)に関しては、この取扱いは適用されず、一般的な寄附金課税となると考えます。

合併手続の留意点~合併無効とならないために

近年組織再編に関する法整備が進み、合併、分割、株式交換・移転といった組織再編手法が大変使いやすくなりました。
その中でも、昔からよく使われている「合併」については、基本的なM&A手法として大変便利な手法であると言えます。
しかしながら、合併については会社法に規定された手続を正しく進めなければ、それ自体が無効となってしまうリスクがあります。もし無効となった場合、単に手続自体が無駄になるだけではなく、合併を前提に進められている様々な契約や事業活動が全て合併前の状態に戻されるため、甚大な悪影響があります。

今回は、このようなことがないよう、満たされるべき最低限の手続について記載してみました。
※税理士の分野である税法やその他の分野に関してはまた別の機会があれば記載します。

①合併のスケジュール
合併手続はおおよそ下記の通りの手順で行われます。

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これらの合併手続は会社法に規定されており、これらの手続に従わなければ合併を行うことはできません。この手続や登記申請書の添付書類に瑕疵がある場合、合併自体が中断する場合や、のちに合併無効の訴えにより遡って無効となる場合があります。

合併手続が中断、中止する場合はもちろん問題ですが、遡って無効となる場合には、合併を前提に進められている様々な契約や事業活動が全て合併前の状態に戻されるため、甚大な悪影響があります。このため、合併手続が登記まで適切に行われているかどうかについて、下記の手続を中心に十分注意する必要があります。

②合併契約の締結
合併契約には、消滅会社の株主に交付する対価や効力発生日など、法律で定められた事項を漏れなく決定しなければなりません。合併契約には法定の必須事項があり、この必要事項を欠くと合併の無効原因になります。また合併契約書は合併登記申請における添付書類となります。

③合併に関する書類の事前備置
存続会社および消滅会社は、株主や債権者が合併の適否や合併無効の訴え提起を判断できるよう、合併契約や当事会社の計算書類など一定の書類を本店に備え置かなければなりません。備え置く期間は合併の効力発生日後6ヵ月を経過するまでです。

④債権者保護手続
存続会社および消滅会社は、債権者に対して合併に異議があれば一定期間内に申し出る旨を官報(一定の場合は日刊新聞紙、電子公告)で公告しなければなりません。異議申出の期間は1ヵ月以上必要です。

⑤株主の株式買取請求
存続会社および消滅会社は、合併の効力発生日の20日前までに株主に対して合併する旨の通知(一定の場合は公告)をしなければなりません。

⑥株主総会による合併契約の承認
合併契約は、合併の効力発生日の前日までに存続会社および消滅会社の株主総会で特別決議による承認を受ける必要があります(但し簡易合併、略式合併の場合は、原則として株主総会による決議を省略できます)。

⑦登記・財産等の名義変更手続
存続会社の代表者は、合併の効力発生日から2週間以内に、存続会社の変更登記と消滅会社の解散登記をする必要があります。また、消滅会社の権利義務はすべて存続会社に移転するため、預金、土地および建物など、消滅会社の名義になっている財産等については存続会社への名義変更が必要です。

⑧合併に関する書類の事後備置
存続会社は消滅会社より承継した権利義務や合併手続の経過等を記載した書類を作成し、効力発生日から6ヵ月間本店に備え置かなければなりません。

⑨手続瑕疵の影響
上記の手続に瑕疵(かし 欠陥のこと)があった場合には手続の無効原因となり得ますが、その瑕疵が重大でない場合でも必ず合併が無効となるわけではありません。瑕疵が発見された場合には、合併手続に詳しい弁護士、司法書士などの専門家から無効性について意見を聴取した上で対処を判断する必要があります。

 

役員のお給料、そのやり方で大丈夫?結構危ない3つの注意点

役員のお給料は、従業員のそれと違って、法人税法上非常に重要な制限があります。
一つ間違えば、せっかく払った給料が会社の経費にならず多額の税金がかかる!なんてことが簡単に起こります。この制限を知って、無駄な法人税の発生を押えましょう!

※このコラムは一般向けのため、例外や詳細な条件などを省略してある部分がありますのでご注意ください。詳細についてのご質問は、事務所までお問い合わせ下さい。

1.役員の給料と従業員の給料の違い
会社のために仕事をしたら、お給料は当然もらえるものです。
ですが、一般の従業員さんと役員さんでその意味が違う、という点は御存じですか?
一般の従業員さんのお給料やボーナスは、原則として会社の費用(法人税法上は「損金」と言います)になるので法人税を減らせるのですが、役員さんはそうはいかないのです。
役員さんのお給料については大きく3つの注意点があるので、是非ご注意ください。

2.(注意点その1)役員のお給料は「原則経費ではない」
意外なことに、法人税法には「役員のお給料は『原則として』損金(税金の引ける経費)にならない」という驚きの定めがあります。
でも、おかしいですよね。
会社のために働いて、その分がお給料として支払われているので、会社の経費にならないのはどう考えても変です。
実は、会社の経費にするためには、次の3、4についての条件を満たす必要があるのです。

3.(注意点その2)役員のお給料は「定時」「同額」でなければ経費にならない
「原則経費にならない」とされる役員のお給料は、「定時(毎月決まった日など)」に、「同額(金額が変化しない)」支払の場合に限って経費になります。
例えば、毎月25日に100万円のお給料を支払っている方の場合、ある月だけ120万円にしてしまったら、増えた20万円部分が経費にならないのです。
このお給料を全額損金のまま変更できるのは、なんと決算日後3カ月までの間だけ。

役員給与1
増額変更がOKのケース(3月決算の場合)

これ以外の場合は、上で書いたように変化した部分が経費にならないという問題が起こってしまいます。例えば、下記のようなケースの場合、8月以後増やした部分(点線より上)が全部損金にならないのです。

役員給与2
増額
変更がNOのケース(3月決算の場合)

4.(注意点その3)役員のボーナスは、「あらかじめ届け出た金額」から1円でも違えば経費にならない

定時・同額という事ですから、ボーナスはもってのほかです。
出した金額が全て経費にならない、という大変痛い状態となってしまうのです。
但し、決算期末から4カ月以内に「いつ、幾らのボーナスを出す」ことを書いた「事前確定届出」を税務署に出し、その届出通りの支払日、支払金額のボーナスを出した場合に「限り」そのボーナス金額が経費になります。
如何でしたか?
以上の通り、役員さんのお給料については、一般の従業員と非常に大きな違いと注意点があります。
この他にもたくさんの論点がありますので、十分にご注意ください。

 

「会計専門家でない」監査役、監査等委員取締役は「会計上の見積り」にどう対応すべきか?

以前「監査等委員会設置会社へ移行した場合、ここに注意」 という記事を書き、監査役会制度と監査等委員会制度(以下「監査役等」制度とします)における法律、実務上の違いとその対応について説明しました。
制度自体の本質的目的への疑問や批判はありますが、今後の企業にとって「ガバナンス強化」という方向性が必要なことは明らかであり、監査役や監査等委員(この記事においては「監査役等」とまとめます)にとっては、これまで以上にその役割が重視される時代になっていると思います。

そうなると、「では監査役等はどのように監査すべきなのか」という論点が重要になってきます。

さらに法や会計に関する制度や実務が複雑化している今、監査役等はどの論点においても非常に難しい判断を迫られていると言えます。

会計分野はその中でも非常に重要かつ複雑と言えますが、その中でも特に専門的な分野である「会計上の見積り」という論点については、会計監査人たる監査法人や公認会計士に「任せきり」なのが実情で、リスクに比較して監査役等の理解、対応が十分とは言えないと感じています。

そこで今回は、この論点についてその概要とリスクの重要性、そして監査役等がどのような姿勢で、如何に対応すべきかについて、「会計の専門家でない」方でも理解、実践できるよう簡単に説明したいと思います。
以前記載したコラムの3回分をまとめてあるためかなり長くなりますが、是非ご一読ください。

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1.会計不正とは何か

最近特に注目を集めている会計不正。この会計不正はなぜ発生するのでしょうか。
投資家が株式に投資する際、最も重視する資料の一つが「決算書」です。
決算書は、会社が持つ現在・将来の「稼ぐ力」を見出すために必須のデータがふんだんに盛り込まれています。基本的に投資家は、このデータとその他の情報を組み合わせ、投資判断を行っているのです。

そうなると、この決算書を「実態より良く見せる」行為(古くから「粉飾」と呼ばれてきました)は、投資家を欺いて資金を得る、本質的には詐欺と同様の悪い行いであると言えます。
このような行為を、一般に「会計不正」と呼びます。

2.会計不正の類型

この会計不正、実は大きく分けて3つほどの類型があります。

①虚偽の事実に基づいて会計処理するもの
②子会社や関連会社、協力会社等を利用して損失を繰り延べるもの
③「会計上の見積り」を悪用するもの

このうち、①には、在庫の水増しや、架空売上などが当たります。実際に存在しない在庫や売上を計上することで、財産や利益を実際より増やして見せる、最も古典的な会計不正です。

売上から仕入や経費を差し引いたのが利益なのですが、仕入れた商品のうち決算期末に「在庫(まだ販売していない)」となっているものについては、「売上から差し引く仕入」に含まないことになっています。

このため、仕入は実際の金額を計算しておき、在庫を実際より不正に増やしておけば「売上から差し引く仕入」が少なくなり、結果として利益が水増しされるのです。

増やした在庫は実態のない資産として計上されますから、上の水増しされた利益と合わせて二重に会社の「稼ぐ力」を過大表示していることになります。

また、②には、損失の「飛ばし」や、循環取引(特定のグループ内で売上をぐるぐると回し、損失の発生などを先延ばししていくこと)が当たります。

これらは昔からよく行われる会計不正ですが、①は実地棚卸(棚卸資産を実際に数えて集計すること)や売掛金の確認(取引先に売掛金残高がどれくらいあるかを問い合わせること)で判明しますし、②に関しては子会社の監査や、通常と異なる条件の取引を調査することである程度見出すことが可能です。

これに対し、③に挙げた「会計上の見積り」の悪用が行われていることを監査によって発見するのは大変難しいのです。それは会計上の見積りが一般的に可視化できる事実とは離れた、「将来の予想」という重要な概念から作られているからです。

以下、もう少し詳しく説明します。

 

3.会計上の見積りとは

会計上の見積とは、一般に会計で取り扱う「売上」や「費用」といった個別の取引に関するものではなく、いくつかの概念を含んだ少し広い意味合いを持つ考え方です。

この会計上の見積について、日本公認会計士協会は、WEBページにある解説(「会計上の見積りの監査」)内で次のように説明しています。

財務諸表に含まれる金額のうち、将来の見積や既に発生している事象であるがその金額を確定するための情報が不足している場合など、決算上、金額を見積もって計上しなければならない場合を「会計上の見積」という。

この見積りには正しい情報が必要ですが、経営者が利用可能な情報やその信頼性には様々なものがあり、結果として会計上の見積りには不確実性が伴います。

単に不確実性が大きいだけではなく、経営者が利用する情報を偏って選択した場合、重要な虚偽表示(不正)が発生する可能性が高くなるのです(国際監査基準第540号より)。

会計上の見積りが関係する論点はいくつかありますが、以下、その例と想定される不正の可能性をいくつか挙げてみます。

①工事進行基準による収益計上

工事進行基準とは、工事やソフトウェアの開発等の売上を「完成した時に計上する」のではなく、その進捗に応じて計上する方法を言います。

総額100億円の工事を3年で進める場合、1年目の進捗が30%、2年目が45%、3年目が25%だったとすると、それぞれの年度における売上高(完成工事高)の計上額は30億円、45億円、25億円となります。

また、仮に工事が何らかの理由で赤字となることが分かった場合には、その赤字は進捗で分けずに全額が一度に計上されます。

この工事進行基準には、主に「収益総額」「原価総額」「進捗度」という3つの見積り要素が必要ですが、これらを操作することで、各年度の売上や利益を実際より大きくすることが可能になります。

②貸倒引当金

貸倒引当金とは、取引先や貸付先から将来どのくらい債権が回収できるかを見積り、あらかじめその債権を「仮に」減らしておく方法を言います。通常なら債権は全て回収できるものですが、相手の財務状況が悪くなるとこの減額を検討しなければならない場合が出てきます。この「仮に」減らしておく部分が「引当金」です(実際に貸し倒れが起きると、「貸倒損失」として処理します)。

例えば、10億円を貸し付けている先が経営不振で資金ショートを起こしそうな際、担保などを見積もっても3億円しか回収できない可能性がある場合、帳簿に計上した10億円はそのままで、負債の部に7億円の引当金を計上します。このネット額3億円が「回収見込み額」となり、引当金とした7億円部分は「費用(損失)」として利益を減らします。

この「回収可能性」は、「見積の見本市」とも言えるほどたくさんの論点があり、それぞれを操作すれば驚くほど大きな結果の差すなわち利益への影響となって現れます。

 

③税効果会計の繰延税金資産

税効果会計は相当難しい論点のようで、弁護士や企業経営者からもたまに「繰延税金資産って一体何?」なんていう質問を受けます。

会計の理論としては非常に複雑なのですが、シンプルに要点を説明しますと、以下の通りになります。

  • 会計で計算される「利益」と、法人税率を掛ける「所得」とは違うものである
  • その違いは、主に費用計上が認められるタイミングのズレによって生じる(たいていは会計の方が早く費用計上される)
  • 会計で費用を計上しても、法人税で費用計上が認められないとなると、認められない部分については、とりあえず先に法人税を払っておかなければならない
  • この「先に払った」法人税(これを法人税の前払と言います)については、将来費用が認められるまで会計上は費用として計上できない

上記の「法人税の前払」部分が、「繰延税金資産」と呼ばれているものにあたります(逆に法人税の未払に当たる部分が「繰延税金負債」です)。

支払った法人税から、会計上費用にできなかった部分、すなわち繰延税金資産にあたるものを差し引いた結果がその時期の税金費用となりますので、差し引いた分だけ税金費用が減り、利益を押し上げる訳です。

もちろん、問題となった支払などが将来会計上の費用として認められれば、対応する繰延税金資産は会計上その時の税金として計上されることになります。

ところがこの「法人税の前払部分」は、いつでも利益を押し上げる効果があるとは限りません。

法人税において認められなかった費用の計上が将来認められる時点で、もし企業が赤字と予想されたらどうなるでしょうか。

後で認められた費用が減らすべき法人税はそこになく、繰延税金資産として計上されていた法人税は「前払」としての意味を無くしてしまうのです。となると、前払という意味で計上された繰延税金資産は資産として扱うことは出来ず、利益を押し上げる効果もなくなってしまうのです。

この考え方を「繰延税金資産の回収可能性」判断と言います。この判断にも「将来の収益の見積り」という、非常に恣意性の入りやすい考え方が含まれています。

④退職給付会計

退職給付会計は、税効果会計よりさらに複雑な理論を抱えています。ですが、これもシンプルに説明するなら下記の通りになります。

  • 現在雇用している人たちの退職金(規定や年金の状態で決まります)が将来どれくらい必要かを見積り
  • それをきちんと払うには「現在」どれくらいの財産が必要かを見積もる
  • これらの見積りに基づいて、現在足りない部分については費用を計上しておく

ご覧の通り、退職給付会計には「将来の退職金」と「それを払うための必要財産」という2つの見積りが必要です。

前者については退職金支給方法や昇給率、退職率、死亡率などを使用して計算するため非常に理論的に難しく、絶対の正しさとは言えないものの、年金数理士(アクチュアリー)など専門家に依頼することで、ある程度恣意性を排除した計算が可能となっているようです。

後者において問題となるのが「割引率」と言われる論点です。

現時点で計算すると、退職金を支払うための財源が10億円足りないと計算された場合でも、必ずしも今すぐ10億円準備しておかなければならない訳ではありません。投資利回りや期間を考えると、今これだけ準備すれば将来10億円になっている、という金額(現在価値)が計算できます。

この現在価値を計算する際に必要となるのが「割引率」です。この割引率の決め方にも一定の基準があるのですが、少しの操作で極めて大きな影響を与えることができるため、要注意の要素と言えます。

⑤減損

企業が持っている資産は、基本的に「稼ぐため」にあります。株主や銀行などから得た資金は、期待される以上の割合(投資利回り)で稼がなければ、営利を目的とする企業が存在する意義の一つが大きく失われるからです。

しかし、投資した資産(工場や有価証券など)が期待した収益を上げる事が出来なくなってしまうと、その時点で資産の価値は大きく下がってしまいます。現在の会計は、そのような兆候がある場合には、予想される収益の低下に応じて、資産自体の金額を引き下げてしまい、その引き下げた金額を損失として計上するように求めています。

これが、減損と言われるものです。

この「減損の兆候」を判断する際や、「予想される収益の低下に応じた資産の減額」を計算する際にも、会計上の見積りが大きく影響します。収益の低下を小さく見積もることができれば、大きな減損損失計上を回避できる場合があるからです。

その他、会計上の見積りが影響する分野は、減価償却計算、担保等で受け入れた資産の帳簿価額、各種引当金、リース資産の現在価値、市場価額のない有価証券の時価や国際会計基準における公正価値などたくさんあります。

4.監査役等の役割と対応

①監査役等と会計上の見積りの監査

会計上の見積りの計算には、経営者の意思決定や将来の見通しに基づく判断部分が大きく影響するので、場合によっては以下のような問題が発生します。

  • 会社の業績に与える影響が重要な場合、経営者の恣意性によって見積りがゆがめられやすい
  • 経営者は内部統制を無効化できるため、従業員を対象とした領域における内部統制システムの整備は、会計上の見積りを利用した会計不正には意味をもたない場合が多い

となると、会計上の見積りを悪用した会計不正に立ち向かうためには、経営者と直接対峙する権限や姿勢が必要となるのです。

このことから、たとえば監査法人等の会計監査人は、単に会計上の見積りの合理性を監査するだけではなく、「経営者が会計上の見積りを行う際に使用した重要な仮定が合理的であると判断しているかどうか」を「経営者確認書」という文書によって確認し、一定の牽制を掛けることにしています。

 

しかし、会計監査人は常に会社の内部と接触している訳ではありませんし、基本的には資料調査や従業員等へのインタビューのみに基づいて行われる会計監査で、経営者の意思が強く働く会計上の見積りを悪用した会計不正に100%対応など出来るものではありません。

また会計上の見積りに会計監査人が疑義を持ったとしても、経営者からある程度の外見的合理性をもって説明されたら、それを明らかに否定するだけの強い反証を用意することは極めて難しいのです。

また残念ながら、公認会計士たちも「不正」に真正面から対峙するようになってまだ日が浅く、対応が発展途上なのです。(「不正事例の研修を会計士に義務化 公認会計士協会 関根新会長」日経新聞記事)。

ここで私は、監査役等の役割がさらに重要になってくると考えています。

監査役等は、取締役会を筆頭に社内の重要会議に出席していますし、また通常は経営トップ層とも密なコミュニケーションを取っています。

このような立場に居る監査役等は、会計上の見積りを悪用しようとする兆候を最も早く感じ取ることができると言えます。

逆に、「対応しなければならない」という考え方もあります。

私のように会計が専門(公認会計士)である監査役等は言うに及びませんが、会計の専門家ではない方であっても、会社法における責任は専門家である者と変わらないと言われています。「私は会計の専門家ではないから分からない」と言っていてはいけないのです。

②監査役等の対処法

とは言ったものの、会計の知識なく会計の、しかも最も難しい分野の一つである「会計上の見積り」について、その合理性に関する判断を下すのはとても困難であるのも確かです。

そこで、そのような監査役でも対応が可能な方法をいくつかご紹介、ご提案してみます。もちろん方法はこれだけではありませんが、是非ご自身の能力をフルに発揮して対応してみて下さい。

a)トリガーを探る

会計上の見積りが必要となるシチュエーションには、往々にして「将来の損失発生可能性」がついて回ります。例えば、リストラ、投資の損失、退職金、貸し倒れなどがそれに当たります。

このような損失の発生可能性は、経営者をして会計上の見積りをゆがめさせる、悪いモチベーションとなり得ます。
そこで、監査役等は「近い将来損失になりそうな事象の発生可能性」について常にアンテナを立てておく必要があります。

もちろん、その事象がどれだけ損失を生むかという定量的な影響については、会計の知見を持つ監査役等、監査法人と協議することが必要です。

最も強力な情報源は「取締役会」や「重要会議」におけるやりとりですが、これ以外にも業界や競争相手の動向、場合によっては取締役以外の現場職員からの情報なども有用となる場合があります。

b)「質問力」を磨く

良い質問が出来る人は、良い情報を引き出せるだけではなくその場の状況をコントロールできます。会計上の見積りに対処するためにもこの力が非常に重要です。

例えば、「この債権の回収可能性は甘過ぎるじゃないか!」と断定的に指摘したとしても、先に書いた監査法人への対応と同様、専門的で一見合理性のある説明がなされたら、それを覆すだけの反証を用意することは素人にとって簡単ではありません。

これに対して、「この債務者の財務状況はどうやって調べましたか」「担保価値はどのように評価しましたか」「返済に回せるキャッシュフローはどうやって計算しましたか」「その確実性はどうですか」など、回収可能性を検討するに至った過程やその判断根拠について質問し、質問それぞれや他の状況との矛盾を探る方法は、相手に問題を自らさらけ出させる方法として有効です(また、これらの質問と回答を正しく記録しておけば

万が一会計不正が発生した場合、自らが善管注意義務を果たしたことを立証できる証拠となり得ます)。

このような質問は会計的な知識がいると思われがちですが、一般的な経営者としての常識、リスク認識があれば十分に可能です。また、監査法人や会計の知見ある他の監査役等にアドバイスを受けても良いでしょう。

c)気兼ねしない

ここが一番大事な所です。
法律や会計の知見ある監査役等がそれぞれ法律、会計に関する質問、指摘をする場合はともかく、専門外の方が会計上の見積りに関係する質問をした場合、往々にしてあるのが

  • 「この業界は普通こうですよ」
  • 「○○と比較しても妥当だと思います」
  • 「専門外なんだから黙ってろ」

といった反応です。

専門外で分からないことも多い場合には、こういう切り返しをされるとそれ以上の突込みを躊躇してしまいがちですが、そこで引いてしまってはいけません。

上記のような対応があること、それ自体が問題の所在を認識していることの表れとなっている可能性もあるのです。

もし問題がないのならば、専門外の監査役等にもわかる客観的・合理的な説明を行うべきですし、それをせず押し通そうとする場合には、妥協せずにわかりやすい説明を求めるべきです。

d)監査法人との連携

会計監査を担当する監査法人は会計のエキスパート中のエキスパートですが、上記の通り経営者から「ある程度幅を持った」合理性を説明されたら、それを完全に否定する反証を出すことは困難です。

このような点を補完し、監査上のリスクを減殺できるのが監査役等の存在であるとも言えます。

通常、監査役等の監査は原則として「相当性」監査(会計監査人の監査結果を相当と認める)ではありますが、それ以前に不正発生リスクを見出し、あらかじめ減殺しておく機能は監査役等にしか期待できないのです。

5.終わりに

会計監査人の監査も監査等委員の監査も同じなのですが、監査の本質的目的は「監査意見を出すこと」ではありませんし、「不適正、不適法意見」といったダメ出しをすることでもありません。

監査を進めていく上で、その監査の目的に応じて適切な経営、情報開示を行っていく体制が整備されていくようリードしていくことが一番の目的なのです。その結果として出されるものが監査報告であると私は考えています。

このために、監査役等は普段からアンテナを十分に張って適切な質問力により情報収集し、目立たず静かに平時のガバナンスを支える役割を果たすべきであると思います。

会計上の見積りが急激にそのリスクを増すのは、会社が業績落ち込みの階段を一段でも降りはじめた時、経営者がそれと気づかずに追い込まれ始めた時です。

如何に初動で止めるか、平時にその芽を摘み取っておくかが非常に重要です。

偉そうなことを書いてしまいましたが、このコラムが「ガバナンス強化」の時代を生きる監査役等の皆さんの参考になれば幸いです。

 

汎用データコンバータについて

1.財務会計データの非互換性

会計ソフトに代表される財務会計用ソフトウェアは、それぞれの開発会社が独自に定めた方法でデータを保存しており、当然ながらそれぞれの間に互換性(相互に利用できること)がありません。

このため、例えばある会計ソフトを長年利用してきた会社が、別のより使いやすい、廉価な会計ソフトに移行したいと考えたとしても、旧ソフトから新ソフトへのデータ移行は容易ではありませんでした。

また、同じ開発会社の会計ソフトと販売管理ソフトは連携の取れる場合が多いのですが、違う開発会社間の連携はごく稀なケースを除いては不可能でした。

そんな訳で、これまで財務会計用ソフトの世界は、データの非互換性が一種の「移動障壁」であったと言えます。

2.汎用データコンバータ

さて、平成17年8月、私どもの事務所は「汎用データコンバータ」を開発しました。
このコンバータは、ある会計ソフトウェアや販売管理ソフトウェアなど、決まった様式で多数の取引などの情報を持つデータ(ソースデータ)から、別のソフトウェアにおいて取扱が可能な様式へ、一度の簡単な設定後は自動的に変換を行うことができる、一種の「フィルタ」と呼ばれるアプリケーションです。

このコンバータを利用することで、お客様がどの会計ソフト(仕訳をCSVなどテキストデータの形で出力が出来るものに限ります)をご利用の場合でも、簡単な基礎データ収集と初期設定によって私どもの事務所で使用する会計ソフトの形式へのデータ変換が可能です。

3.汎用データコンバータでできること

では、この汎用データコンバータでどのような作業ができるでしょうか。 現在実際に行われている作業の一部をご紹介します。

1)会計ソフト移行

このコンバータが最も力を発揮するのがこの作業です。
ある会計事務所がAという会計ソフトを使っている場合、新規顧問先となった会社の経理部においてBという会計ソフトを採用している場合、いわゆる「自計化(顧問先にて基本的な記帳を行い、会計事務所が内容の確認を行う方式)」状態を続けるためには、従来は
①顧問先においてBをAに変更してもらう
②会計事務所でBを新たに購入し、受け入れをする
など、共通の会計ソフトをどちらかで購入する必要がありました。

しかし、汎用データコンバータを用いることで、顧問先は従来通りBで記帳し、そのデータを会計事務所のAに受入れ、チェックや決算、申告書作成を行うという業務の流れが可能になります。

2)販売管理などサブシステムとの連携

同じメーカーのソフトを使っている場合、販売管理ソフトなどサブシステムと会計ソフトは通常連携が取れるようになっています。

しかし、会計ソフトとサブシステムのメーカーが違うというケースは以外と多くあります。
その理由はいくつかありますが、例えば次のようなものです。
①会計ソフトと同メーカーの販売管理ソフトが営業形態に合わない
②会計ソフトは経理部、販売管理ソフトは営業部と別々に導入が行われた
このような場合も、汎用データコンバータは違うメーカー製のソフトウェア間の連携を取ることができます。例えば販売管理ソフトから販売データ、入金データなどをアプトプットし、これを会計ソフトの仕訳データに変換後会計ソフトで取り込むといった処理が可能となります。

4.会計事務所向け外販、及びコンバータ作成受託

上記の汎用データコンバータを改良し、外販、及びコンバータの作成を受託することが可能です。
具体的には、以下の通りとなります。

1)外販
当事務所にて5~7時間(会計知識、エクセル、VBAスキルに応じて異なります)の研修(コンポーザー研修)を受けた方を対象にコンバータシステムを販売します。
研修受講者(コンポーザー:コンバータを利用し、変換マトリックスを作成できるユーザー)が使用する限り、対象とする会計ソフト、使用回数に制限はありません。
また、研修受講者(コンポーザー)が作成したコンバータは、利用者(パフォーマー)によっても利用が可能です。なおこの形態における販売対象は原則として会計事務所に限定します。

2)コンバータ作成受託
お客様からコンバータに必要な情報を頂き、当事務所にてコンバータを作成します。 会計ソフトの種類にもよりますが、一般的なコンバータソフトより低価格にて作成が可能と考えています。

5.お問い合わせ

ご質問やお見積もりについては、メールフォームにてお気軽にお問い合わせください。

以上

NPO快適な排尿をめざす全国ネットの会

私が関与させて頂いている「NPO快適な排尿をめざす全国ネットの会」についてご紹介します。

 

1.NPOについて

「NPO」とは非営利活動(団体構成員へ利益分配をしない活動)により公益を増進することを目的とする団体を言います。例えば株式会社は営利を目的とする法人ですので、獲得した収益は株主などに分配しなければなりません。しかし、NPOの場合はそれができません。

このNPOに、団体としての活動や契約がしやすくなるよう「法人格(法律により人と似た権利が行使できるようにしたもの)」を与えた法律が「特定非営利活動促進法」です。 法人格の有無にかかわらず、NPOは様々な分野(福祉、教育・文化、まちづくり、環境、国際協力など)で公的機関や営利企業ができない活動を、比較的自由に行うことが期待されています。

 

2.NPO法人の特徴

NPO法人は、他の法人制度と異なり、様々な所轄官庁による規制が極力抑制されています。また、前述の通り利益の配分も認められていません。 これは、所轄官庁による規制をあまり強くしたり、利益の配分を認めてしまうと、NPO法人の趣旨が意味を持たなくなってしまうからです。

その反面、会計処理や収支決算の開示、ガバナンスについては、見方によっては上場企業的な(もちろん上場企業ほど複雑ではありませんが)厳格さが要求されています。

NPO法人をとらえる場合には、単にボランティア団体という見方をするのではなく、上場企業と同様、「小型の公的組織(社会の公器)」と見た方が理解がしやすいと思います。

 

3.快適な排尿をめざす全国ネットの会

1)間質性膀胱炎
「間質性膀胱炎」という病気をご存じでしょうか? 女性によくみられる病気で、頻尿や残尿感、排尿後の痛みや不快感などが発生し、正常な排尿が難しくなってしまいます。この症状は細菌性の膀胱炎とよく似ているのですが、これらとは異なり、尿検査でも細菌など原因が発見されず、また抗生物質や抗菌剤の処方でも改善できません。このため、以前から「怠けているのではないか」などと誤解され、つらい経験をする女性が多くおられたようです。

2)事業活動(WEBページより)
医師、医療関係者や排尿障害の患者さん、さらに患者さんのご家族に対して、排尿疾患に関する情報を公開し、排尿障害の患者さんへの支援

主な活動予定 ・介護・健康・生活環境セミナーの開催 ・排尿管理研究会の企画・運営 ・間質性膀胱炎国際会議をはじめとする、国際会議の開催・出展 ・ホームページや会報による情報提供・情報交換 ・書籍・雑誌・DVD等の出版

※ 排尿管理研究会: 2001年に発足。 排尿障害の基礎、臨床、疫学に関する幅広い研究を行うことを目的として開催。

※ 間質性膀胱炎国際会議 (ICICJ):2003年3月、日本で初めての間質性膀胱炎国際会議を京都で開催。

3)特徴
間質性膀胱炎の世界的権威である医学博士上田朋宏先生(泌尿器科上田クリニック)を中心として、「チーム上田」と呼ばれる様々な専門家が組織的に活動しています。

間質性膀胱炎は、以前から原因がわからず、そのつらさもあっていろいろな「治療法」が世に溢れています。
しかしそのメカニズムの研究や最新の機器による検査、手術手法にとどまらず、世界的な研究者とのネットワーク、患者さんのQOL(生活の質)向上、そして行政への働きかけまで含めて総合的に活動している点については、まさに「社会の公器」となる資格を有していると思います。

私は会計の面で関与させて頂いておりますが、少しでも公益に寄与できていると考えると非常に光栄に思います。

以上

National Tax Agency announced the aggregation of inheritance tax filing in 2011.(2012/12)

National Tax Agency announced the aggregation of inheritance tax filing in 2011.

2010

2011

Ratio

(1)

Number of people died

1,197,012

1,253,066

104.7%

(2)

Number of ancestors whose heirs should file inheritance tax

49,891

51,409

103.0%

(3)

(2)/(1)

4.2%

4.1%

-0.1%

(4)

Number of ancestors who should file inheritance tax

122,740

125,152

102.0%

(5)

Taxable Amount of inheritance tax (YEN)

10,458Bil

10,730Bil

102.6%

(6)

Amount of inheritance tax (YEN)

1,175Bil

1,252Bil

106.5%

(7)

Per heirs

Taxable Amount (YEN)
(5/2)

210Mil

209Mil

99.6%

(8)

Amount of Tax (YEN)
(6/2)

23.6Mil

24.4Mil

103.4%

 

To see more details, visit follows:

http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/sozoku_shinkoku/index.htm

 

土地再評価法の会計・税務処理(金融機関、上場会社向けマニアック論点)

平成に入ってから、日本の銀行はその直前まで野放図に広げていた過剰融資がバブル景気の崩壊の直撃を受け、破壊的なほどの体力低下を招いていました。
また、MOF担問題や総会屋に対する利益供与事件など、コンプライアンス意識の低下や不透明な融資体制、護送船団方式による国際競争力低下などにより、銀行業界自体が非常に大きな危機に立たされていました。
政府は平成8年に「金融制度改革(金融ビッグバン)」を提唱、また独占禁止法の改正により銀行持株会社の設立を可能として銀行業界のてこ入れを図りましたが、それをあざ笑うように平成9年には北海道拓殖銀行と山一證券が、平成10年には日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が破綻してしまいます。
さらに長引く不良債権の処理によって銀行の自己資本比率は悪化し、上記のような経営破綻も影響して、日本の銀行が海外から資金を調達する際には、他国の銀行より上乗せした金利(ジャパン・プレミアム)を支払わなければなりませんでした。

今回ご説明する「土地再評価法」は、このような状況を打開しようと打ち出された様々な政策のうちの一つです。
しかし、残念ながらその拙速さと政府・会計・税務という本来密接に連携していなければならない分野の断絶で、少々奇妙な問題が起こっています。
今でもかなりの企業(金融機関や上場会社等)でこの問題は内在していますので、大変マニアックな話で恐縮ですが是非ご一読ください。

0.はじめに
改正土地再評価法(土地の再評価に関する法律の一部を改正する法律)とは、平成10年に交付された土地再評価法(土地の再評価に関する法律)が改正されてできたものです。改正前と異なり、当所の金融機関だけではなく一定の条件を満たす一般事業会社についても再評価が利用可能となっています。この再評価により、計上された差額金は自己資本に組み込まれ、(見かけ上)自己資本比率の向上によって経営体力が強化されることとなります。

具体的には、
・評価差益部分(税効果部分を除く)を資本準備金として取扱う
・この差益部分を自己株式の償却に限定して使用を認める

という内容となっております。この法律は平成13年3月30日までの時限立法であり(*)、配当可能利益等の計算においては再評価差額金を控除することとなっています。

(*)再改正により、この期限が1年と1日延長され、平成14年3月31日までとなっています。また同時に、適用対象法人の範囲について「証券取引法に基づき公認会計士監査が義務付けられているが商法上の大会社に該当しない会社」が追加されています。

なお、この改正土地再評価法についての会計上の取扱いは、「土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A」(最終改正平成18年7月19日)等において発表されています。今回のコラムもこの取り扱いを参考に作成しています。

ところが、この法律に従った再評価を行った後、再評価の対象となった土地の売却が発生した場合、その会計及び税務処理にいくつか疑問が浮かびました。以下、その疑問と結論についての仮説、当事務所の現状の取り扱いを説明します。(注:過去掲載記事の加筆修正版です)

 

1.会計処理
再評価時点において、「帳簿価額:100、時価:150」となっている土地があるものとします。

この場合、改正土地再評価法に従えば、以下のような仕訳となります(実効税率を40%とします)。

(借) 土   地 50 (貸) 繰延税金負債(負債の部) 20
再評価差額金(資本の部) 30

利益処分計算書を経由せずに資本の部に再評価差額金が計上される点においては、新金融商品会計におけるその他有価証券の資本直入法と同一です。但し、改正土地再評価法の場合、その他有価証券の時価評価差額と違って期首における戻入は行われません。なお、上記の繰延税金負債は、他の繰延税金負債と区分して計上することが要請されています。

この差額は土地に係る評価差損益ですので、法人税法上は課税の対象とはなりません(法人税法25条、33条)。また、この差額は損益計算書を経由していないため法人所得に影響ませんから、税務上の調整は必要無いものとされています。この時点で、会計上の土地簿価は150、税務上の土地簿価が100となり、会計・税務の間に差額が発生します。税効果部分が計上されるのはこれが理由です(日本の税効果会計が資産負債法を採用しているため)。

では、この土地を170で売却した場合にはどのような仕訳となるでしょうか。これを上記の「土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A」に従って処理すると、下記の通りの仕訳となります。

(借) 現金預金 170 (貸) 土   地 150
土地売却益  20
繰延税金負債  20 法人税等調整額(損益)  20
再評価差額金  30 再評価差額金取崩額  30

 

2.税務処理
さて、このままの土地売却益を課税所得としますと、課税されていない評価差額の部分だけが税務上過小となってしまいます。このため、何らかの形でこの部分を課税所得に加算する必要が出てきます。ここで、上記の「再評価差額金取崩額」を「損益計算書項目」として扱うか、「剰余金修正」として扱うかが問題となります。

損益計算書項目として扱った場合、上で述べたような加算は既になされたことになりますので、申告調整は必要ありません。しかし、剰余金項目で取り扱う場合、税務調整(具体的には別表4で所得に加算)を行う必要があります。

前述のQ&Aにおいては「再評価後においては、改定後の帳簿価額が会計上の帳簿価額として位置付けられているため、改定前の帳簿価額に関連する土地再評価差額金の取崩額は、当期純利益(損益計算書)には反映されず、その他利益剰余金(株主資本等変動計算書)に直接計上されることとなります。」とされているため、日本の会計基準としては剰余金処理が正しいとされていることになります。

さて剰余金修正として取り扱った場合には、上記の通り税務調整が必須となります。ところが、この場合の加算項目を「流出項目」として扱うと、利益積立金項目に矛盾が発生します。そうかといって「留保項目」として扱うと、利益積立金の項目に同じ金額が計上され、このまま永久に残ることとなります(取引の元となった土地が既に外部に売却されているため)。

3.解決法とあるべき処理について
これらを検討した結果、従来当法人は現時点においては以下の通りの解釈を持って実務上の取り扱いとしていました。

  • 再評価差額金取崩額の加算は絶対に必要→別表4にて所得加算(少なくともこれで脱税にはならない)
  • 別表4上は留保項目で処理、別表5(1)において、利益積立金の「増」として処理(※1)
  • 利益積立金上残存する矛盾を解決するため、同時に、別表5(1)において貸借逆の同額を「当期利益処分による増減」欄に記入(※2)

これは単につじつまを合わせるための方策ではなく、(税務上も会計上も)利益処分によらず積み立てられていた土地再評価差額金を利益処分により取り戻したことから、(少なくとも税務上は)当該部分について行われるべきであった利益処分を実施した、との考え方によるものです。

(追記)この点について最近(注:令和2年8月時点)大阪国税局の担当官と議論した所、上記※2の処理を行わず、※1の調整額を別建てで「土地再評価差額金調整額」等として処理し、会計と税務の差異をそのまま残存させて欲しいとのお話がありました。これは、平成18年5月1日以後終了事業年度の法人税申告書からは※2を処理するための欄(当期利益処分による増減)が廃止され、当該処理を行うと国税庁のシステム側でエラーチェックにかかってしまうようになったからだそうです。
ということで、当該会計・税務の差異により発生する差額は、結局法人が存続する限り持ち越されることとなってしまいました。

なお、上記の問題点は、減損の場合にも同様に発生します。 再評価土地を保有する法人の場合、当該土地に何らかの動きがある場合には必ず特殊な税務調整が必要になる、とお考えになった方が良いようです。

この非常にマニアックな論点についてご質問がございましたら、当事務所までお気軽にお問合せ下さい。

以上

(ご紹介)近畿会国際委員会セミナーについて

私は現在、何故か公認会計士協会近畿会の「国際委員会」で委員長を仰せつかっております。 国際委員会は、近畿における会計士の国際的な活動をサポートしたり、IFRS(国際会計基準)を中心とした国際業務に関する研修などを行っています。

さて現在、その委員会において新しい企画を進めています。 それは、「海外で活躍する会計士からのメッセージ」というセミナーです。 文字通り数名の「海外で活躍する会計士」から、その立場に至った経緯や仕事、国情の説明などをしてもらうのが目的です。

が、一番の特徴は、メッセージを頂く全員が大監査法人から海外赴任した会計士「ではなく」、自分で就職活動などを頑張って道を切り開いた方ばかり、という所にあります。 たった今最初の方(ロンドン)からビデオメッセージが届いたのですが、ロンドン橋をバックにしたオフィスで自信を持って語られる姿は、素晴らしいと同時に憧れるものです。

当セミナーは3月30日(土)、15:30から18:00まで、日本公認会計士協会近畿会(下記アクセス記載)にて開催されます。 残念ながら近畿会(京滋、兵庫含)の会員・準会員限定なのですが、対象となっている方は是非聴講をご検討ください。 なお、当日はスペシャルゲストとして、マイツグループの池田博義代表にもお越しいただく予定です。

日本公認会計士協会近畿会
https://www.jicpa-knk.ne.jp/access/access.html