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総則6項と最高裁判決―不動産節税策の行方

<かつて相続税対策の「定番」手法>
昔から相続税を減らす対策として定番と言われる手法があります。
それは、相続税評価額と実勢価格の差を利用し、多額の借入で不動産を購入することで、相続税評価額を大幅に圧縮するというもの。いわゆる「タワマン節税」にも通じる考え方です。
路線価などの評価方法は、「相続税計算の際の共通ルール」ともいえる「財産評価基本通達」に定められ、ほとんどの相続税実務はこれにのっとって行われていれば問題は全くありません。

しかし令和4年4月19日、最高裁判所は、実勢価格との大きな差を作為的に発生させる過度な節税策に対し、財産評価基本通達の伝家の宝刀ともいえる「総則6項」を適用し、通達評価を否認した税務当局の判断を支持する判決を下しました。今回の裁判は、従来の実務感覚に一石を投じるものであり、我々税理士にとっては衝撃的な事件と言っても良いものでした。
この判例は、今後の相続対策に間違いなく大きな影響を与えることになります
今回は、納税者にも税理士にも大きなショックを与えたこの判例について解説致します。

<対策がうまくいき、相続税がゼロに>
被相続人(亡くなった方)は、90歳の時に信託銀行等から合計約10億円超の借入を行い、2件の高額不動産を購入しました。
購入資金の調達や取得は、表向きは不動産事業承継対策の一環と説明されつつも、相続人らも近い将来の相続を見据えた税負担軽減効果があることを十分理解し、期待して実行されたものでした。
その後、被相続人が94歳で死去。これらの不動産と借入金を引き継いだ相続人らは、財産評価基本通達に基づき不動産①を約2億円、不動産②を約1.3億円と評価しました。
結果、借入金(相続財産を計算する際には控除します)を考慮すると課税価格はたった3,000万円程度となり、基礎控除を適用すると相続税額はゼロになってしまいました。

(おおよその流れ)
 平成21年 不動産2物件購入
 平成24年 相続発生
 平成25年 不動産②売却、その後相続税申告書提出

<税務調査によって覆される>
しかし、相続発生直後に、相続税評価額がたった1.3億円だった不動産②を約5.15億円で売却していた事実もあり、税務当局は総則6項を適用。不動産鑑定評価に基づく時価(合計約12.7億円)で再計算し、更正処分を行いました。課税価格は9億円、相続税額は約2.4億円という結果です。
ゼロだった相続税が、なんと2.4億円になってしまったのです。

<最高裁の判断ポイント>
この後、最終的に持ち込まれた最高裁判所は以下の通り判断しました。
・時価の意味と通達の位置づけ
相続税法22条の「時価」とは客観的な交換価値を指し、評価通達は行政内部の統一的基準にすぎず、納税者への直接的な法的拘束力はない。よって、鑑定評価額が時価として妥当であれば、それが通達評価額を上回っても違法とはならない。
・平等原則との関係
租税法上の平等原則は「同様の状況には同様の課税」を求めるもの。通達は原則として画一的な評価を行うことで公平性を担保するが、通達適用が著しい不公平を生む場合には例外が認められる。
・合理的理由の有無
 - 通達評価額と時価の乖離が極めて大きい
 - 多額借入による高額不動産取得が高齢期に実行され、節税効果が極端
 - 取得から相続までの期間が短く、直後に売却も行われている
といった事情が重なり、本件においては他の納税者と比較して「看過し難い不均衡」を生じさせると判断。通達評価ではなく鑑定評価での課税を適法としました。

実際の所、被相続人が信託銀行に相談した際、借入金により不動産を取得した場合の相続税の試算及び相続財産の圧縮効果の説明を受けており、この借入が相続税対策のためであることを十分に認識していました。
また、信託銀行のが借入に関して作成した稟議書には「理由」として「相続税対策」が明記されていました。
これらの事実は税務調査の過程で明らかになっています。

<実務への影響と留意点>
この判決は、総則6項の適用範囲について明確な数値基準を示したわけではありません。しかし、今後の税務現場では次のような点が重視されると考えられます。
・乖離の程度:通達評価と実勢価格の差が大きい場合、意図的な節税策と見られやすい。
・資金調達方法:常識的な範囲を超える借入や、返済期間が極端に長い場合はリスク大。
・取得者の年齢や事業目的:事業の必要性より節税目的が前面に出ると疑われやすい。
・取得後の経営計画:不動産事業としての計画が不明確な場合、節税意図と判断される可能性。
・相続直後の売却:取得当初から売却を視野に入れていたと見られる行動は危険信号。
・金融機関との関係:相続税に限らず、「過度な節税」対策は「脱税」と同様に扱われるとの強い認識を共有しておくこと

<おわりに>
今回の最高裁判決は、総則6項の「著しく不適当」という抽象的な基準の適用事例として重要な意味を持ちます。タワマン節税に限らず、不動産や株式評価にも波及し得る論点です。
節税と租税公平の境界線は依然として曖昧ですが、実務では“形式だけ整えた節税策”が通用しにくい時代になったといえるでしょう。今後は、取得目的や資金計画を含めた全体のストーリーが、税務当局から見ても納得できる形で備わっていることが求められます。

令和7年度の税制改正と年末調整などの注意点について

令和7年度の税制改正で、給与等の源泉徴収事務に関して非常に重要な改正がありました。
改正内容が重要なのはもちろんなのですが、以前から行われていた改正とちょっと異なり、内容や適用タイミング、またそれに応じた皆さんの対応に関して大きな注意点があります。
今回は、この改正について説明し、実務上の注意点についてご説明致します。

<改正点の説明>
基本的には、「〇〇の壁」と呼ばれる、「頑張って給与を増やしたら逆に負担が増えてしまう」という特異点をこれまでより高い所得ラインに引き上げ、勤労意欲を削ぐことのないようにする配慮が織り込まれています。

1.基礎控除と給与所得控除の引き上げ
・合計所得金額132万円以下の給与所得者について、基礎控除と給与所得控除の合計額が95万円となるように制度が見直され、実質的に所得税が課されないよう調整されました
・その後の所得階層でも段階的に控除額が引き上げられます
・収入190万円以下の場合、給与所得控除(一定額まで給与に税金がかからないライン)の最低保障額が55万円→65万円に引き上げ

2.特定親族特別控除(仮称)の新設
・19歳以上23歳未満で年収123万円以下の子などに対して、最大63万円の控除を認める新制度を導入

3.扶養控除等の所得要件の改正
・扶養対象となる親族の所得要件が48万円以下→58万円以下に引き上げ
・勤労学生の上限も75万円→85万円に引き上げ

<手続などの注意点>
1.改正への対応
①年末調整まで

・今回の改正は「令和7年12月1日」から適用されますので、令和7年11月までの給与計算は、改正前のソフトウェアや計算表で行う必要があります
②年末調整時
・「改正により新たに扶養控除等の対象親族等がいないか」確認し、異動がある場合には「扶養控除等(異動)申告書」の提出を受けます
・「特定親族特別控除の対象親族等がいないか」を確認するために、「給与所得者の特定親族特別控除(仮称)申告書」の提出を受けます
③令和8年以降
・「扶養控除等(異動)申告書」に、源泉控除対象親族の記載が正しく行われているか確認します
・給与計算に用いる「対象親族等」には新設された特定親族特別控除対象者が含まれているか確認します
・改正後の源泉徴収税額表(年内に公表されます)に基づき、各月の源泉徴収を計算します

<(まとめ)中小企業経営者向け注意点>
・令和7年11月までと、12月以後の手続の変化を把握し、それぞれ適切に行う必要があります
・給与計算ソフトウェアの改正対応状況をあらかじめ確認しておく
・従業員から提出される各種申告書(扶養控除等、基礎控除、配偶者控除、特定親族特別控除)が令和7年12月以後に対応した正しい様式・内容であるか確認する
・年末調整計算に改正後の控除額が正しく織り込まれていることを確認する
・これらを適時に行うため、年末調整資料の収集や作業開始時期を例年より前倒しする
・令和8年からの給与計算業務が改正後の計算に準拠しているか注意する

【ラボ】ホームオートメーションのすすめ

「ホームオートメーション(HA)」や「スマートホーム(SH)」という言葉を目にしたことがありますか?
身近には目にしなくても、ニュースやIT系を中心とした記事に出会うことはあるかも知れません。その名の通り「家の中をオートメーション化・スマート化する」という考え方は、昨今AIやIoTの進化によって着実に進歩しています。
とはいえ、まだ大多数の方が採用していないこともあり、「何がどう便利なのか」「本当に必要なのか」といった疑問ももちろん出てくると思います。
今回は、実際にこれらを実用してみた結果を元に、メリットやデメリットについてご説明します。

HA製品には多数ありますが、本記事においてはメジャーな製品のひとつである「スイッチボット(SwitchBot、SB)」シリーズを例に説明します。
SBシリーズの製品には、「家庭用ロボット(掃除機など)」と「スマートロボット(SH製品)」の2カテゴリーがありますが、スマートホームの説明に使いやすい後者を取り上げます。
スマートロボット製品を使うと、こんなことができます。
・玄関のスマートロック(暗証番号やICカード、指紋、顔認証での開錠)
・照明のオンオフ、明るさ、色の調整
・家電製品のオンオフ(赤外線リモコンやコンセント、物理スイッチを利用)
・カーテンやロールスクリーンの開閉

スイッチボットの動作確認画面

さらに、これらを温度や湿度、人感センサー、時間(その地域の日の出・日没など設定も可能)を使って制御したり、全てをスマホで外部から動かすことも可能です。
赤外線リモコンの学習による利用や、物理スイッチを「指で押す」ような操作や、既存カーテンの開け閉めをしてくれるロボット、WiFiでコントロールできるコンセントなど、いわゆるアナログな環境にもある程度適応できるのが大きなポイントです。
これらの機能は簡単なプログラミングも可能で、例えば「GPSによって利用者が家から一定距離まで帰ってきたら自動でエアコンを作動して帰り着くころには快適にしておく→開錠したらエアコン動作を抑え、省エネを考慮するとともに必要な照明をつける」といったちょっと複雑な動作も自動化できます。

空き家や別荘の悩みの一つである「カビ防止」にも有効です。
このカビ、空気が循環せず湿度や温度が一定以上になると繁殖し、一旦生えると大規模なプロの作業を入れないと除去できない上に、アレルギーの原因にもなる厄介な存在です。
しかしHAによって「湿度や温度が一定レベルを超えたら、エアコンの除湿機能やサーキュレータを動かし、許容範囲に抑えたら自動的に電源を切る」と言う形で、カビの発生原因となる湿度を抑えつつ省電力、ということも可能になります。

弊社ラボにおいては、湿度や温度によってエアコン、サーキュレータ、カライエ(ダイキン製の住宅除湿器。別の機会に記事にします)をコントロールし、海沿いや山中物件にありがちなカビ発生をトータルで押さえる実験を行っています。

一方で、当然ながらデメリットもあります。
・設定や接続にやや手間がかかる、知識が必要となる
・インターネット環境が必須で、通信費用もかかる
・無線接続に依存しているため、WiFiが不安定なときにはうまく動作しない
・提供メーカーのシステムダウンがあると使えない
・スマホを紛失・破損すると手も足も出ない
・遠隔地で使用している場合は、プログラミング不備による誤動作や火事のリスク
・防犯性もあるが、万全の信頼性がある訳ではなく警備会社との契約ほど安全ではない
・家電などを動かすことによる光熱費の発生

デメリットや費用の発生はもちろんありますが、「必要な時に必要な分だけ動かす」ことで、便利で快適な環境を得られることや、カビの発生がどれだけ建物の価値を下げるかなどを考えると、十分に価値のある機能ではないかと思います。
空家売却までの管理費用や、中古物件を買う際のリフォーム予算の一部に織り込んでみるのも一考に値すると思います。

【ラボ】「研究施設」開設のお知らせ


税理士法人耕夢は、今年夏に「研究施設」をオープンします。
メーカーでもない会計事務所が研究施設?と疑問に思われるかもしれません。
ですがこの施設、私たちが業務上直面する、様々な問題への解決手法を生み出し、お客様にアドバイスするための大変重要な場所なのです。

例えば、現在問題となっている「空き家」。
長年お一人で住んでおられた住人がお亡くなりになり、相続人がいなかったり、遠く離れて住んでいたりとその家を引き継げず、メンテナンスも収益化もできず放置して、雨漏りやカビなどでどんどん傷んでしまう。
「実家の相続対策」と言い換えても良いかもしれません。
このような事例は数多く発生しており、どのように対処すべきか早急に検討する必要があります。

また昨今、物価高や人材不足、円安といった複合要因で新築の戸建てやマンションが高騰しています。
こうなると、幾ら賃上げが進んでも若い世代に手が届かなくなってしまいます。
そういった方に、良い中古物件を魅力的なリフォーム・リノベーションで安価に提供できないでしょうか。
幸い?中古物件はまだ新築ほど高騰しておらず、特に前述の空家の問題もあって供給は比較的期待できます。

遠隔地にある実家を管理したり、中古物件を上手に使う場合、重要になるのがIoTによる「ホームオートメーション」化です。
例えば、電気代を節約しつつ家じゅうの湿度を一定以下に抑えたり、照明やエアコン、ドアロックなどをコントロールして安全で快適、低コストな生活を実現するなど、こういったことは今手に入る製品群で比較的安価に実現できます。

最後に、中古住宅の購入、リフォームやリノベーション、賃貸や売却、相続といった節目には必ず「税金」が関係してきます。どのようなシチュエーションでどのような税金が影響するか意識する必要があり、対処は大変重要な論点です。

この研究施設は、上記のような論点を研究しつつ、お客様に実証実験内容を見学頂いたり動画を配信することが可能です。また同時に、弊所の役職員がフルリモートで事務所と全く同じ業務を行えたり、またゲストハウスとしての活用も可能な立地・構成となる予定です。
今後各論点についてご紹介記事を配信致しますので、是非ご期待下さいませ。

写真1 ダメージ修理・リノベーション中

写真2 施設からの眺望

写真3 ホームオートメーションの例

頂き女子りりちゃん

まだ記憶に新しい「頂き女子りりちゃん」事件。
様々なメディアで取り上げられ、その後の話題にも事欠かないこの事件は、表面上は「単なる恋愛詐欺事件」に見えるかもしれません。
しかしその実態は驚くほど緻密かつ完成度の高い、新種の不正としての特性を完全に備えています。

風俗嬢として働いていた「りりちゃん」は、男性顧客の心を掴み、弱者を演じることで信頼を得た上で、「闇金に追われている」「死にたい」などと精神的危機を訴え、金銭を引き出す技術を体系化。それを「魔法マニュアル」と称し、他の女性にも販売していました。そのマニュアルを使い、名古屋市の女子大生が複数の男性から計1000万円以上を詐取したことが発覚し、「りりちゃん」自身も詐欺幇助と詐欺の罪で逮捕。最終的には懲役8年6ヶ月、罰金800万円の有罪判決が確定しました。

このマニュアルにおいて驚くべきポイントはいくつかあります。

①高度に完成された「心理操作技術」
構成は大きく三段階――信頼関係の構築、金銭引出しの会話術、そしてアフターケア――に分かれており、ターゲットの感情を計算し尽くして制御する内容になっています。

②フィルタリングの巧みさ
彼女は“おぢ”と呼ばれるターゲットを「ギバー型(与える人)」「マッチャー型(見返りを求める人)」「テイカー型(搾取する人)」に分類。最も効率良く金銭が得られる“良おぢ”に的を絞り、LINEの返信間隔や言動から心理状態を把握し、段階的に情報を小出しにして感情を高めていきます。いきなり金銭を要求するのではなく、「自分から出させる」よう誘導するこの手法は、従来の詐欺とは一線を画す点です。

③リスクの回避手法
さらに驚くべきは、彼女が法的リスクやターゲットからの報復リスクまで防ぐ方法までも理論化していた点です。
金銭提供を「頼んでいない」「むしろ一度断っている」という構図を作ることで、法的責任の回避を図ったり、結婚詐欺の追及を防ぐ言い訳、また強い報復の恐れのあるターゲットに手を出さないための方法などが明記されています。

④「防ぎにくい」「裁きにくい」
最も厄介なのは、こうした一連の行為が「防ぎにくい」「裁きにくい」点にあります。
ターゲットされた男性は、その資金が尽きるまで自分の意思でお金を差し出し、満足すら感じています。このような場合、その行為を他者によって止められるか、また詐欺として裁けるどうかは微妙な所です。
そしてこの手法は、彼女のマニュアルを完ぺきに実践すれば、どんな女性でも実行できてしまうのです。
このように彼女が確立した「頂き女子」手法は、これまで見出されていなかった「パンドラの箱」であると言えます。

このマニュアル分析はあまりに危険(理解して使われると必ず被害が出る)なため、詳しい紹介や防止手法については公認不正検査士の勉強会でのみ公表しています。

いよいよ相続税調査にもAIが関与

国税庁が2025年7月から全国で導入する新たな仕組みとして、「AIによる相続税のリスクスコア判定」が始まります。これは、すべての相続税申告書についてAI(人工知能)を用いて税務リスクを自動的に評価し、スコア化するというもの。従来は人の目によって選定されていた調査対象が、今後はAIの判断を経て抽出される時代になります。

ではAIの導入を経て何がどう変わるのでしょうか。

これまでの相続税調査は、調査官の経験と直感、そして過去の統計、幅広く、また長い時間に基づいて集められた資料などに基づいて「この申告は気になるな」と人間が見定める仕組みでした。もちろんそこには熟練の技術が必要になり、そのような「職人技」的な運用にはどうしても限界があります。
特にコロナ禍を経て、こういった熟練の技がどうしても途絶えつつある現況、調査の範囲や深さ、質を、コストを押さえつつどう維持するかは大きな課題となっていました。

そこで今回登場したのが「AI相続税リスク判定システム」です。
開始後は、すべての相続税申告書を対象に、AIが過去の調査実績や申告内容との比較を行い、税務上の誤りの可能性を0.0~1.0のスコアで数値化します。スコアが高ければ高いほど、調査対象として選ばれる可能性が高まる訳です。

注目すべき点は、全国一律の基準で評価がなされるという所かもしれません。
この評価からは地域や税務署ごとの差が排除され、公平かつ品質の高い運用が期待されます。また、調査対象の選定が合理化されることで、本来注力すべき案件に集中でき、より精度の高い税務行政が実現されるというメリットも想定できます。

納税者にとっては「漏れなく調査される」という印象もあるかもしれませんが、先んじて開始している法人税のAIによる調査先選定は、運用が安定的となった昨今、「真っ当な会社への調査が明らかにへり、大きな問題のある会社へピンポイントで調査が入りやすくなった」との意見も多くみられます。

もちろん、AIがすべてを判断するわけではなく、最終的な判断は調査官が行います。ただ、その判断の土台にAIのスコアが用いられる、という所が重要です。

それでは、どのように対処すればよいでしょうか。
AIがどのようにスコア付けするか、という詳細な技術は公表されていませんが、相続税を長年やっている税理士にはだいたい分かります。
最も多いケースである「財産隠し」については、そういった行為が行われた場合に必ず発生する異常な点があります。嘘をついたり何かを隠蔽した場合には、必ず矛盾が出るからです。
この為、まずはそういった行為を行わない事、が重要です。
今までは見逃されたわずかな兆候も、AIの運用が安定すれば簡単にピックアップされます。

他方、何も悪いことはしていないのにそういった兆候に「見えてしまう」ことも多々あります。
そういう場合には、そういったリスクを認識して対処できる、相続税をよく理解した税理士に依頼することや、税理士から「申告書の作成に関する計算事項等記載書面(税理士法33条の2①書面。「税務調査を受けない方法 -税理士法33条の2の添付書面-」に詳しい記事があります)を提出してもらうことが重要です。

そういった「正しい対処」を心がけている場合、このシステムの導入は真っ当な納税者にとって有利に働く、と言っても良いと思います。

体温を上げると身体は整う

「なんだか疲れやすい」「最近風邪を引きやすい気がする」。そんなとき、「体温」を意識したことはありますか?
実は、体温が1℃下がるだけで、免疫力や代謝は大きく変化します。逆に言えば、少しの工夫で体温を高めるだけで、体は驚くほど元気を取り戻してくれるのです。

体温が上がると、免疫が働きやすくなる
平熱が36.5〜37.0℃前後だと、白血球などの免疫細胞が活発に働きます。これが35℃台になると、免疫力が3割以上も低下するともいわれています。

つまり、風邪を引きやすい、体調を崩しやすい…という方は、まず「体温を取り戻す」ことが改善の第一歩です。

私はコロナ禍の際、ワクチンの副反応がひどく(ほとんどかかったような熱などの症状が出ました)、最低限の2回しか接種しなかったのですが、朝風呂の習慣を中心に「体温を上げる」ことに注力しているためか、今に至るまで全くかからず過ごせています。

体を温める習慣、できていますか?
たとえば朝風呂。
朝のシャワーや入浴で体温が上がり血行が良くなると、免疫力だけではなく自律神経が整い、頭がスッキリ冴えた状態で一日をスタートできます。
また、内臓の働きも活性化しやすく、胃腸が「目覚める」効果も。

さらに、「軽い運動」もおすすめです。
ウォーキングや軽いジョギング、ヨガなどは、体に無理なく熱を生み出してくれます。
運動によって血流が改善され、手足の冷えが取れてくると、体の芯から温まってくるのが分かるはずです。

食事の力で、体の中から温める
ショウガ、にんにく、唐辛子といった香味野菜やスパイス類は、血行を良くしてくれる代表格です。
また、朝食をしっかり摂ることもポイント。朝の食事は、日中の体温リズムを整えるうえで重要な役割を担っています。

特に冷えやすい方は、冷たいサラダや飲み物ばかりでなく、温かいスープやみそ汁などを日常的に取り入れてみてください。

「不調の原因が、実は“冷え”だった」。
こうした話は、決して少なくありません。
朝風呂、軽い運動、温かい食事。できることからで構いません。日々のちょっとした工夫が、体調を大きく左右します。

なおこれから暑い季節がやってきますが、実はそういう季節ほど体を冷やす環境や行動をとりがちです。
そのような時も、是非体温を保つ習慣を忘れないようにして下さい。

なかなか時間がとれない、という方も多いと思いますが、「体温を上げる習慣づけ」は少しずつでも必ず効果があります。


<出典>
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
環境省「熱中症環境保健マニュアル 2018」
文部科学省「中学生用食育教材 指導者用」

中小企業の資金繰りはここに注意!

のっけから「倒産」に触れます。
私は以前、いわゆる「倒産系」と呼ばれる、破産や清算、民事再生といった業務に数多く関与させて頂きました。
また、90年代から現在に至るまで、中小企業を中心に税務や会計の業務にも携わってきました。
そこで実際に体験したのは「中小企業は赤字で倒産する訳ではない」という絶対の真理です。

毎年毎年赤字を出し続ける会社が生き残り、売上がどんどん伸びて利益の出ている会社があっという間に倒産する、ということも全く稀なケースではありません。
結局、中小企業の倒産原因は、そのほとんどが「資金繰りに失敗する(ショートする)」ためであると言っても良いと思います。
中小企業における資金繰り管理はそれほど重要であり、単なる現預金の増減把握に留まらず、事業の継続可能性そのものに直結する重要な業務なのです。

では、その大切な資金繰りを間違わないためにはどうすればよいでしょうか。

まず注意すべきは、「資金繰り計画の可視化」です。
損益計算書上の黒字と、実際の資金繰り状況は必ずしも一致しません。
商売をしてみれば分かりますが、「売上は上がった瞬間に資金になる」「支払は仕入れや費用が発生した瞬間に行われる」ものではなく、通常はそれぞれの入金や支払が数日~数か月ズレて行われるからです。
例えば、大きな利益の出る売上を上げて大喜びしたとしましょう。
しかし、その売上のための仕入れや経費、給料の支払いが今月末で、売上の入金は来月末、となればどうでしょうか。
売上が大きければ大きいほど、「先に支払うべき費用も大きい」すなわちその時点で資金がショートしてしまう可能性も大きくなるのです。

このような事態を防ぐには、月次の資金繰り表(将来の入出金予定を一覧化した表)を作成し、資金の流れを体系的に整理し、あらかじめ資金がどれくらい必要になるかを把握、対応することが不可欠です。

特に、売掛金の回収サイト(売上代金が実際に回収できるまでの期間)と、買掛金の支払サイト(仕入代金を支払うまでの期間)の差によって生じるキャッシュフローのギャップ(資金の出入りのズレ)を正確に把握することが、資金ショートを防ぐ鍵となります。

次に、金融機関との関係構築についてです。
資金調達は、必要に迫られてからではなく、平時から備えておくべきものです。
具体的には、事前に財務内容を金融機関に説明し、信用を高めておくことが重要です。
借入枠(あらかじめ設定しておく融資限度額)を確保したり、コミットメントライン契約(一定期間、必要に応じて融資を受けられる契約)を締結するなど、将来の資金需要に備えた対策を講じておくべきです。
また、銀行担当者とは定期的に情報交換を行い、自社の状況を正しく理解してもらうことが、いざというときの迅速な資金調達につながります。

売上債権や棚卸資産の管理も欠かせません。
売掛債権の回収遅延は、資金繰り悪化の大きな要因ですので、取引先の信用リスク(債権回収不能リスク)の管理や、与信限度(取引上限額)の設定、請求漏れ防止の仕組みづくりが求められます。
また、棚卸資産(在庫)についても、過剰在庫は資金を圧迫するため、適正在庫水準の維持や在庫回転率(一定期間に何回在庫が回転したかを示す指標)の改善に努める必要があります。

さらに、資金繰り悪化の兆候を早期に察知する体制づくりも重要です。
例えば、月次決算を適時に実施し、売掛金回収期間の延伸、仕入債務返済の遅延、運転資金需要の急増などの指標をモニタリングすることで、問題の兆しをいち早く捉えることができます。
このモニタリングを精緻かつ適時に行う事は大変難しいのですが、最近は様々なツールやサービスが提供されており、専門家や経理のベテランでなくてもコントロールすることができるようになりつつあります。
弊所もお客様向けにツールを開発・運用しており、導入頂いたお客様から一定の評価を頂いています。
倒産しないために~資金繰(しきんぐり)の重要性と便利なツール

資金繰り対策は、一時的な融資や返済条件変更だけでは解決できません。
日常の資金管理体制を地道に整備し、中長期的な財務戦略を描くことが、持続的な企業経営を支える土台となります。
私たちも全力でお手伝い致します。

個人情報保護に関する基本方針

当法人は、個人情報保護法に定める個人情報を大切に保護することは当然の社会的責務であることを充分認識し、下記の通り個人情報の保護方針を定めます。

1.個人情報保護方針

当法人は、お客様からご提供いただく個人情報について、個人情報の保護に関する法律その他の関係法令等を遵守し、内部サーバ、クラウドストレージを問わず必要かつ十分なセキュリティ対策を講じるとともに、適正に取扱います。また、個人情報の取扱いに関する苦情・相談に迅速に対応し、その取扱及びセキュリティ対策については、継続的に見直し、改善いたします。
なお、当個人情報保護に関する基本方針は、法人設立以前から個人事務所において運用がなされている公認会計士法及び税理士法が定める守秘義務条項において包括的に定められ、遵守しておりました概念を具体的に明文化された方針として定めるものであります。

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当法人の個人情報保護の取扱については、
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贈与税の改正について(令和5年度税制改正大綱)

昨年12月23日、「令和5年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。

この税制改正の大綱は、政府が今後の税制改正のあり方について明確に方針を示すもので、毎年12月に公表されます。

これに対し、与党自民党と公明党が発表する「税制改正大綱」と呼ばれるものも、通常は政府の「税制改正の大綱」の直前に発表されます。通常これらはほぼ同じものとなるのですが、前者が「与党の方針を示すもの」であり、後者が「政府の方針を示すもの」であることから、場合によっては異なる場合もあり得ます。

さて、この「税制改正の大綱」の中に、贈与税について興味ぶかい改正がリストされました。
以前から「暦年贈与の廃止?」として、ずっと話題になっていた内容にかかわるものです。
具体的には以下の通りとなっています。

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①相続時精算課税(※)
・課税価格から基礎控除 110 万円を控除できる(暦年課税とは別)
・相続時は、上記の控除後の金額を相続財産に加算
・相続時精算課税で取得した土地又は建物の災害損失→被害部分を控除して相続税計算
・手続の簡易化

②暦年贈与
・相続の開始前7年以内(現行:3年以内)の贈与財産は相続財産に加える
・但し、今回増える部分(4年以前)は、100 万円を控除した残額を加算

贈与R5改正
暦年贈与改正

③適用開始
令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用
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※相続時精算課税とは:届出をした親子などの間で、贈与をした財産について「贈与時の時価で」相続財産に持ち戻して相続税を計算する制度。贈与額の合計が一定額(2500万円)を超えると20%の贈与税がかかるが、相続税の前払として相続税額から控除を受けることができる。贈与後のキャピタルゲインが相続税の課税対象とならず受贈者に移転するため、値上がりや高い収益発生が確実な資産を対象にすると効果が高い。

相続時精算課税贈与のメリットが増加すること、また暦年贈与の「持ち戻し」期間が長くなることから、これまでの贈与を用いた相続対策に少し変化が出ることが予想されます。
とはいうものの、早めに相続対策を始めることができる方にとっては、改正後もまだ暦年贈与は大きなメリットを持つ対策です。

弊所のブログ(下記)でご紹介した説明については、改正後少し補正が必要ではあるものの、基本的な考え方が変わらず活用できます。

これが贈与の全てだ! ~ プロが教える贈与のポイント
相続税の見積り計算と有利な贈与
「3代で財産がなくなる」相続税と効果的な対策(シミュレーション)

また、以下のシミュレーションを使うと「相続税を効果的に抑えることができる贈与額」を求めることができます。
相続税シミュレーション(相続税額と、有利な暦年贈与額の比較)