【ラボ】ホームオートメーションのすすめ

「ホームオートメーション(HA)」や「スマートホーム(SH)」という言葉を目にしたことがありますか?
身近には目にしなくても、ニュースやIT系を中心とした記事に出会うことはあるかも知れません。その名の通り「家の中をオートメーション化・スマート化する」という考え方は、昨今AIやIoTの進化によって着実に進歩しています。
とはいえ、まだ大多数の方が採用していないこともあり、「何がどう便利なのか」「本当に必要なのか」といった疑問ももちろん出てくると思います。
今回は、実際にこれらを実用してみた結果を元に、メリットやデメリットについてご説明します。

HA製品には多数ありますが、本記事においてはメジャーな製品のひとつである「スイッチボット(SwitchBot、SB)」シリーズを例に説明します。
SBシリーズの製品には、「家庭用ロボット(掃除機など)」と「スマートロボット(SH製品)」の2カテゴリーがありますが、スマートホームの説明に使いやすい後者を取り上げます。
スマートロボット製品を使うと、こんなことができます。
・玄関のスマートロック(暗証番号やICカード、指紋、顔認証での開錠)
・照明のオンオフ、明るさ、色の調整
・家電製品のオンオフ(赤外線リモコンやコンセント、物理スイッチを利用)
・カーテンやロールスクリーンの開閉

スイッチボットの動作確認画面

さらに、これらを温度や湿度、人感センサー、時間(その地域の日の出・日没など設定も可能)を使って制御したり、全てをスマホで外部から動かすことも可能です。
赤外線リモコンの学習による利用や、物理スイッチを「指で押す」ような操作や、既存カーテンの開け閉めをしてくれるロボット、WiFiでコントロールできるコンセントなど、いわゆるアナログな環境にもある程度適応できるのが大きなポイントです。
これらの機能は簡単なプログラミングも可能で、例えば「GPSによって利用者が家から一定距離まで帰ってきたら自動でエアコンを作動して帰り着くころには快適にしておく→開錠したらエアコン動作を抑え、省エネを考慮するとともに必要な照明をつける」といったちょっと複雑な動作も自動化できます。

空き家や別荘の悩みの一つである「カビ防止」にも有効です。
このカビ、空気が循環せず湿度や温度が一定以上になると繁殖し、一旦生えると大規模なプロの作業を入れないと除去できない上に、アレルギーの原因にもなる厄介な存在です。
しかしHAによって「湿度や温度が一定レベルを超えたら、エアコンの除湿機能やサーキュレータを動かし、許容範囲に抑えたら自動的に電源を切る」と言う形で、カビの発生原因となる湿度を抑えつつ省電力、ということも可能になります。

弊社ラボにおいては、湿度や温度によってエアコン、サーキュレータ、カライエ(ダイキン製の住宅除湿器。別の機会に記事にします)をコントロールし、海沿いや山中物件にありがちなカビ発生をトータルで押さえる実験を行っています。

一方で、当然ながらデメリットもあります。
・設定や接続にやや手間がかかる、知識が必要となる
・インターネット環境が必須で、通信費用もかかる
・無線接続に依存しているため、WiFiが不安定なときにはうまく動作しない
・提供メーカーのシステムダウンがあると使えない
・スマホを紛失・破損すると手も足も出ない
・遠隔地で使用している場合は、プログラミング不備による誤動作や火事のリスク
・防犯性もあるが、万全の信頼性がある訳ではなく警備会社との契約ほど安全ではない
・家電などを動かすことによる光熱費の発生

デメリットや費用の発生はもちろんありますが、「必要な時に必要な分だけ動かす」ことで、便利で快適な環境を得られることや、カビの発生がどれだけ建物の価値を下げるかなどを考えると、十分に価値のある機能ではないかと思います。
空家売却までの管理費用や、中古物件を買う際のリフォーム予算の一部に織り込んでみるのも一考に値すると思います。