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贈与税の改正について(令和5年度税制改正大綱)

昨年12月23日、「令和5年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。

この税制改正の大綱は、政府が今後の税制改正のあり方について明確に方針を示すもので、毎年12月に公表されます。

これに対し、与党自民党と公明党が発表する「税制改正大綱」と呼ばれるものも、通常は政府の「税制改正の大綱」の直前に発表されます。通常これらはほぼ同じものとなるのですが、前者が「与党の方針を示すもの」であり、後者が「政府の方針を示すもの」であることから、場合によっては異なる場合もあり得ます。

さて、この「税制改正の大綱」の中に、贈与税について興味ぶかい改正がリストされました。
以前から「暦年贈与の廃止?」として、ずっと話題になっていた内容にかかわるものです。
具体的には以下の通りとなっています。

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①相続時精算課税(※)
・課税価格から基礎控除 110 万円を控除できる(暦年課税とは別)
・相続時は、上記の控除後の金額を相続財産に加算
・相続時精算課税で取得した土地又は建物の災害損失→被害部分を控除して相続税計算
・手続の簡易化

②暦年贈与
・相続の開始前7年以内(現行:3年以内)の贈与財産は相続財産に加える
・但し、今回増える部分(4年以前)は、100 万円を控除した残額を加算

贈与R5改正
暦年贈与改正

③適用開始
令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用
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※相続時精算課税とは:届出をした親子などの間で、贈与をした財産について「贈与時の時価で」相続財産に持ち戻して相続税を計算する制度。贈与額の合計が一定額(2500万円)を超えると20%の贈与税がかかるが、相続税の前払として相続税額から控除を受けることができる。贈与後のキャピタルゲインが相続税の課税対象とならず受贈者に移転するため、値上がりや高い収益発生が確実な資産を対象にすると効果が高い。

相続時精算課税贈与のメリットが増加すること、また暦年贈与の「持ち戻し」期間が長くなることから、これまでの贈与を用いた相続対策に少し変化が出ることが予想されます。
とはいうものの、早めに相続対策を始めることができる方にとっては、改正後もまだ暦年贈与は大きなメリットを持つ対策です。

弊所のブログ(下記)でご紹介した説明については、改正後少し補正が必要ではあるものの、基本的な考え方が変わらず活用できます。

これが贈与の全てだ! ~ プロが教える贈与のポイント
相続税の見積り計算と有利な贈与
「3代で財産がなくなる」相続税と効果的な対策(シミュレーション)

また、以下のシミュレーションを使うと「相続税を効果的に抑えることができる贈与額」を求めることができます。
相続税シミュレーション(相続税額と、有利な暦年贈与額の比較)

 

みんな知らない「役員」の怖い話

1.はじめに
税理士法人耕夢 代表社員の塩尻明夫です。
私は今「公認会計士・税理士・公認不正検査士・認定登録医業経営コンサルタント」として仕事していますが、元々は大学院まで機械工学を勉強していました。
物心ついた時から機械いじりが好きで、ガラクタとドライバーと半田ごて(電気回路を接続するために使う、一種の溶接器)がオモチャがわりという生粋の理系少年でしたから、そういった理系の道に進むのは当然のことでした。

さて理系というと「研究者」や「開発者」といった役割が多いイメージで、「経営者」とは対極の存在と思われがちです。

しかし、実際には理系出身で取締役に就任したり、経営者になったりという例もたくさんあります。これは立場や巡り合わせだけではなく、「会社経営に必要なのが営業や経理財務だけではない」ことが理由です。少なくとも我が国の産業で根幹を支える製造業においては、理系の能力も経営上必須なのです。

そんな理系の皆さんが取締役になったら「ぞっとする」話を今日は書いてみます。

社長イス・ハイバックチェアのイラスト

2.あなたは執行役員 or 取締役?
一般に「役員」と呼ばれる会社の役職にはいろいろあります。
「代表取締役CEO」といったら、なんだか偉そうですよね。
しかし、こういった呼び名の意味、皆さんどれくらいご存知でしょうか。
昔とある役員会で質問したら、誰も答えられなかったことがありました…
ということで、おそらく世の中で最も短い決定版の説明を作りました。

①法律(会社法)で定めたもの
「代表取締役」、「取締役」、「監査役」といった割と堅めの名前は、株式会社などの会社に関するルールを定めた「会社法」に定められています。
会社の経営に携わるのが「取締役」、その中で会社の顔として代表するのが「代表取締役」、取締役の仕事を監督するのが監査役です。
また取締役の会議を「取締役会」、監査役の会議を「監査役会」と呼びます。

この仕組みは日本やドイツ的で、アメリカの場合は「取締役」はどっちかというと日本の監査役のように業務を執行するトップの仕事を「取り締まる」役目になっています(この形は日本でも少し取り入れられつつあります)。
これらの役職には任期があり、1年~10年という任期が終わると一旦退任し、続けたければ就任時同様株主総会で選任される必要があります。

②組織の形に応じた呼び名
皆さんに最も馴染みのあるのは「社長」、「会長」、「常務」、「専務」、「相談役」といった役職名です。「執行役員」、「兼務」や「顧問」などもあるかもしれません。
社長が会社のトップであることはなんとなくわかりますが、会長はその上?また常務と専務がどう違う?

こういった説明は本やWEBなどで一生懸命なされていますが、実は「どれにも法的根拠は一切ない」のです。
これらは、日本的な会社組織を作る上で、組織図上従業員の上に位置する役職として扱われていることが多いようです。
実際の所、専務や常務がその位置に応じた意思決定を、明確な責任を伴って行っているかというと疑問を持たざるを得ない場合も多いです。

③機能に応じたもの
「CEO(最高経営責任者)」、「CFO(最高財務責任者)」、「COO(最高執行責任者)」という名前はよく目にします。「CTO(最高技術責任者)」も最近増えてきたようです。
これらも社長や専務同様、法律に基づく名称ではありません。
それぞれの機能に応じた経営判断や執行を、それぞれの責任を負って行う者のことを言います。
これらは主にアメリカでの企業経営形態、すなわち「トップダウン的な経営組織」を動かすために生み出されたものであると言われています。

3.取締役の責任
①会社法の規定
ここからは「会社法」に定める取締役について、本題である「ちょっと怖い話」をします。
まず、取締役と会社との関係は「委任」関係とされています(会社法330条)。
この委任関係がある場合、委任された側である取締役は「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ、善良なる管理者としての注意義務)」という割と幅広い義務を負うことになります(民法644条)。
また法令、定款、総会決議を守り、職務を忠実に遂行する義務も負います(会社法355条)。会社との競業に関する規制や利益が相反する取引に関する規制もあります。
そして、会社法第423条には「その任務を怠ったときは損害を賠償する責任を負う」と定められています。
これらの責任は、会社に対するものや外部の債権者に対するものの両方があります。
単なる従業員と違い、取締役の場合は直接的に責任を負わされる場合があるのです。

②どんな場合に責任が?
取締役が自分や関係者を利する目的で会社に損害を与えた場合は、①以前に「最大懲役10年」という「特別背任(会社法960条)」という罪になります。

しかし、自分がやっていない行為、例えば代表取締役など他の取締役が明らかに違法だったり放漫な経営をしているのに、取締役会で「反対しなかった取締役」も責任を負うこととされているのです。ここ非常に重いところで、「反対する」だけではなく、「反対したことを議事録に書く」必要があります。
会計不正で粉飾し、会社が責任を負うべき場合もこの対象です。

③専門外の取締役は責任を負わなくてよい?
以前、不正会計や粉飾が問題となったとある会社で、技術系の取締役が週刊誌のインタビューで「そんな会計のことなんて技術系の自分には関係ないしわからないから」と答えていたケースがありました。

これは大きな間違いなのです。

会社法は、取締役の責任追及に際して、その専門性を条件としていません。
つまり、会計上の責任であっても理系の取締役は会計担当の取締役と同じ重さの責任を負うことに(法律上は)なっているのです。また逆も然りで、技術的な不正(検査不正など)の場合は、文系業務の取締役も同じ重さの責任を負うことになります。

実際の所は、「その専門性によって問題を知りえたかどうかが変わる」ため、裁判上責任を問われると判断されることがまだ少なく助かっている方が多いようです。
要するに、責任を負わされるかどうかの可能性は少し低いが、もし負わされたら責任の重さは同じ、ということになります。

しかし、会社法で責任を負うことになっている以上、なんらかの事情で問題を知っていたと裁判上判断される場合には同じ責任を問われてしまいます。取締役になった以上は、自分の専門以外のことも勉強し、口を出したり反対したり、また差し止めたりといった行動が必要になっていると言えます。

④執行役員は?
「取締役」のつかない「執行役員」はどうでしょうか。
執行役員制度は、日本においては1997年にソニーが最初に導入したと言われています。
取締役ではありませんので、前述のような取締役の法的な責任はなく、部長や課長といった従業員としての責任が課されることになります。

もし自分の専門外の法律や責任を勉強する気が全くない方が役員就任の打診を受けたら、取締役にならず執行役員で止めておくことをお勧めしたいところです。

⑤破産した場合は?
会社が破産した場合はどうでしょうか。
取締役はその債務を押し付けられるでしょうか?
ここについては、「負わなくてよい」が正解です。
会社の債務については、個人保証などをしていない限り、取締役が責任を負う必要はありません。
(代表取締役などトップは保証をしている場合が多いと思いますが)
しかしこれで安心してはいけません。
破綻に至った原因がその経営方針であった場合、③で述べたように保証をしていない取締役にも経営責任があるということで、会社法上の責任が問われる可能性があります。

4.取締役になるか?と言われたら
長年頑張ってきて、オーナーなどから「そろそろ取締役になるか?」と問われたら…
ほとんどの場合、それは純粋にねぎらいからの言葉だと思います。また皆さん今回のようなことをあまり知らないので、全くの善意で出世させると思っただけと思います。
このため、普通「評価された」と喜ぶ人が多いでしょうね。

しかし、今回説明したように会社法を深く知ると、手放しで喜ぶわけにはいきません。

私がそんなシチュエーションでお勧めしたい返事は

「ありがとうございます。でも、私には取締役はもったいないので、執行役員程度にして頂けますか」

といったところです。

 

それでも「いやいや、絶対君がならないと」とか「断って俺の顔に泥を塗るのか!」などと言われ出したら、「裏に何かある」と思った方がよさそうです(笑

コロナ禍が「路線価」に影響

相続税を計算する際には、全ての財産の時価を計算する必要があります。
土地についての時価を計算するのに必要なのが「路線価」です。
上場株式なら株式市場でいつでも売り買いできる時価が公表されていますが、土地の場合はそうはいきません。税金の計算のように「公平性」が重要な場合、一般の取引価格をそのまま指標として使うことは無理があります。
そこで国は、全国的な調査を定期的に行って、地域ごとに1㎡当たりの時価を路線価として公表しています。
(この路線価について、詳しくはブログ記事「令和2年度の路線価とコロナの影響について」 をご参照ください)

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心斎橋大丸前

さて、令和3年1月26日、国税庁はこの年度の相続税計算に使われる路線価について、大阪市内の繁華街3地点を対象に減額補正(下方修正)すると発表しました。
減額補正は昭和30年に制度が開始以来、大規模災害時を除き初めて行われるものです。
コロナ禍の影響で廃業などが相次ぎ、地価が大幅に(20%超)下落したため路線価を著しく下回る状況が発生し、修正が必要と判断されたものです。また今後も大阪市と名古屋市の一部地点で減額補正を追加する可能性があるとのことです。

大阪市で対象となっているのは、心斎橋筋2丁目、宗右衛門町、道頓堀1丁目と、いずれもコロナ禍前にインバウンド需要が極めて高くなっていた地域で、2割を大きく超える地価下落が発生しています。
これらの地域については、今回4%の減額補正が行われるとのことです。

心斎橋
減額補正対象地域

まずは今年7月以降の相続についてこの減額補正が適用されることとなりました。
下落に比較して少ないような気もしますが、極めて異例の対応、関係する方は注意して適用しましょう。

令和3年税制改正の大綱について(概要)

1.税制改正の大綱とは
令和2年12月21日、「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。この税制改正の大綱は、政府が今後の税制改正のあり方について明確に方針を示すもので、毎年12月に公表されます。今回から数回にわたり、この税制改正の大綱について簡単に説明します。

税制改正の大綱は、政府が税制のあり方についての方針を示すもので、その後の税制改正はこの大綱に基づいて行われることとなります。

これに対し、与党自民党と公明党が発表する「税制改正大綱」と呼ばれるものも、政府の「税制改正の大綱」の直前に発表されます。これらはほぼ同じものなのですが、前者が「与党の方針を示すもの」であり、後者が「政府の方針を示すもの」であることから、場合によっては異なる場合もあり得ます。ただ現在のように政権与党がある程度安定している場合には「ほぼ同じ」と思っておいて良いようです。

税制改正大綱R3

2.税制改正の大綱の概要
今回発表された税制改正の大綱の概要は、以下の通りです。
これらのうち、私たちのお客様に大きく関係する項目については、これから数回にわたってメルマガ等で順次細かく解説いたします。

<個人所得課税>

  • 住宅ローン控除の特例の延長等(適用期限延長、面積要件緩和)
  • セルフメディケーション税制の見直し(範囲の重点化と手続簡素化、延長)
  • 国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置(国や自治体からの子育て助成を非課税に)
  • 退職所得課税の適正化(年数が短い法人役員の退職金課税を強化)​

<資産課税>

  • 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充(非課税枠を据え置き、面積要件緩和)
  • 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し(節税的利用防止、延長)
  • 土地に係る固定資産税等の負担調整措置(コロナ対策で負担調整据え置き)
  • 国際金融都市に向けた税制上の措置(外国人家族が相続する国外財産の課税対象外)

<法人課税>

  • 産業競争力強化に係る措置(DX促進、カーボンニュートラル、研究開発、コロナ禍対応賃上・投資促進、繰越欠損金控除上限引き上げ)
  • 中小企業支援(投資促進税制延長、所得拡大促進税制見直し、中小企業の経営資源の集約化)
  • 株式対価M&Aを促進するための措置の創設(M&A対象会社株主の譲渡損益課税を繰り延べ)
  • 国際金融都市に向けた税制上の措置(投資運用業役の員業績連動給与を損金算入可)

<消費課税>

  • 車体課税(エコカー減税及び自動車税・軽自動車税の環境性能割見直し等)
  • 金密輸に対応するための消費税の仕入税額控除制度の見直し

<納税環境整備>

  • 税務関係書類における押印義務の見直し(地方税関係書類についても同様)
  • 電子帳簿等保存制度の見直し等
  • 地方税共通納税システムの対象税目の拡大
  • 個人住民税の特別徴収税額通知の電子化
  • 国際的徴収回避行為への対応

<関税>

  • 暫定税率等の適用期限の延長等
  • 個別品目の関税率の見直し(ポリ塩化ビニル製使い捨て手袋の暫定税率無税)

令和2年度の路線価とコロナの影響について

7月1日、国税庁より全国の「路線価」が発表されました。
この路線価、相続税の計算をする際には非常に重要な指標となっています。
今回は、この路線価についてご説明します。

1.路線価って?
亡くなった方の相続人などにかかる「相続税」。
この相続税は、相続財産(亡くなった方から受け継がれる財産)の「時価」に、税率や相続人数などに基づいた計算を加味することで計算されます(「相続税の計算は意外と複雑」参照)。
相続財産に占める土地の割合は4~5割と非常に重要ですので、私たち税理士が相続税の計算を行う際、土地の時価を計算するのは非常に大事な仕事です。

しかしこの「土地の時価」を計算するにはどうすればよいでしょう。
上場株式なら株式市場でいつでも売り買いできる時価が公表されていますが、土地の場合はそうはいきません。
確かに、不動産会社を通じて「売りたい」「買いたい」といえばその状況に応じて価格がつきます。しかし、それはその特別な状況で採用される価格であって、税金の計算のように「公平性」が重要な指標として使うことは無理があります。

そこで国は、全国的な調査を定期的に行って、地域ごとに道路(不特定多数が通行するもの)に面する宅地について、1㎡当たりの時価を公表することとしています。これが一般に路線価(相続税路線価。この他、固定資産税課税の為の路線価もある)と呼ばれています。
※なお、特に市街地でない場所によっては路線ごとの時価が適していない場合もありますので、その場合には「倍率方式」と呼ばれる別の方法を時価として採用します。また、納税者が不動産鑑定士による鑑定評価額などを時価として採用することもできます。

2.路線価の例
路線価の例を見てみましょう。

銀座路線価

国税庁の路線価検索サイトから、「全国一路線価が高い」といわれる銀座5丁目周辺の路線価図を呼び出してみました。
ご覧の通り、全ての道路に細かい数字が示されています。
この数字が「路線価」、すなわち「1㎡当たりの土地の価格」になります。
※その他の記号も相続税を計算する上で非常に重要な意味を持つのですが、今回は省略します。

少々見づらいですが、図の左下に注目して下さい。
中央通りの「鳩居堂」と書かれた地点は、「45,920」と記されています。この数字は千円単位なので、1㎡当たりなんと4,592万円の価格となっている訳です。
この価格、いわゆるバブル期の3,600万円程度をはるかに上回っています。

3.大阪の推移
大阪で最も路線価が高いのは「梅田阪急百貨店前」です。
この路線価がどのように変化しているかを説明するため、今年から3年ごとにさかのぼったデータをまとめてみました。

路線価変遷

こちらも平成26年の1㎡あたり756万円が、平成29年には1,176万円となり、なんと今年令和2年には2,160万円にまで上昇しています。

国税庁が発表する地価の高い場所は、下記の通りです。
令和元年分都道府県庁所在都市の最高路線価

4.コロナの影響について
今回は地価が上昇している場所を中心にご説明しました。
これらは、インバウンド需要を中心に価値が暴騰したことが主な理由といわれています。
また、バブル後低迷を続けていた他の地域においても、このような場所に影響を受け、また旺盛なマンション建設需要などを背景に下げ止まっていた所でした。

しかし今回のコロナ禍を経て、地価がどのように変化するかが注目されるところです。
例えば、もしコロナ禍の影響で実際の土地実勢価格が大きく下がっていたとしても、相続税の計算はその前の非常に高い路線価で計算しなければならないのが原則だからです。
国税庁は、今後のこのような影響によって実際の地価が大きく下がる場合、その推移によっては路線価の減額修正を可能にする措置を導入することを検討しています。
この行方にも注意が必要です。

相続税の見積り計算と有利な贈与

1.相続税とは
人が亡くなった際にかかる「相続税」。
一般の人々にとってはなじみの薄いものだったのですが、昨年の改正によって相続税を払わなくてはならない対象者が増え、注目を浴びています。
この相続税、制度はものすごく複雑なのですが、簡単にいうと以下の通りの手順で計算されます。

①純財産…亡くなった時点の財産から負債を引いたもの。時価で計算します)
②基礎控除…相続人一人当たり600万円に、3000万円を加えたもの)
③(①-②)を法定相続分で相続したと仮定した場合の相続税額…①-②を法定相続分で割り、それぞれに相続税率を掛けます
④相続税総額…③を合計します
⑤それぞれの財産取得割合に応じて、④を再度配分します。

要するに、「全体を一旦法定相続分で分けたと仮定して総税額を計算し、財産取得割合に応じて分ける」という方法を採用している訳です。

この他、配偶者が財産を取得した場合の大きな特典や、その他控除、財産の時価を計算する場合の有利な制度等がありますが、今回は省略します。

2.財産に対してどれくらいの相続税がかかるか
相続税の「税率表」は、次の通りです。

相続税速算表
平成27年1月1日以後の場合の相続税の速算表(国税庁パンフより)

この税率表、見ての通り財産が増えると率も上がる「累進性」を取っています。

しかし、たとえば「法定相続分に応ずる取得金額」(1.の③を計算する際に利用します)が1億円から1.5億円になった場合、急に30%から40%になるかというとそうではありません。

右の「控除額」という欄を見て下さい。

税金を計算する際は、金額×税率から「控除額」を差し引きすることで、財産と税金の関係が滑らかな曲線に近くなるよう設計されているのです。2億円までの財産に対する相続税は、次のグラフのようになります。

相続財産と相続税の関係

相続財産(一人当)と税額との関係
(横軸が財産、縦軸が相続税額)

 

では実際にどれくらいの相続税がかかるのでしょうか。

財産や相続人の数応じてたくさんのパターンがありますから、ここでは3つほどの事例を挙げておきます。

1.と同様、税制上の特典利用等は省略していますので、相続人も配偶者なしの場合だけです。

①相続財産が5億円、相続人3人…1億2980万円(財産に対して約26%)
②相続財産が10億円、相続人3人…3億5000万円(同 35%)
③相続財産が1億円、相続人4人…490万円(同 約5%)

相続財産や相続人の数によって大きく変わることが分かって頂けたと思います。

相続財産、相続人と税金の関係については、当所のシミュレーションページにて色々と試してみて下さい。

3.「贈与税は高い」のホントと嘘
相続税は決して低い負担ではありませんから、生前に自分の財産を子供たちに移してしまい、相続税がかからないようにしたいと願うのは自然な流れかもしれません。

そうなると相続税が取れませんので、国は「贈与税」という制度を相続税法の中に置いて、そのような回避行為が出来ないようにしています。

贈与税の税率表は次の通りです。

計算方法は相続税と似ていて、贈与金額から基礎控除(110万円)を差し引いた金額に税率を掛け、控除額を差し引きます。

この計算に用いる贈与税の税率表(一般)は以下の通りとなっています。

贈与税速算表
相続税の表と比べて頂ければお分かりと思いますが、同じ税率に対して「対象となる財産の金額」が非常に低くなっています。ということは、より低い財産の時に高い税率が適用されるのです。

これが、贈与税が高いと言われるゆえんです。

このため、一般には「贈与は基礎控除(年110万円までなら税金がかかりません)までにすべき」という意見も良く聞かれます。

しかし、本当にそれだけが正しいでしょうか?

4.賢い贈与の利用
実際、贈与税の税負担はどれくらいでしょうか。
いろいろなパターンがありますが、例えば以下の通りになります。

(a)3人に110万円ずつ330万円贈与した場合…税額なし(財産に対して0%)
(b)3人に500万円ずつ1500万円贈与した場合…159万円(同 10.6%)
(c)1人に1500万円贈与した場合…450.5万円(同 約30%)
(d)1人に3000万円贈与した場合…1195万円(同 約40%)

これを2.の例と比較してみて下さい。

2.の例で説明した①の方は、何もしなければ相続財産に26%の相続税がかかります。となると、(a)、(b)の贈与を相続人の予定者(推定相続人と言います)に対して先に行っておけば、対象となる財産に関してはより低い税金で財産が移転出来ることになるのです。

同じく②の方ですと、(a)、(b)、(c)の方法までが有利となりますが、(d)は不利となります。

このように、相続税がかかる金額とその財産に対する比率を予想し、有利な贈与を毎年行っていけば、相続税は効果的に減らすことが可能です。

5.税理士の活用
ただ、良い事ばかりでもありません。この手法を使う場合には、例えば以下のような点に注意する必要があります。

  • 贈与税の申告が絶対に必要(贈与の翌年3月15日まで)
  • 相続発生以前3年内の贈与は、相続財産に含められる(払った贈与税は相続税の前払としてもらえる)
  • 財産の価値増減は読みにくく、有利と思っていたものが不利になる可能性もある
  • 時価の計算は、財産の多い人は全てが預金でもない限りは非常に難しい(特にオーナー会社の株式や不動産の時価計算)
  • 税額の計算シミュレーションは非常に専門的で、これもまた難しい

このため、この対策を採るに当たっては必ず相続税に強い税理士にアドバイスを依頼されることをお勧めします。

相続に「絶対的公平」はない~揉めない相続のために

いわゆる「相続税対策」や「事業承継対策」の仕事をしていますと、資産家や経営者の方々から「出来るだけ子供たちには公平に資産を分けたい」というご意向を伺う時が良くあります。

この「親が子を思う気持ち」、大変良くわかるのですが、悲しいことに相続において「絶対的公平」は不可能だと思って頂いた方が良いのです。

この記事に置いては、何故それが不可能かについて説明し、どのようにすれば「公平」が実現できるかについて述べてみたいと思います。

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1.財産分けの難しさ

相続において重要な「財産分け」。

この財産分けに置いては、よく「争族」と呼ばれるように揉めることが少なくありません。

なぜ単に「分ける」ことがそれほど難しいのでしょうか?

それは、相続をとりまくさまざまな法律や実務が極めて大きく影響しています。

 

今、100万円の預金があるとします。これをあなたとご友人の2人で「公平に」半分ずつ分けて下さい、と私が依頼した場合、あなたならどのように分けるでしょうか?

この場合は、当然ながら「50万円ずつ」が正解ですね。

しかし、同じ100万円であっても、一株の時価が現在100万円の株式ならどうでしょうか?

真っ二つに切り裂くわけにもいかないし、さりとて一人が一株を手に入れてしまえば、もう一人が受け取る分は無くなります。

このような場合、少し考えれば「株式を売却して現金化し、50万円ずつ分ける」ならば公平を保ったまま分けることが出来ると気づくかもしれません。

ではさらに、「その株式を現金化してはならない 」という条件が与えられた場合にはどうでしょうか。

幸運なことに、世の中にはこの問題に対する答えがきちんと用意されています。

株式をもらった側は、自らの手持資金から50万円を支出し、株式をもらっていない側に渡せばいいのです。

この場合、手持資金がなければ50万円を借りて支払ってもかまいません。なぜなら、手元には100万円相当の株式があり、50万円の借金が出来たとしても差引50万円の財産増加には変わりないからです。

ここでは、あなたが株式を受け取り、すぐに現金が必要であった友人はあなたから50万円の現金を受け取ったと仮定しましょう。

 

これで公平に分割が出来た、と思っていたあなたと友人は、後にそれが誤っていたことに気づきます。

というのも、この株式会社がその後すばらしい新技術を開発し、その技術を利用した製品の市場があまりに大きいため株価が一度に100倍になってしまったのです。

つまり、あなたの友人は50万円の現金しか手に出来なかったのに、あなたは一躍1億円(彼に先に50万円を支払っているから、正確には9,950万円)の価値ある資産を手に出来たことになります。

そうなれば、「損をした」友人はおそらく黙っていないでしょう。あなたの幸運をうらやみ、何がしかの補償を要求するかもしれません。分割時点では公平でも、結果として「公平」とはとてもいえない結果となったのですから当然とも言えます。

それに応じるかどうかはあなた次第ですが、いずれにせよあなたと友人の仲が悪化しないことを祈るばかりです。

さて一体、「公平な分割」とは何だったのでしょうか?

 

2.相続における財産分け(遺産分割)

このような問題は、当然ながら相続の現場において頻発します。

分割が「著しく不合理」であった場合には分割をやりなおすことも認められていますが、単に不動産の収益性の見込み誤り等による不合理については、そのような分割のやり直しを認められていません。

このような問題が起こる理由は、それほど複雑ではありません。

単に民法(相続法)、税法(相続税法)、経済実態(見込も含む)によって、全く「公平」の概念が異なるからなのです。

 

民法上の公平は、「相続が発生した時点の時価」によって評価した財産を公平に分割することにより実現できます。この民法の考え方が最も私たちの常識に近く、一般的であると言えます。

しかし経済実態上の公平は、その時点での時価評価だけを考えていては実現できません。

将来についても予測可能な範囲で考慮することが必要となります。
先の例で言えば、分割する時点で件の新技術の開発が実現していたならば、その果実を見込んで発生した株価上昇による利益の一部はあなたの友人にも当然与えられるべきであるとも言えます。

 

税法に基づいて公平を考えた場合には、民法の考え方とほとんどの場合同じ考え方となります。

なぜなら、相続税が課税される財産を計算する際は、原則として民法と同様に時価を採用するからです。

しかし、税法には他と大きな違いがあります。それは税法上の優遇措置などの政策的項目です。

一般的なものは下記の通りです。

 

・  小規模宅地等の評価減…居住用、事業用の宅地については大幅な減額が認められる

・  基礎控除、生命保険料控除…相続人数に応じて、非課税となる金額が増加

・  配偶者の税額控除…配偶者の相続分は、法定相続分か1億6000万円のいずれか多い方まで非課税

・  株式の評価手法…同族株主グループかどうかによって大きく時価が異なる

 

これらは、当然ながら時価で計算した結果との乖離を生み、当然ながら相続税額の計算にも影響を与えます。たとえば、配偶者の税額軽減など相続財産の配分方法によって税額そのものが変わってくるような制度の場合であると、民法上の公平を実現しても、税法上はもっとも税額を圧縮したとはいえなくなる場合が出てきます。

 

3.財産分け時の配慮

同じ「財産を分割する」ということであっても、法律等の考え方の違いで大きな差が発生することが分かって頂けたでしょうか。

当然ながら、民法、税法、経済実態のうちひとつの考え方だけを採用して分割を決定した場合、税金面で割高となったり、損をした(と感じる)他の相続人等から異論が出て来る可能性は高くなります。

財産分けを行う場合にはこれらのうちどの考え方を採用するかについて常に注意を払い、各相続人等に納得してもらう必要があります。

この納得してもらう方法にはいろいろありますが、やはり一番は被相続人となる予定の方(親など)が相続人となる予定の方(推定相続人)対してきちんと説明しておくことが大事です。またこれらを遺言によって説明しておくことも大変効果的です。

(参考:事務所ブログ 「遺言を書こう」

もちろん相続税を計算するわれわれとしても、分割の決定まではこれらを出来るだけ詳しく、わかりやすく説明することが不可欠であると考えています。

以上

平成27年からの相続税関係改正について

1.はじめに

平成25年度税制改正により相続税法(及び租税特別措置法)の一部が改正されました。これらの改正のうち、平成27年1月1日以降の相続等から適用されるものについて解説します。

 

2.遺産に係る基礎控除

相続財産が「基礎控除額」を超える場合、原則として相続税の申告をする必要がありますが、その基礎控除額が、次のように4割減とされました。

<改正前>5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
<改正後>3,000万円+ 600万円×法定相続人の数

 

3.相続税の税率構造

相続税額は、①課税価格の合計額から上記の基礎控除額を控除した金額である課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定した場合の各取得金額に対して、②超過累進税率により税率を乗じて算出し、③各取得金額に対する②を合計して計算します。

今回の改正により、この税率構造の一部について次のように変更されました。

法定相続分に対する取得金額

改正前

改正後

税率

速算控除

税率

速算控除

1000万円以下

10%

0万円

10%

0万円

3000万円以下

15%

50万円

15%

50万円

5000万円以下

20%

200万円

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

30%

700万円

2億円以下

40%

1700万円

40%

1700万円

3億円以下

45%

2700万円

6億円以下

50%

4700万円

50%

4200万円

6億円超

55%

7200万円

例:基礎控除後の相続財産が9億円で、相続人が子供ばかり3人の場合、相続税額は以下の通りとなります。

 ①課税遺産総額90000万円÷3=30000万円(一人当たり)
 ②一人当たり税額
 (改正前)30000万円×40%-1700万円=10300万円
改正後)30000万円×45%-2700万円=10800万円
 ③合計税額
 (改正前)10300×3=30900万円
 (改正後)10800×3=32400万円

(参考)贈与税改正

 

改正前

改正後

直系尊属→20歳以上

基礎控除後金額

税率

控除額

税率

控除額

税率

控除額

 200万円以下

10%

10%

10%

 300万円以下

15%

10万円

15%

10万円

15%

10万円

 400万円以下

20%

25万円

20%

25万円

 600万円以下

30%

65万円

30%

65万円

20%

30万円

 1000万円以下

40%

125万円

40%

125万円

30%

90万円

 1500万円以下

50%

225万円

45%

175万円

40%

190万円

 3000万円以下

50%

250万円

45%

265万円

 4500万円以下

55%

400万円

50%

415万円

 4500万円超

55%

640万円

例:1500万円(基礎控除後1390万円)の贈与をした場合、税額は以下の通りとなります

改正前                 1390万円× 50%-225万円=470万円
改正後
 親など→20歳以上の子 1390万円× 40%-190万円=366万円
 上記以外         1390万円× 45%-175万円=451万円

 

4.税額控除

①未成年者控除

相続開始時において相続人等が未成年者である場合、その相続人等の算出相続税額から控除する未成年者控除額の金額が次のように引き上げられます。

<改正前> (20歳一相続開始時の年齢)×6万円
<改正後> (20歳一相続開始時の年齢)×10万円

 

②障害者控除

相続開始時において相続人等が障害者である場合、その相続人等の算出相続税額から控除する障害者控除額の金額が次のように引き上げられます。

<改正前> (85歳一相続開始時の年齢)×6万円(特別障害者は12万円)
<改正後> (85歳一相続開始時の年齢)×10万円(特別障害者は20万円)

 

5.小規模宅地等の特例

①特定居住用宅地等の限度面積の拡大

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で一定の要件を満たすものについては、特定居住用宅地等として宅地等の面積のうち限度面積までの部分に相当する金額の80%相当額をその宅地等の評価額から減額することができますが、この限度面積が、次のように拡大されます。

<改正前> 限度面積…240㎡
<改正後> 限度面積…330㎡

 

②居住用と事業用の宅地等を選択する場合の限度面積の拡大

特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等を併用選択する場合の限度面積について、次のように拡大されます。

<改正前> 特定居住用宅地等…240㎡/特定事業用等宅地等…400㎡
→合計400㎡(注)まで適用可能 (注)一定の面積調整が必要
<改正後> 特定居住用宅地等…330㎡/特定事業用等宅地等…400㎡
→合計730㎡まで重複適用可能

 

6.まとめと対策

  • 基礎控除の減額で影響を受ける層…生前贈与、保険の活用、小規模宅地特例の適用による対策
  • 税率の一部アップで影響を受ける層…相続時精算課税や事業承継税制の活用、小規模宅地特例の重複適用による対策
  • 共通…事前準備、遺言作成、株価や不動産対策検討の重要性 

    以上

 

「出資持分なし医療法人」への移行と認定制度について

医療法人とは、「病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設しようとする 社団 又は 財団(医療法の定義)」を言います。
医療自体は医師等の専門家が行うべきものですが、病院のように大規模な組織や施設をもつ場合には、個としての活動には限界があり、組織経営が必要となってきたことから定められた制度です。

この「医療法人」制度は、昭和25年に始まり、その後昭和39年の「特定医療法人」制度や、昭和60年の「一人医師医療法人」制度など、変遷を経て現在に至っています。

さて、現在存在する医療法人の多くは、平成19年4月1日より前に設立された「出資持分(株式のようなもの)あり」法人となっています。
現在この「出資持分のある医療法人」の新規設立は認められておらず、「経過措置(型)医療法人」と呼ばれています。

これらの法人の出資持分には財産価値があります。このため、出資持分には以下のような問題が発生します。

  • 出資割合に応じて純資産の払戻しを請求できる
    →医療法人の資金が激減し、資金繰りを圧迫する可能性がある
  • 出資者が死亡した場合、相続財産となる(時価評価は株式等に準じて行われます)
    →換金できない資産(持分)に高額な相続税が課税される
    相続税の概算についてはこちら(相続税の概算)をご覧ください
  • ある出資者が持分を放棄した際、他の出資者持分の価値がその分上がったものとして、他の出資者に「贈与税」が課税される

このような問題を回避する手段として「出資持分なし医療法人」への移行という手続が準備されています。
この手続は、出資者が自分の出資持分を放棄することで、上記のような問題を解決することを目的としています。
(※もちろん、こういう問題に心配が要らない場合、持分ありのままでも問題ありません)

この「出資持分なし医療法人」への移行を促進するため、厚生労働省は 「認定制度」を作りました。
認定制度の流れは、以下の通りです(厚生労働省資料より )。

この制度の特徴は、以下の通りです。

  • 認定を受けると、上記の問題点で説明した「贈与税」「相続税」の納税が猶予されます
  • 認定の日から3年以内に出資持分が放棄され、持分のない医療法人になると、猶予された税額が免除されます

なお、出資持分の免除により、免除した者の相続税や贈与税が不当に減少すると認められる場合(相続税法66条④)の「法人に対する贈与税課税」は、依然としてのこっています。この課税がなされないためには、運営組織の適性性や法人の社会的存在としての認識など、いくつかの要件を満たす必要があります。

出資持分は財産であるとともにオーナーシップの源泉であり、これを簡単に放棄することは医療法人の経営に悪影響を与えるかもしれないという懸念をお持ちの方も多いと思います。
この考え方は間違っている訳ではありませんが、他方多くの医療法人が抱える純資産は、前述のような金銭的問題を必ず生みます。
財産的オーナーシップの消失は、人的なオーナーシップ(ガバナンス)などでカバーすることも可能ですので、経営体制の強化とともに、ぜひこの認定制度を活用し、持続的な病院・診療所経営が可能となる体制を整えて頂きたいと考えております。