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どんな会計ソフトでもOK(汎用データコンバータ)

1.財務会計データの非互換性
会計ソフトに代表される財務会計用ソフトウェアは、それぞれの開発会社が独自に定めた方法でデータを保存しており、当然ながらそれぞれの間に互換性(相互に利用できること)がありません。
このため、例えばある会計ソフトを長年利用してきた会社が、別のより使いやすい、廉価な会計ソフトに移行したいと考えたとしても、旧ソフトから新ソフトへのデータ移行は容易ではありませんでした。
また、同じ開発会社の会計ソフトと販売管理ソフトは連携の取れる場合が多いのですが、違う開発会社間の連携はごく稀なケースを除いては不可能でした。
そんな訳で、これまで財務会計用ソフトの世界は、データの非互換性が一種の「移動障壁」であったと言えます。

2.汎用データコンバータ
このような状況に対応するため、税理士法人耕夢は「汎用データコンバータ」を開発しました。

汎用データコンバータを利用した業務の例

このコンバータは、①ある会計ソフトウェアや販売管理ソフトウェアなど、決まった様式で多数の取引などの情報を持つデータ(ソースデータ)から、別のソフトウェアにおいて取扱が可能な様式へ、一度の簡単な設定後は自動的に変換を行うことができる、一種の「フィルタ」と呼ばれるアプリケーションです。

このコンバータを利用することで、お客様がどの会計ソフト(仕訳をCSVなどテキストデータの形で出力が出来るものに限ります)をご利用の場合でも、簡単な基礎データ収集と初期設定によって私どもの事務所で使用する会計ソフトの形式へのデータ変換が可能です。

3.汎用データコンバータでできること
では、この汎用データコンバータでどのような作業ができるでしょうか。 現在実際に行われている作業の一部をご紹介します。

1)会計ソフト移行
このコンバータが最も力を発揮するのがこの作業です。
新しく顧問先になって頂いた会社が現在会計事務所で使用しているものと異なる会計ソフトを使用して経理業務を行っておられる場合、いわゆる「自計化(顧問先にて基本的な記帳を行い、会計事務所が内容の確認を行う方式)」状態を続けるためには、従来は

  1. 顧問先においてBをAに変更してもらう
  2. 会計事務所でBを新たに購入し、受け入れをする

など、共通の会計ソフトをどちらかで購入する必要がありました。
しかし、汎用データコンバータを用いることで、顧問先は従来通りの会計ソフトで記帳し、そのデータを会計事務所の会計ソフトに変換して受入れ、チェックや決算、申告書作成を行うという業務の流れが可能になります。

2)販売管理などサブシステムとの連携
同じメーカーのソフトを使っている場合、販売管理ソフトなどサブシステムと会計ソフトは通常連携が取れるようになっています。
しかし、会計ソフトとサブシステムのメーカーが違うというケースは以外と多くあります。その理由はいくつかありますが、例えば次のようなものです。

  1. 会計ソフトと同メーカーの販売管理ソフトが営業形態に合わない
  2. 会計ソフトは経理部、販売管理ソフトは営業部と別々に導入が行われた

このような場合も、汎用データコンバータは違うメーカー製ソフトウェア間の連携を取ることができます。例えば販売管理ソフトから販売データ、入金データなどをデータ出力し、これを会計ソフトの仕訳データに変換後会計ソフトで取り込むといった処理が可能となります。

3)財務会計データの総合チェック
汎用データコンバータの機能を用いて会計データをチェック用に加工し、勘定科目や摘要記載、消費税処理、仕訳検索、ベンフォード法(※)判定データなどの機能を付加することで、会計データの適正性や税務調査対策、ひいては不正調査に至るまでの業務を行うツールが作成できます。
弊所はこのツールを用いて不正調査や新規顧問先の予備調査などを行っています。

※自然に発生する数字の集合においては、その最初のn桁の発生度合いは一定の対数関数カーブに従うという法則。このカーブから外れるものは何らかの人為的な行為が含まれている可能性が高い。

4.汎用データコンバータの今後
今後会計はPCソフトウェアからクラウド環境へ急速に移行するものと予想されます。
また、資料をAIなどで画像処理することで自動会計仕訳が作成されたり、電子商取引の情報がそのまま財務会計データとなるなど大きく変革していきます。
しかし、会計という考え方が完全に変わってしまわない限り、「日付、摘要、勘定科目、金額」という基本的なデータ構造は不動となります。
恐らく将来的にはブロックチェーン技術(参考記事はこちら→仮想通貨技術を支える「ブロックチェーン」について)を活用し、プラットフォームを横断した財務会計情報がクラウド上で取り扱われるような形になっていくと思いますが、それまでは様々な形で偏在するデータを使わざるを得ません。その間の「つなぎ」として、しばらくは活用することになるのではないかと思います。

以上

コロナワクチンとリスクマネジメント

先日、新型コロナワクチンの2回目接種を終えました。
想定された通り若干の発熱など副反応は起こりましたが、大事に至ることなく終わりました。
変異種である「デルタ株」には効かないとか、ワクチン接種は危険だとかいう意見を散見しますが、今回はワクチンの説明とともになぜ私が受けたかを書いておきます。

1.感染症と統計学
世の中にはたくさんの病気がありますが、その中でも細菌やウイルスによって引き起こされる「感染症」は厄介です。これらは宿主の体の中で増えて病気を引き起こすだけではなく、さらに別のターゲットを目指して感染を広げようとするからです。
細菌やウイルスの病原性が強いほど危険かというと、生物的にはそうも言いきれません。
感染を広げるには、「生かさず殺さず」宿主に活動してもらって、どんどん広げてもらう方が良いからです。

感染の広がりやすさは、病原性の強さよりも感染力、潜伏期間(感染してからどれくらいで発症するか)によって変わります。極めて強い病原性と高い死亡率の「エボラウイルス」がそれほど広範囲に広がらないのに対し、人によっては無症状で終わる新型コロナウイルスが今回のような世界的な流行になった理由の一つはここにあります。

このような特徴を持つため、感染症の広がりを予想したり対策を採る際には、統計学をベースにした様々な「モデル」が採用されます。このことと、我々が採るべき「リスクマネジメント」が重要な関係を持つことは後述します。

2.ワクチンの働き
人の体はよくできていて、細菌やウイルスのような病原体が体の中に入ると、それらを異物として戦いながらそれらの特徴を覚えて体中に伝達し、次の機会に戦いやすくします。このような「免疫」という仕組みがあるので、一度感染症にかかった場合でも次はかかり難かったり、かかっても重症化しにくくなります。

ワクチンはこの「免疫」の仕組みを人為的に利用します。
後で説明する様々なしくみを使い、ワクチンはウイルスや細菌などの病原体に対する免疫を作り出します。この時重要なのは、自然に病気にかかった時と違い、病気の発症なく比較的安全に免疫を作り出す点です。人間世界に当てはめると、災害などの訓練を行うようなものと言えます。

3.ワクチンの種類

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厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」より

①生ワクチン
最も初期に開発されたワクチンです。
19世紀初頭、天然痘を予防するため、イギリスの医師ジェンナーが牛の天然痘である「牛痘」が乳しぼりをする人に感染した際の水疱液を人に注射したのが始まりです。
生ワクチンは病原性を弱めた病原体から作られており、接種することで実際にその病気にかからせ、退治することで強い免疫力を付けることを狙っています。しかし、病原体そのものであるためリスクは比較的高く、取り扱いには気を付ける必要があります。

②不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン
病原体に感染力をなくす処理をしたり、病原体と同じ構成のたんぱく質を使う方法です。
これらは生ワクチンと違って「ホンモノ」ではなく1回接種しただけで十分で持続性ある免疫を得ることが出来ないため、安全性とのトレードオフとして通常は複数回の接種が必要となります。

③mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン
さらに進んだものがこれらのワクチンです。
これらのワクチンは、ウイルスを構成するたんぱく質の遺伝情報を取り出し、これを人の細胞に伝えてウイルスと同じ特徴(但し病原性なし)を持ったたんぱく質を生成させる方法です。
mRNA、DNA、ウイルスベクターの違いは、この遺伝情報を伝える方法をそれぞれRNA(リボ核酸)、DNA(デオキシリボ核酸)、ウイルスとしていることによるものです。
mRNAは非常に壊れやすいため、温度管理が重要となります。mRNA方式の新型コロナワクチンが輸送や保存に冷凍庫を必要とするのはこれが原因です。

4.リスクマネジメント
前述の通り、感染症の広がりを理解する際には統計学的な考え方が大変重要です。
となると、これを予防する、抑え込むにも統計学的に考えなければなりません。

ここにリスクマネジメントの考え方が生きてきます。
リスクマネジメントは、「リスクをゼロにする」ことを目的としていません。
リスク(一般的には危険な事象)に対し、様々な対策を採ることで、それが具現化する可能性を減じて行き、最終的には許容できる範囲にまで弱めることを意味します。

新型コロナウイルスについては、いわゆる三密(密集、密接、密閉)を避ければ感染しにくいことがわかっていますし、マスク、手洗い、うがい、消毒など対策が感染リスクを下げることも明らかとなっていますが、感染の広がりを見ていると許容できる範囲までリスクを低減しているとはいいがたい所があります。

これに対し、ワクチンについては上記の対策に加えてさらに感染や重症化のリスクを下げる効果が認められています。ワクチンを接種することについては、新しく、急いで開発されたことなどに起因する様々な懸念や変異種への効果など懸念もありますが、当面は自身や周囲の感染リスクをさらに下げるため、必要ではないかと思って接種した次第です。

専門家でない私の目から見ても明らかに「デマ」と言える情報がSNSなどで流布されていますが、できるだけ冷静に判断し、何よりも自身や周囲の大切な人たちを守る行動をしたいと思います。

ランサムウェアなど迷惑メール、どう防ぐ?

メールを使うと必ず問題になるのが、望まない広告やいかがわしい内容が書かれた迷惑メールや、コンピュータウイルスが添付された危険メールです。
特に最近、「ランサム(身代金)ウェア」と呼ばれる手法が話題になっています。
本物と紛らわしいアドレスなどをクリックすると、使用しているファイルなどが全て暗号化されてしまい、身代金を払うまで解除されない、という犯罪行為です。
この手法で、アメリカにでインフラの天然ガス施設がストップしてしまう、といった大きな被害も出ています。

電子メールは現代のビジネスに無くてはならないものですが、他方このような迷惑な代物も呼び込んでしまいます。

この記事は、私の事務所を例に、どのような方法で防ぐことが出来るかをご紹介します。

1.電子メールのリスク
アメリカ民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏は、国務長官時代に、機密情報を含む可能性のある電子メールの送受信に私用電子メールアドレスを使用していた事実で批判の的になっています。この問題は、2016年米大統領選でドナルド・トランプ氏に敗れた原因の一つともいわれています。
​​​​​​​こういう概念自体が、いわゆる冷戦時代には考えられなかったことですね。

一般ビジネスの世界においても同じです。現在「会社の業務に電子メールを使用していない」という会社は、余程の理由がない限りもうほとんどないと思います。

ただこの電子メール、実はその成り立ちを原因として、元々あまり機密性が高くない仕組みを持っています。

例えば、特にセキュリティ上の配慮をしない場合、一定の知識を持った者が途中で傍受することが可能です。また、他人に成りすましてメールを送受信することもさほど難しい技術を要しません。

このような問題は非常に大きいものの、技術的専門性が高く「添付ファイルへのパスワード付加」などで対処も可能ですから今回は触れません。

普通のユーザーには、「迷惑メール」や「ウイルスメール」、「ランサムウェア」といった被害がもっと実務的に問題となるのではないかと思いますので、以下ご説明したいと思います。

 

2.迷惑メール
迷惑メールは、古いコメディ「モンティ・パイソン」の一コントから転じて俗に「スパム」と呼ばれています。

その概念は広く、単なる広告メールから、詐欺やアダルト目的などいかがわしい情報を送信するもの、またデマを次々に転送してばらまかせるものまで、多岐にわたります。

仮にメールアドレスを変更しても、どこからか不正に収集した個人情報を使って次々送信してくる、文字通り迷惑なメールです。

3.危険メール
危険メールは迷惑メールに含まれる概念です。
ただ、迷惑メールが単に不必要な情報を送りつけてくるのに対し、危険メールは受信した者やその周囲に明確な悪影響を与えます。以下のようなものがあります。

  • ウイルス添付メール…メールにコンピュータウイルス(悪意をもって動作するプログラム)が添付されており、添付ファイルを閲覧などするとコンピュータが感染してしまいます。
  • フィッシングメール…綴りは「Phishing」です。電子メールを介して偽のページなどに相手を誘導し、クレジットカード番号等の個人情報を聞き出す詐欺です。
  • ランサムウェア…パソコンのデータファイルを勝手に暗号化し、「解除して欲しくば金を払え」と脅迫する、一種のウイルスです。ランサム(身代金)の意味通りの目的で送られます。

大阪府警WEBより ランサムウェア「Wannacry」
大阪府警ページより ランサムウェア「ワナクライ」画面

4.日本の法律における規制
迷惑メールの規制に関する日本の法律としては「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」と「特定商取引に関する法律」がありますが、正直大きな効果を上げているとは言い難い状況です。

5.迷惑メール、危険メールへの対処
何もしない?
対処方法として「何もしない」方法もあり得ますが、ウイルス等のターゲットとなるパソコンで受信し、感染した場合には顧客企業へのウイルス送信元になったり、社内の機密文書が流出したりといった大きな被害が出かねません。
また、ランサムウェアにより重要なファイルが暗号化されると、全ての業務が止まってしまう可能性もあります。解除しようと身代金を支払うことは、犯罪者集団を助ける(金銭だけではなく、「どこどこも支払ったよ」という実績となる)ことにもなり大きな問題があります。

何らかの被害が出た場合には、対策を取っていなかった企業はその賠償などの責任を免れない可能性が高くなります。

ウイルス対策ソフトをパソコンにインストールして頻繁に更新している場合にはこのようなリスクは大きく減りますが、それでもランサムウェアや不要な広告などの「迷惑メール」は完全に防げません。

メールソフトで対策
この方法は、メールソフトにウイルス対策ソフトの機能を追加して、受信時に対策を取るものです。

メールソフトがメールサーバーに接続した際、受信するメール一つ一つを検査し、危険メールや迷惑メールと判断されたものは受信フォルダとは違う場所に「隔離」するか削除し、受信してしまうのを防ぐものです。

また、危険メールや迷惑メールと判断されたメール送信元を登録し、次回からはその相手からの受信自体を拒否するという方法も採ります。

ただ、この方法はそれぞれのパソコンに適切な設定を行っておく必要がありますし、ユーザーが別のメールソフトを使っていたり、機能を無効にしていた場合には動作しません。また、誤って拒否すべきメールを受信してしまう場合も多くあります。

メールサーバーで対策
この方法は、メールサーバーそれ自体が危険メールや、迷惑メール隔離機能を持っているものです。

メールサーバーが危険メールや迷惑メールの特徴を記録した膨大なデータベースを持っており、人工知能等も利用して、サーバー側で迷惑・危険メールをブロックします。

現在、大手インターネットプロバイダはおおよそこの機能を備えたメールサーバーを提供しています(OCNの例 https://support.ntt.com/ocn/support/pid2900000s5y)。

OCNの場合、危険メールや迷惑メールのブロック率はほぼ100%で、また誤ってブロックしたケースもほとんどありません。加えて、1週間に1回、どのようなメールがブロックされたかのリストを送ってきますので、誤って重要な連絡をブロックされてしまうことはほとんどありません。

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「迷惑メール自動判定(無料)」と「迷惑メールブロックサービス」(OCN)

コストや使い勝手を考えると、③に②を組み合わせる方法が最も効果的なのではないかと考えます。

④メールを使わない(ビジネスチャットツールの利用)
前述の通り、メールはそもそもインターネットの黎明期に学術的な発想で生まれた手法です。
メールはインターネットを構成する回線やサーバ中を転送され、多くが暗号化されずにのぞき見が可能な状態となっています。
また、メールを多く使われる方はお分かりと思いますが、多数の同報送信、「cc:」や「Bcc:」といった補助送信先が含まれたメールのやり取りが多く繰り返されると、議論がどうなっているかわからないことも多くあります。そのようなメールに、共同作業のファイルが添付されていたらどのファイルが正しいバージョンかもわからなくなります。

このような状況を解決するため、多くの企業でメールの使用をやめる意思決定がなされ、その代わりに「チャットツール」と呼ばれるコミュニケーションツールが台頭しています。

現在多く使われているチャットツールは、下記のようなものです。

  • Slack(スラック)
  • Chatwork(チャットワーク)
  • Microsoft Teams(マイクロソフトチームス)
  • LINE Works(ラインワークス)

これら以外にもチャットツールがありますが、ビジネスに利用する場合にはできるだけ利用者の多いものにすることや、無料であるからといってセキュリティレベルの不明なものなどを使わない、といった一定の配慮は必要です。

弊所は、耕夢システムの一部である「Chatter(チャター)」を利用しています。
このChatter、セールスフォース社が提供しているのですが最近上記のSlackを買収したとのニュースが流れ、これらの勢力図がどうなるのか興味ぶかい所です。

 

大法人の電子申告義務化について

1.電子申告とその義務化について
米国などに比べ遅れていた行政の電子手続化を進めるため、2004年に施行された「行政手続オンライン法」(正式名称は「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」)に基づき我が国でも国税の電子申告システム整備されました。
このシステムはe-Tax(イータックス)と呼ばれ、パソコン等からインターネット経由で確定申告や申請書の提出などを行うことができます。
主要な国税の、過去10年余りの利用件数は下記の通りとなっています。

電子申告推移
各年度・主要税目の電子申告利用件数(国税局資料より抜粋)

しかしながら、旧来の「紙で提出する」実務が大企業などにも深く浸透していたことから十分な普及が進まず、元々の目的であった行政の効率化が果たせない状態となっていました。

そこで、経済社会のICT化等が進展する中、税務手続においても、ICTの活用を推進し、データの円滑な利用を進めることにより、社会全体のコスト削減及び企業の生産性向上を図ることが重要であることから、平成30年度税制改正により、「電子情報処理組織による申告の特例」が創設され、一定の法人が行う法人税等の申告は、電子情報処理組織(以下「e-Tax」といいます。)により提出しなければならないこととされました。(e-Taxページより)

義務化後最初の申告(令和3年3月期)が待ったなしとなりましたので、義務化とその対応方針についてご説明します。

2.電子申告の義務化の概要

  • 法人税及び地方法人税並びに消費税及び地方消費税
  • 資本金の額又は出資金の額が1億円超の内国法人、相互会社等…法人税・地方法人税、消費税・地方消費税


電子申告義務化対象法人
e-Tax義務化法人一覧(e-Taxホームページより)

  • 国及び地方公共団体…消費税・地方消費税
  • 確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書及び還付申告書が対象で、これらに添付すべきものとされている書類の全てを含む
  • (例外)電気通信回線の故障、災害その他の理由によりe-Taxを使用することが困難であると認められる場合、納税地の所轄税務署長の事前の承認を要件として、法人税等の申告書及び添付書類を書面によって提出可

なお、電子申告義務化対象法人は、納税地の所轄税務署長に対し、適用開始事業年度等を記載した届出書(「 e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を下記の期限までに提出する必要があります。

  1. 令和2年3月31日以前に設立された法人で令和2年4月1日以後最初に開始する事業年度(課税期間)において義務化対象法人となる場合…当該事業年度(課税期間)開始の日から1か月以内
  2. 令和2年4月1日以後に増資、設立等により義務化対象法人となる場合
    イ 増資により義務化対象法人となる場合…資本金の額等が1億円超となった日から1か月以内
    ロ 新たに設立された法人で設立後の最初の事業年度から義務化対象法人となる場合…設立の日から2か月以内
  3. 令和2年4月1日以後に義務化対象法人であって消費税の免税事業者から課税事業者となる場合…課税事業者となる課税期間開始の日から1か月以内
  • 令和2年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から適用(地方税の法人住民税及び法人事業税についても電子申告が義務化)
  • 電子申告の義務化法人は、書面による申告書の提出は認められません。このため、電子申告の義務化の対象となる法人が、e-Taxにより法定申告期限までに申告書を提出せず、書面(添付書面含む)により提出した場合、その申告書は無効なものとして取り扱われることとなり、無申告加算税の対象となります。
  • 但し、やむを得ない理由で一部が紙で申告された場合、「申告書の主要な部分(どの部分が主要であるかは公表しない)」が電子申告されていれば、必ずしも無申告として取り扱う訳ではないとの見解(国税庁)

3.CSV形式で提出可能となるもの
(国税庁HPにCSV形式を簡易に作成できる標準フォームが掲載されています)
①別表の明細書のうち内訳の記載を要する別表6など
②財務諸表(勘定科目に国税庁から公表される勘定科目コード(令和元年に公表予定)を付ける必要あり
③勘定科目内訳明細書

4.PDFで提出可能となる添付書類
①一部のリリース前別表
②出資関係図
③経営力向上計画に係る認定書の写し
④申告に添付が必要な証明書など

5.添付すべき書類が大量にありe-Taxによる提出が出来ない場合は、光ディスクによる提出も可能

6.別表16(減価償却に関する明細書の添付)
元々、この別表16は「固定資産の科目別の合計を記載して提出し、明細の記載は省略できる※」とする取り扱いがありました。この取り扱いは電子申告義務化でも踏襲されています。
※法人税法施行令第63条第2項 その区分ごとの合計額を記載した書類を当該事業年度の確定申告書に添付したときは、同項の明細書を保存している場合に限り、同項の明細書の添付を要しないものとする

7.相続税の電子申告について
相続税法に基づく申告には「贈与税」と「相続税」がありますが、これまでは「贈与税」のみが電子申告の対象となっていました。
これが今回改められ、本年(2019年)10月から「相続税」でも電子申告が可能となることが決まっています。
遺産分割協議書など、電子化が難しい書面の提出をどのように行うかが問題となりますが、最後に残されたこの税目が電子申告の対象と納税者の利便性は大きく向上することになります。

8.対応方法について
これまで電子申告を利用していなかった法人や、一部を紙提出していた法人の場合、上記(義務化)の対応は少し面倒なものになるかもしれません。しかし、電子申告を上手に導入すると、結果として手続が非常にシンプルで効率的になり、誤りや税務調査リスクを低減することにもつながります。
またこのメリットは、今回義務化の対象となる大規模会社だけではなく、中小企業でも同様に受けることが可能です。

弊所はe-Tax登場とほぼ同時に、対応するほぼ全ての税目において電子申告での提出を実現しています。
また、上場会社を含む大規模法人や金融機関に関しても、電子申告を含む法人・消費税申告手続に関与しており、実務に精通しています。
特に電子申告の義務化に対応するためにはもちろん電子申告に対応したシステムが必要になりますが、システムの導入だけに終わるとせっかくの効率性が失われたり、システム投資の肥大化を招いてしまう可能性もありますので、実際に資料の準備からシステムの選定、決算書作成や税額計算、申告書の提出までの電子申告実務を十分に理解している専門家の関与が必須となります。

電子申告を新たに導入する場合、また現在導入しているがより効率化を図りたい、税務調査リスクを低減する申告を行いたいなどのご希望がありましたら是非お問合せ下さい。

新規事業を探すには(天才ではないあなたの為に)

1.ポストコロナ・ウィズコロナと事業再構築補助金
現在、業種業態の転換や新しい事業に取り組む企業が増えています。
これは、コロナ禍の中、またポストコロナ・ウィズコロナを見据えた場合、戦後から連綿と続く昭和的な価値観や経済社会が大きく変化し、それにビジネスを適応させる必要があるからです。

そういった状況に合わせ、国は「中小企業等事業再構築促進事業」という制度を創設しました。
この制度は、下記①~③に該当する中小企業等に対し、最大1億円の補助金を出して新事業や事業再構築を支援するというものです。

①直近6か月間のうち任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少
②事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む
③3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成

事業再構築補助金については、弊所岐阜事務所(しのだ会計)のブログにてご紹介しており、今後新しい情報が出たら随時お知らせ致します。

2.新規事業の探し方
この制度の適用を受けるためには、新しい事業について事業計画を策定し、そして付加価値の増加につなげる必要があります。

では、新規事業を探すにはどうしたら良いのでしょうか。
安藤百福さん(日清)のチキンラーメン、またスティーブジョブス(アップル)のiPhoneといった、革新的というより世界を変えるほどの革命的新事業が思い浮かんだら素晴らしいですよね。
しかし、普通の皆さんがそんな発想を得るのは至難の業です。
(実際、上の両製品とも、一つ間違えば大失敗になっていたかもしれません)
では、そういった「天才ではない」普通のあなたが新事業を思いつくためにはどうしたら良いでしょうか。
それにはちゃんと定石があります。
今回は、私たち税理士が普段お客様にお話ししている内容を、少しだけご紹介したいと思います。

①基本的な考え方
どんな事業でも、収益をあげなければ意味がありません。
正確に言うと、世の中に付加価値を生むような事業でなければ、そこから収益は取れませんし、持続しないのです。
100円で仕入れたものを80円で売るのは事業でしょうか?
ひょっとしたら安いものだけを好む人には大人気かもしれませんが、すぐ資金が立ち行かなくなるでしょう。
これは単に損をしているだけではなく、折角100円という価値のついているものを80円に落とすことで、経済的観点からは付加価値を下げる(世の中の価値を下げている)「悪」なのです。
また、いくら収益を上げても他の参入などによって継続できなければ意味がありません。
継続して安定した収益を継続するには、何らかの参入障壁が必要なのです。
では、安定した収益を継続するために必要な要素は何でしょうか。
要約すると以下の3つになります。
・ゼロから始めない
・2つ以上を組み合わせる
・嫌なことから探す
これを以下説明していきます。

②ゼロから始めない
「新規事業」というと全く新しい何かを見つけるものと思われていますが、実際には(そして普通であるあなたにとっては)そうではありません。
必ず、自身がもともと持っている人、モノといった資源を活用することから考えるべきです。
人としては従業員だけではなく、友人・取引先だけではなく、ひょっとしたらライバルのような自分を取り囲む全ての者が含まれます。
また、モノについても同じで、所有する資産だけではなく、使えるものすべてを見逃さずに使うべきです。
あなたが既に活用している資源を使うのですから、他の人たちよりも一歩も二歩も先んじていることになります。これが大きな参入障壁になりうるのです。

例:ホンダオデッセイ
1990年代、車の需要がミニバンやSUVに移る中、ブームに乗り遅れたホンダは売上が低迷していました。
ここで、起死回生の企画として作り出されたのが「オデッセイ(初代)」です。
実は、それまでのホンダは「車高が低くてカッコいい車こそ善」というスタンスで、ミニバンやSUVのような背の高い車を作る設備が無かったのです。しかし、業績も悪化している会社に全くの新工場を作る余裕はありません。
なんと、ここでホンダがとった判断は「背の低いセダン用工場で作れる限度の車高で設計する」という「あるものを使う」方針でした。
この意外な戦略が大ヒットを生みます。
背が低い代わりに、様々な設計上の工夫をして車内を広くしたことで、「使い勝手はいいけど見た目や走行性能は悪い」というミニバンの常識を覆す、スタイリッシュなデザインと高い走行性能を得たのです。
この結果、一時は目標の30倍を超える販売実績を達成するに至りました。

オデッセイ
(写真:ホンダ オデッセイ)

③2つ以上を組み合わせる
何かとネガティブな印象を持たれることもある「ホリエモン(堀江貴文氏)」ですが、非常に良いこともたくさん述べています。
その中の一つが「100万分の1の人材になる方法」です。
100万分の1とはオリンピックで金メダルを取るような確率で、とても普通の人が目指せる水準ではない、と思われがちですが、彼は書籍の中で下記のように述べています。

「まず、対象や分野は何でもいいということを念頭に置いてください。そこで『100人の中で1番になる』ことを考えるとどうでしょう。頑張れば何とかなれるものが見つかるのではないでしょうか。その『100分の1』の要素を自分の中で3つ見つければいいんです。そして、3つを掛け合わせれば『100万分の1』になれます。

希少なほど付加価値は上がり、参入障壁が大きくなるのは当然ですが、このような考え方は「普通の人」を勇気づけてくれます。
彼が言うように100万分の1でなくても、100分の1を2つだけでも1万分の1になります。
企業経営としては十分な水準です。

例:機能性チョコレート
元々チョコレートは完全な嗜好品で、甘くておいしいといった魅力以外は、虫歯や肥満などネガティブなイメージが付きまとう食品でした。
しかし、最近は機能性表示食品制度開始が追い風となり、「ポリフェノールの強化」や「脂肪や糖の吸収を抑える」「乳酸菌入り」などといった健康への配慮を組み合わせたチョコレートがヒットしています。

チョコレート効果
(写真:明治 チョコレート効果)

④嫌なことから探す
昔から「好きなことで仕事はできない」と言われますが、別に「自分が」好きなことを仕事にするのは悪いことではないと思います。
しかし新規事業を探す場合、「好きなこと」を追っても何も出てきません。
そこには「満足」しかないからです。
世の中のビジネスのほとんどは、「嫌なこと」「困ること」を解決するために生み出されたと言っても過言ではありません。そういう人間の困ったことを解決するから付加価値を高く出来るのです。
自身が嫌なことや困ることを探すのも良いですが、やはりいろいろな人にそれを聞き出すことは大変有効です。普段のビジネスや人付き合い、インターネットやその他メディアなどにおいて、「人が何を嫌がり、困っているか」という観点のアンテナを張っておくことはとても重要です。

3.情報収集する・相談する
ここまで読んで「なんだそんなことか」と思った方もおられるかもしれません。
そういう方は既に事業で成功している方だと思います。
しかしこれから新しい事業で成功を目指す人は、この3条件を中心に据えてひたすら考えてみて下さい。
とはいうものの、一人で単に考えているだけではなかなか良いものは生まれません。
また、いくら良い事業アイデアがあっても、資金の手当てが無ければ実現できませんし、法律や税金をはじめとした我が国の制度も知らなければなりません。
公的な機関や団体としては中小機構、商工会議所などが起業や新事業のサポートをしていますし、法律の面では弁護士、お金や税金の面は公認会計士や税理士が、また社会保険労務士(雇用など)、中小企業診断士(経営)、司法書士(登記)、弁理士(特許など知財)といった様々な専門家の中にもこのような新事業をサポートしてくれる方たちが多くいます。また、冒頭に説明しました補助金などのサポートには「認定支援機関」という存在も役に立ちます。

様々に整備された制度やサポーターを活用して、新しい時代の新しい事業を創り上げる方が一人でも多く生まれるよう、我々も頑張りたいと思います。

社畜が異世界に飛ばされたと思ったらホワイト企業だった

面白い本を見つけました。
「社畜が異世界に飛ばされたと思ったらホワイト企業だった」という、一見何のことやらわからないタイトルの漫画です。

カワイイ女性キャラが多くてちょっと気が引けるかもしれませんが、そこに騙されてはいけません。
レビューを見ると、働く側から見て「ホワイト企業って素晴らしい」といったとらえられ方をしていることもちろん多いものの、実は経営者にとっても非常に奥の深い論点がたくさん取り上げられています。

普段漫画を読まない経営者の方でも、是非読んで頂ければと思いご紹介することにしました。
私の事務所でも参考にしています。

121089627_3582035601836346_7943856894229396879_n[1]現在、第4巻まで発売されています。
この本のご紹介や画像はこちらをご覧ください。
社畜が異世界に飛ばされたと思ったらホワイト企業だった

1.はじまり
ブラック中のブラック会社「ブラックシステム」で30連勤の深夜残業中だったヒロイン、粕森美日月(かすもりみかづき)は、突然流れ星に打たれて気を失います。
気づいた時には、ホワイト中のホワイト会社「ホワイト製作所」ぐんま支店に中途入社した社員(自分)紹介の場でした。
ここから、かすみ(新しい職場でのニックネーム。前職の時は「ゴミカス」)の驚きの日々がスタートします。

2.エピソード1~残業・休出ゼロ
この職場、皆出てくるのは始業5分前で、定時にはピタッと仕事を終えて帰ってしまいます。
また有給休暇も積極的に取得し、出張のある営業職でさえ「多かった先月でも残業は5,6時間くらいかなぁ」といった具合。
始業2時間出社して深夜まで残業し、休日出勤や深夜残業は当たりまえ、時には会社に泊まっていた前職とはまさに「異世界」。かすみは最初そんな雰囲気に全くなじめず、「有給取れって首ってことですか???有給取ったら怒られるんじゃ…」なんて言い出す始末。

働く側からすると、残業がゼロで早く帰れるし、有給休暇がとれるのは物凄く楽な反面、残業たっぷり、有給なし、といった会社にとっては「労働時間が短くて損している」ように思えますよね。
年間休日120日、有給20日100%取得、一日7時間労働の場合、年間労働時間は1,575時間となります。これに対し、土日や年末年始、夏休みを出勤にし(+60日)、有給を全くとらない(+20日)、残業を一日3時間(10時間労働)とすると、年間労働時間は3,050時間となり、ほぼ倍働く時間が増えるように見えます。

しかし、経営管理の側面からみると、実際にはこれが全く逆なのです。
時間増を残業に換算すると、月120時間以上の超過になります。これは確実に過労死レベル。
超過時間のほとんどにおいて心身の疲労から生産性は落ち、ミスや体調不良も目立ち始めます。
サービス残業させるなんて言うのは論外ですから残業代は増加し、過酷な状況が原因の離職者も増え、採用費もかさむことから結局コスト増になってしまうのです。
最初から「所定時間しかない」ことを認識して、効率的に仕事をコントロールすれば結果としてトータルコストは下がります。
その仕組みは、現在様々に公開されているITやその他のノウハウを活用することで、どんな業種でも必ず実現することが可能です。

3.エピソード2~電車の遅れ
2時間前に出勤すると「早すぎて会社開いていない」と注意されたので15分前に出社しようとしたら、電車が故障で遅れてしまいました。慌てたかすみは会社に電話し、「走れば1時間くらいで行けます」と伝えます。会社は当然「動いてからでいいので遅延証明(ネットで可)もらって下さい」とそれを止めます。また、熱が出ていても、大雪が降りそうでもなんとか出勤して仕事を続けようとしてしまいます。

会社は雇用者として従業員の安全や健康を守る義務がある(労働契約法第5条)のですが、これは別に親が子を守るような愛情を基礎としたものではありません。そういった義務を守らないと、結局生産性の高い仕事時間を従業員から会社が安定して受け取ることができない、すなわち会社が健全な利益を上げられないからなのです。
実際、昨年地震や大雨といった災害が頻発した時、社員が無理して出社して結局帰宅難民になる、という光景が私たちの周りでも繰り返されました。こういう場合、まずは従業員の身を守ることを最優先とし、その場合でも業務が継続できる手段(BCP・事業継続計画)を普段から準備しておくことが、結果として収益性の向上につながるのです。

4.エピソード3~セクハラ、パワハラ
配属された部署に男性が数人いたので、かすみは先輩のいずみにこっそり「セクハラとかパワハラとか大変そうですね」と聞きますが、いずみは「全くないし、もしあったら部課長クラスでも飛ばされる」と答えます。
それに驚いたかすみは、「セクハラくらいで飛ばされていたら男の人は誰もいなくなっちゃいますよ」と食い下がっていずみを呆れさせます。
他の話でも、朝礼が通常無いと知って「業績が悪かった人の発表と懺悔の謝罪はいつやるんですか?」と問いかけています。
前職で如何に過酷なセクハラ、パワハラを受けていたかと心配になりますね(本書には描かれていますのでここには書きませんが、本当にひどいもんです)。

こちらも当たり前の話で、セクハラやパワハラが法律上禁止されているだけではなく、従業員の生産性を破壊的に下げ、機会損失など隠れたものも含め、コストを大幅に増やす影響があることは既にはっきりしています。
ここで経営者にとって重要なのは、様々な事例として紹介されているような「対症療法」ではなく、「トータルコストを下げる」ため、あらゆるハラスメントを根こそぎ絶つ努力を自らしなければならない、という姿勢なのです。

5.終わりに~内部統制との関係
余談ですが、私の専門分野の一つである「内部統制」の視点からも、この漫画は興味深いです。
この「ホワイト製作所」、社員はこれだけホワイトにできる理由を「うちはトップシェアだからね」と軽く断じていますが、これは恐らく原因と結果が逆です。
内部統制の重要な目的の一つである「業務の有効性及び効率性」という観点からみた場合、「ホワイト製作所」の経営者は相当高度な観点をもって経営を行っており、その結果が、結局トップシェア(やその維持)にもつながっているのではないかと勝手に理解しています。

本書には上記以外にもたくさんの面白いエピソードが書かれていますし、第2~4巻も同様にとても良い内容となっています。
また、以前メルマガで公開しました小規模企業の働き方改革~「見える」と全てが上手くいくという記事も、こういった「ホワイト化」の参考になると思います。
是非お読みください。

 

小規模企業の働き方改革~「見える」と全てが上手くいく

昨年「士業事務所の働き方改革」というテーマで講演をさせて頂く機会がありました。
この講演においては、弊所が「働き方」をどのようにとらえているのか、またどのようなツールを用いて実現しているのかについてご説明し、一定の評価を頂戴しました。この講演内容について、ブログ化し、また新たな情報も織り込んで皆さまにもお知らせいたします。
キーワードは、「予定が見える」「仕事が見える」「人が見える」「数字が見える」の4つです。

1.予定が見える
会計事務所の業務は、基本的に「申告期限」に代表されるように月次や年次で期限のあるものですから、これがそのまま仕事のスケジュールになることが一般的です。
このため、それぞれのスタッフは「当面」自分が何をやるか把握しているはずです(これがなければ大問題です)。

しかし、これが事務所内で共有されている訳ではありません。
また個人個人の思うスケジュールが全体最適とは限らないのです。

弊所は現在、スタッフに対しては少なくとも2週間の予定を設定、事務所での共有カレンダーに入力させるよう指示しています。この「予定」を入力する際には、自分の経験だけではなく、あとで述べる業務チェックリストによって表示される情報を参考に、必要な事項を漏れなく挙げるようにしています。
また、有給休暇や総務的業務、研修の時間もお客様に関する業務と同様に「年間プロジェクトの一つ」として管理し、内部売上を設定した上で予定を入れる対象として取り扱っています。schedule画面

これらの予定情報を全員で「共有」することで、お子さんの急な熱でも在宅に切り替えたり、他のスタッフへの振替も可能となっているのです。
またコロナ禍のように在宅やシフト勤務が急に必要となった場合でも、業務内容が共有化されているため協力して漏れなく実施することが容易にできます。sns画面5

私はよく講演会で「皆さんが雇用するスタッフの標準的な年間稼働時間を把握していますか?」と問いますが、正確に把握している人はまだあまりいないようです。
管理者の仕事は、スタッフの負担感を認識し、分担の指示やスポット業務への担当配分などを調整することで、最も限られた資源である「稼働時間」を如何に効率よく高収益な業務に割り当てていくか、に尽きるのです。

2.仕事が見える
小規模会計事務所の業務で、特に顕著な特徴が「人的依存」です。つまり、実施すべき業務の内容が「引継ぎ」や「前年度の書類」によって伝えられることが多いのです。
また、仕事を実施する者によって業務品質に大きな差が出るのも特徴です。大きな幅のある担当個々人の経験や能力に依存し、誤りや漏れが発生しやすくなってしまいます。
しかし、その大きな差は管理者側から容易に見出すことができず、業務品質の良否が待遇に連動しない、という事態が発生しますので、できるスタッフに大きな不公平感が残ってしまうのです。

弊所においては、会計事務所用に導入したクラウド管理システム「耕夢」上に「業務チェックリスト」を整備し、これを参照して決算等業務を行うことにしています。このチェックリストには、一般的な会計税務のみならず、相続税や一般管理業務、営業プロセス、研修に至るまで、内容や実施期限などが設定されています。このため、原則としてこのチェックリストの内容を指定された期限までに全て実施すれば、どの分野でも一定品質の業務が実現できるようになっています。

また実施された業務の概要や資料の受け渡し、月次完了、試算表、受信FAX、お客様の質問・回答、専門誌が全て所内SNSに自動掲載されますので、この内容をブラウズするだけで、管理者である私は一日に事務所で行われた全業務を把握、コメントすることすら可能となっています。

3.人が見える
弊所のスタッフが、他人の担当業務をヘルプした場合(相談や検算など)すると「〇〇さん担当業務を△△さんが実施」とSNSに自動表示されます。
このような表示は本人(△△さん)やヘルプを受けた人(○○さん)に通知されるので、コメントには「お礼」や「気づき」をそれぞれが記載することにしています。thanks
このような仕組みを利用することで、それぞれが気楽に聞き、教えあえる雰囲気が醸成されるのです。
もちろん、後述の通り「ヘルプした時間がヘルプとして実績記録され、評価される」という機能がなければ「単に自分の仕事が進まない」と見えるだけですから評価されることにならず、こんな雰囲気は作れません。

4.数字が見える
前述の通り、お客様の会計・税務業務だけではなく、総務や研修、雑誌読みといった自己研修にもプロジェクトを設定しています。
これらを正しく運用することで、自分が担当する業務の時間はもちろん、他の担当をヘルプしたり検算した時間や、病気等で休んだ担当の業務を休み中代行したり、代わりに質問に答えた時間なども正確に記録されます。

また、それぞれのプロジェクトには売上予定額と必要標準時間を設定していますので、グラフで担当割の偏りも直ぐにわかるようになっています。もちろん、間接業務や有休の取得にすら内部売上が設定されていますから、これらを多く行う役割をもったスタッフの評価が低くなることもありません。逆に、生産性が悪いのに残業だけしている人間が「あいつは遅くまで頑張っている」と評価されることも絶対にありません。

このように、事務所内の業務実施状況を詳細な把握は、公平感や安定した業務の実施、残業抑制に大きな効果を持ちます。例えば、弊所は子育て中で短時間勤務の正社員であっても、一定の条件を満たせばフルタイムと同じ給与を支払っていますが、これも成果が全員で確認できるから不公平感なく可能になるのです。sf画面

上記は、各担当で業務が偏っていないかを確認するためのグラフです。

数字というのは非常に大事です。

  • 数字が見えないから不安になる→残業減や有給取得、産休育休への抵抗
  • 数字が見えないから不満が出る→他担当の手伝い、総務時間、業務の偏り、「遅くまで居るだけの人」などがあぶりだされます。
  • 数字が見えないから価格が下がる→業務内容とそれに対する経営努力を説明、理解して頂きやすくなります

5.まとめ
働き方改革の目的を単に「残業減」ととらえる考え方は非常に危険だと思います。
業務の本質やあるべきプロセス、また使える人的リソース(稼働時間)を把握せず単純に残業減を上から強いた場合、恐らく強烈な不公平感が組織に蔓延することになります。この不公平感は間違いなく「良い人を萎えさせる」危険をはらんでいます。
私がこの業界に入った頃はまだ道具が少なく、相当な工夫をしないと「見える」化は難しかったのですが、最近はICT(情報通信技術)の発達でいろいろな良い道具が手に入るようになってきました。
またこういった方向性は、コロナ禍で否応なく進めざるを得ない環境になってきたようです。
ピンチはチャンスです。
是非「見える」化を進め、本当の意味での「働き方改革」とその結果である「収益性向上」を目指しましょう。

税理士法人耕夢は「競争しません」(1周年記念)

本日11月1日、税理士法人耕夢は昨年の設立からちょうど1年となりました。
お客様、職員の皆さん、そして全てのお世話になった皆様に、心より感謝申し上げます。

1.耕夢システムと法人化
会計事務所業界は転機を迎えています。劇的なIT化の進展や税務の複雑化のみならず、競争の激化、そして人材獲得の難しさは、重要な経営課題となりつつあります。これに加え、新型コロナ感染症の影響は、主要なお客様である中小企業に破壊的な影響を与えています。
このような激変する環境に適応するには、やはり組織の力が必要です。
飛び抜けた力が無くても、適切な知識・経験・常識を持ち、他を思いやる心を持った人間が協力し合うことで大きな力を発揮できる、そういった仕組みが大事です。
法人としての耕夢、またシステムとしての耕夢は、このような仕組み作りの為に生まれました。
(耕夢システムは、Salesforce社さんの「Sales Cloud」をプラットフォームとしています)

2.この1年間を振り返って
今年6月から6名が新たに参加、3拠点(本町、堺、岐阜)合計で17名となっています。
耕夢の理念を共有し、それぞれ協力し合う環境がこの1年で少しずつ出来上がりつつあります。
例えば、新たなお客様にご契約頂くありがたい場面でも、担当だけではなく全員がお客様の為に協力するということが当たり前のようになっています。
拠点間のネットワークを配備し、これを利用して全員がテレワークを行うことも可能となりました。このシステムは元々コロナ禍を想定せず準備していたものですが、運よく助けられることとなりました。
耕夢システムが持つ顧客管理、チェックリスト、日報、職員間のコミュニケーションといった機能は、品質管理や情報共有といった機能を通じて事務所運営に大きな良い効果を与えてくれています。
1年間を振り返ると、ありがたいことにある程度考えていたことが実現できたように思います。

3.これからの話~競争しません
これを踏まえ、今後の方針として「競争しない」を掲げたいと思います。
ITのない昭和の時代、成果の測定が極めて難しかった環境においては「競争」は良いツールでした。人の原始的な本能を刺激して成果を上げる方法だからです。
しかし、社内における競争は人間関係の軋轢を通じてイジメや抑圧、良い人材の流出など様々な問題を発生させる原動力となるのです。
「では競争しないでどうやって成長するのか」と思われるかもしれません。
しかし実はこの「競争が成長を生む」という考え方も昭和そのものと思います。
成果を(ITで)測定し、それを見せ、意味を理解させ、フィードバックさせるという仕組みを作れば、まともな人は必ず良い成果を自分で出します。また、競争とは逆に平和と相互理解、尊重すら生むのです。

また、対外的にも競争はしません。
他の事務所との報酬での単純な比較や、顧客数の多寡など、「ライバルに負けない」姿勢は社内の競争と同じく軋轢や疲弊を生みます。
私たちは、まずは自分たちが品質の高い業務をできる体制を作り、これを、実績とともにお客様に見て頂くこと、その正当な対価を頂くこと、といったシンプルですが非常に大事な姿勢を明確にします。

4.耕夢の役割
これら「競争しない」ためのツールが耕夢です。
耕夢は社内の成果を明確にし、業務の品質を高め、お客様に実績を見て頂き、価値を納得頂けるための機能が備えられています。
※下記はお客様ごとの発生時間推移と、各職員が担当する業務量のグラフ)

発生時間グラフ

税理士法人耕夢は、このような考え方を基礎に、今後もよい仕事ができるように努力致します。
皆様今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

セカンドオピニオン歓迎

セカンドオピニオンとは

「セカンドオピニオン」とは、元々医療の世界の言葉です。具体的には、「治療や手術などの方針について現在かかっている医師とは別の医師の意見を聞き、参考にすること」を言います。
医師とて全てにパーフェクトではありませんし、注意を尽くしていても見逃しや診断の誤りはあり得ます。このため、別の医師の意見を聞くことも時には必要なのです。
但し、その場合でも「ファーストオピニオン」、要するに担当医の意見はまず大事にすべきです。医療を受ける側は、症状などが悪いほど自分の願望に応じて都合の良い意見を求める(「オピニオンショッピング」と言います)ことがあるからです。

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※医療におけるセカンドオピニオンについては、例えば東京都福祉局のWEBページにわかりやすい説明があります。

税理士事務所のセカンドオピニオン
税理士事務所のWEBページ等で「あなたは今の税理士で大丈夫ですか?」や、「こんな税理士は要注意」といった説明を展開し(そこだけなら弊所ブログ「にせ税理士について」と似ています)、さらに他の税理士の業務に対する「セカンドオピニオン」を営業トークにしている事務所を時折見かけます。

セカンドオピニオンとは前述の通り元々医療の世界の言葉ですが、公認会計士や税理士などの専門家業務においても使われることが増えてきました。
要するに「現在依頼している専門家の業務について、他の専門家に依頼して評価、検討する」ことを言います。

このような営業姿勢は、特に若くパワフルな税理士が経営する事務所に多いようです。
しかし通常、元々契約している税理士はこのようなセカンドオピニオンを好まないものです。自分たちの間違い探しをされるような気がしてプライドが傷つけられるからかもしれません。

もう一つ注意すべき点があります。
私も時々関与している金融機関を通じてセカンドオピニオンを求められるのですが、「今の税理士がこんなにダメだから見て欲しい」といった論調が時々見受けられます。
ところが、良く聞くとその税理士が実際にはきちんとしたプロとしての判断や仕事をしておられるのに、依頼主とのコミュニケーション不足で理解されていないだけ、ということが多々あります。そのようなケースにおいては、今の税理士が如何に真っ当な仕事をしておられるかを説明し、もう少しコミュニケーションをとってみてはどうか、とアドバイスしています。

私達のスタンス
さて、私達の事務所は、私達のお客様が他の税理士などのセカンドオピニオンを受けることも「歓迎」しています。
私達の事務所内には、「耕夢」システムを中心として職員教育や業務チェックリスト、相互チェック、トリプルチェック、税務調査対策など品質管理に関する枠組みが設けられています。また最後の砦として、税理士賠償責任保険(税理士が判断を誤って税務上の損失が出た場合に補填する保険)にも加入しています。

しかし、どんなことにも100%の無誤謬はあり得ません。万一そのような場合には、顧客にご迷惑をお掛けすることになりますし、セカンドオピニオンの結果お客様が損失を回避できれば、それは結果としてお客様のためになる良い事なのです。
もちろんそのようなケースがあれば私達は大変恥ずかしい限りなのですが、逆にそのような緊張感の元に自らを置くことで、さらなる業務品質の向上を目指すエネルギーが生まれてきます。

微小ながんも発見する「PET検査」

皆様、PET(ペット)検査という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?
このPET検査、「Positron Emission Tomography」の略で、日本語に訳すと「陽電子(ポジトロン)放射(エミッション)断層撮影(トモグラフィ)」となります。
このPET検査は、特殊な手法で非常に小さく、まだ悪影響の少ない形で除去できる「がん」の発見に役立ちます。
私はこのPET検査を毎年受診しておりますので、検査の説明と関係する制度についてご説明したいと思います。

1.がん細胞の特性
がんは「悪性腫瘍」と呼ばれ、自分の体の細胞が変異して病理性のある腫瘍(できもの)になることを言います。このがん、最初は1ミリ程度の大きさ(発生期)なのですが、育成期には数年かけて1cm~数cmと育ち、その後は急激に増殖、転移などを引き起こします。
ただ、育成期においてもがん細胞は普通の細胞とはちょっと違った特性を持っています。
それは、毛細血管の生成です。
がんは自分が育つために栄養を必要としますので、自分の周囲に勝手に毛細血管を張り巡らして少しでも多くの血液を得ようとするのです。

2.PET検査
PET検査はこの特性を利用します。
毛細血管で集めた血液は、正常な細胞に比べて数倍のブドウ糖を取り込むことになります。
そこで、FDG(フルデオキシグルコース)と呼ばれるブドウ糖に近い成分を体内に送り込んでおくと、このFDGもがん細胞に多く集まります。
実はこのFDG、正確には18F-FDGといい、グルコース(単純な構造をした糖)の-OH(ヒドロキシ基)を18F(弱い放射性を持つフッ素原子)で置き換えてあるので、それ自体から陽子線を発するのです。
これを特殊な機器で撮影すると、がん細胞は正常な細胞より「光って見える」のです。

3.被ばくについて
放射性物質を体内に取り込むのでちょっと怖いのですが、実際の被ばく量は「CT検査程度」と言われています。検査を担当する病院の皆さんはやはりかなり気を付けておられますが、年1回程度の受診のみだとほとんど影響はないようです。
なお18F-FDGの半減期(放射性が半分になる時間)は約110分です。
原発事故で注目された放射性物質(下記)と比較すると非常に短くなっています。
・ヨウ素131…8日
・セシウム134…2年
・セシウム137…30年

4.検査の流れ
問診、準備
病院につくと検査着に着替え、問診を受けます。その際、身長や体重も測りますが、この体重は検査溶液(FDG)の量を決めるのに大事なデータとなります。
採血と溶液注入
次に採血室に移動し、少しだけ採血します。
この採血も、血糖値があまり高いと検査が難しくなるので、必ず行われます。
そして採血針を刺したままアタッチメントを切り替え、数分程度かけてFDGを体内に注入します。
安静室
その後FDGが体にいきわたるまで、安静室にて45分~1時間程度安静にします。
その際、原則として雑誌や新聞、スマホなど、凝視するようなものは使用禁止です。目に血液が集まってしまい、検査に不都合が出るからです。皆さん普段忙しい方々だと思いますので、一瞬世間から隔絶される休憩時間と思って休みましょう。
検査
CTやMRIといった機器に似た装置に横たわり、15分ほど撮影を受けます。
動くと画像がぶれてしまうため、体を動かさないようにしなければならずちょっと辛いかもしれません。
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<私が受診している中之島クリニックのPET装置>

排出と終了
弱いものとはいえ放射性物質を体内に入れていますので、完全になくなるまでは病院にいる必要があります。注射から2時間程度経過するまでもう一度隔離された安静室で待機、全てが尿として排出されるのを待ちます。
結果の通知
1~2週間したら、自宅に検査結果が届きます。
ここで小さなものが発見されても、慌てず専門の病院を受診、治療を検討しましょう。
検査結果にはこのような写真が入っています。
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上左から順番に体の断面を撮影しています。
この中で、様々な内蔵部分に「光る」部分があればそこが微小であってもがんの可能性がある、ということになります。
但し、脳や膀胱など、元々血液や尿の集まりやすい所は必ず光ってしまうため、別の検査を組み合わせる必要があるようです。

5.医療保険の適用
原則としてPETには医療保険の適用はありません。
安くても10万円程度かかる検査なので、支出としてはちょっと痛いかもしれませんね。
但し、がんが疑われるときなど、医師による指示があった場合には保険適用の対象となり自己負担だけで受診できます。
また、最近の健康保険は「人間ドック助成」のような制度を使い、PET検査についても補助する場合が多いようです。また会社によっては健康保険の補助を超える自己負担部分も会社が負担することがあります。この会社による負担については、従業員への給与(課税)とせず、福利厚生費など税務上の経費とすることが可能です(弊所も同様の制度を導入しています)。

6.生命保険(特約等)との関係
生命保険にはがん等に対応する特約がありますが、これらの中にはがんが発見された場合に一時金を支給したり、その後の保険料を無料にするものがあります。
PETによる発見は治療の容易な非常に初期のがんも発見可能であるにもかかわらず、これらの制度が使える場合が多くあります。

少し費用が掛かりますが、早期発見・治療や医療保険の対応などメリットも多いので、皆様ぜひ受診を検討なさって下さい。