(ご紹介)近畿会国際委員会セミナーについて

私は現在、何故か公認会計士協会近畿会の「国際委員会」で委員長を仰せつかっております。 国際委員会は、近畿における会計士の国際的な活動をサポートしたり、IFRS(国際会計基準)を中心とした国際業務に関する研修などを行っています。

さて現在、その委員会において新しい企画を進めています。 それは、「海外で活躍する会計士からのメッセージ」というセミナーです。 文字通り数名の「海外で活躍する会計士」から、その立場に至った経緯や仕事、国情の説明などをしてもらうのが目的です。

が、一番の特徴は、メッセージを頂く全員が大監査法人から海外赴任した会計士「ではなく」、自分で就職活動などを頑張って道を切り開いた方ばかり、という所にあります。 たった今最初の方(ロンドン)からビデオメッセージが届いたのですが、ロンドン橋をバックにしたオフィスで自信を持って語られる姿は、素晴らしいと同時に憧れるものです。

当セミナーは3月30日(土)、15:30から18:00まで、日本公認会計士協会近畿会(下記アクセス記載)にて開催されます。 残念ながら近畿会(京滋、兵庫含)の会員・準会員限定なのですが、対象となっている方は是非聴講をご検討ください。 なお、当日はスペシャルゲストとして、マイツグループの池田博義代表にもお越しいただく予定です。

日本公認会計士協会近畿会
https://www.jicpa-knk.ne.jp/access/access.html

日経広告と寄付について

今朝、新聞を見ていて、毎年もやもやしていた問題にようやく答えが出ました。

日経新聞の正月と夏(「公認会計士の日」7月6日あたり)には、公認会計士の事務所(監査法人、合同事務所、コンサルティング会社、個人事務所など)が1ページを割いた広告を出しています。 私も毎年出稿しているこの広告、以前2段目だった位置が、昨年あたりから「フロントロー」に位置するようになりました。つまり出稿者が減っている訳です。

以前からこの広告効果については「生きてるかどうかの発信価値しかないな」と疑問を持っていたのですが、忙しかったこともありなかなか変えようとする気が起きませんでした。

今回、ようやくこの惰性を見直す気持ちになりました。つまりこの夏の広告から出稿を打ち切りとします。 その代わりにと言っては何ですが、広告費2回分に対応する金銭などを、必要としている先へ寄付することに決めました。

上記のような事情ですので、もし次の夏私の名前が日経の広告に掲載されていなくても、事務所をたたんだわけではありませんのでご注意ください(笑

一年の総括

今年も無事一年を終え、大晦日を迎えました。
大きな政権交代があったり、世界的な不況や周辺国との問題など、昨年に引き続き世間は荒れ模様だったようです。
これに対して、私の事務所は驚くほどトラブルがなく、平穏無事に仕事を進めることができました。
これから少なくとも数年、ひょっとしたら十数年間の世界は荒れ模様が続き、私の事務所もその流れの中に飲み込まれてしまう可能性ももちろん捨てきれません。
そんな乱世も視野に入れつつ、今年の総括参ります。

<仕事>
平成24年も、非常に忙しい一年でした。
正直これといった営業活動をしていないにも関わらず、コンサルティングや民事再生などのスポット業務は途切れることなく頂けましたし、顧問先の皆様にも、大変な中引き続きご愛顧頂けました。
この結果、異常なほどの増収となった昨年ほどではありませんが、目標を十分に超える結果が得られました。
本当に感謝の気持ちで一杯です。

国内業務の他、シンガポールを中心としたオフショア業務を実際に進めたことも大きな成果です。
通常、このような業務は私たちのような小規模事務所には向いていないと思われがちですが、着実にルートやスキームを増やしつつあり、手ごたえをつかめています。

昨年まで行ってきた事務所改装や、PCリニューアルが一段落しましたので、今年は非常に大きなテーマである「事務所ブランドイメージの再構築」を手掛けました。

会計事務所で良くある「お手軽なロゴ」や「どこかで見たようなWEBページ」「テンプレートを使った印刷物」とは一線を画するため、プロのデザイナーさんときちんとした議論を重ね、「デザインコンセプト」から構築するという、一見大変なプロセスを採用しました。

この結果、私たちの事務所の強みや信念をはっきり表せる、良いデザインコンセプトができたと思います。

このデザインコンセプトに基づくWEBページ、封筒類、名刺などは、新年の業務開始から随時運用を開始します。是非ご覧になってください。

<プライベート>
今年途中までは「土日フリー化」を目指して頑張っていたのですが、結局は土日に仕事が満載という状況には変化ないまま年末を迎えてしまいました。

とうことで、あまり特筆すべき項目はありません。

バイクを一台(G650XC)に絞り、自動車をMINI CooperS Roadsterに変更、そしてロードバイク(少し古いCarreraフレーム)を手に入れたくらいでしょうか。

<体調>
本当にありがたかったのは、今年は大きなトラブルも体調不良も全くなかったこと。いつもの通りおっちょこちょいな私なので、こまごましたトラブルや運に助けられた面ももちろんあるのですが、「どうすんねんこれ」というような頭を抱える状況には全く陥りませんでした。来年以降はこれが普通と思わず、気を引き締めていきたいものです。

<来年の目標>
デザインコンセプトは、事務所15年の「区切り」ではなく、その間に醸成してきた私のポリシーや実績を結晶化したものです。

業種が業種ですから大きなマーケティングをする訳にはいかないのですが、このアイデンティティに共感頂ける、素晴らしい経営者とお会いでき、その皆様のより良いサポートができるよう頑張っていきたいと思います。

今年もたくさんの方に助けられ、無事楽しく一年を終えることができました。 来年も皆様にとって良い年となりますように。

ACFE大阪セミナー「AIJ投資顧問事件とポンツィ・スキーム(7月21日)」について

ACFE大阪セミナーが今月21日(土曜日)大阪・本町のつるやホールにて開催されます。

http://www.acfe.jp/modules/eguide/event.php?eid=150

私は、「AIJ投資顧問事件とポンツィ・スキーム」と題して3時間を受け持つことになっております。
内容的にもトピックですし、典型的な「ポンツィ・スキーム」であると見て取れますので、その特徴や見抜くための考え方なども含めてご説明する予定です。

このセミナーの目的・概要は以下の通りです。

<目的・概要>
推定被害総額が約2000億円と、極めて大きな事件となったAIJ投資顧問事件。捜査の過程で浮かび上がってきたこの事件の特徴は、「典型的なポンツィ・スキームである」という点でした。  このセミナーは、「ポンツィ・スキーム」とはどういうものかをその起源に遡って解説し、特徴的な登場人物、被害者について説明します。  また、これらを踏まえて、「ポンツィ・スキームを見抜く」ための方法や組織的姿勢について説明します。

また、おおよその構成は以下の通りとなっています。

<はじめに>
・関西不正検査研究会のご紹介

<ポンツィ・スキームとは>
・このスキームが命名される原因となった、チャールズ(カルロ)・ポンツィについてご紹介します ・ポンツィ・スキームの典型的な手口、特徴について説明します

<有名なポンツィ・スキーム>
最近相次いで明るみに出た、また判決のでた2つの事件
・バーナード・マドフ事件
・アレン・スタンフォード事件

についてご紹介します。

<AIJ投資顧問事件>
・スキームのあらまし
この事件は典型的なポンツィ・スキームであると言えますが、実際にどのようなことが行われていたのかをご説明します
・年金基金の抱える問題
事件の影の原因ともいえるのが年金基金が抱える問題です。この問題について簡単にご説明します
・本事件の登場人物  本事件の主役である、AIJの浅川和彦代表取締役や、その側近ともいえる高橋成子取締役を中心に、どのような人物が関与しているかをご紹介します

<ポンツィ・スキームを見抜く>
・騙す側のプロファイル
ポンツィ・スキームの、特にだます側には典型的な特徴を持つ登場人物が関係します。これを①首謀者、②協力者、③紹介者と分けてご説明します
・騙される側の特徴
残念ながら、騙される側にも一定の特徴を持つ人的、組織的、環境的原因があります。これらについて、これまで挙げた事例を元に説明します。
・ポンツィ・スキームを見抜く
ポンツィスキームを見抜くために、どのような姿勢を保つべきかという観点からご説明します

<おわりに-ポンツィ・スキームは無くならない>

所得調査心得(税務大学校で行われていた講義内容)からの抜粋

税務大学校(国家公務員として採用された税務職員に対して必要な研修を行う機関)の授業で使われている資料の一部が古い書類の間から出てきました。
現在の調査対策に通じるところもあるので、コラムとして掲載します。
なお内容については、抜粋しているのと、若干変更したところもあるのでご容赦ください。

  • 入ってから相手の動きに注意せよ
  • 必ず帳簿の近くに座を占めよ
  • 相手の目はどこへ行きたがっているか
  • 記録らしきものがあればまず穏やかに確保せよ
  • 事務室を動くな
  • 出された帳簿にこだわるな
  • 原始記録の発見が第一
  • そこにあるものは全部出させよ
  • 臨店してから出ていく者に注意せよ
  • 視野の範囲に何が見えるか
  • メモはないか(特に卓上、ホワイトボード、電話)
  • 扉の影に手提げ金庫はないか、あったら必ず開けよ
  • 空き箱の山に注意
  • 芋づる式に追及せよ
  • 家族は案外正直に答えるものだ
  • 急所が出たら容赦するな
  • 売りでも買いでも一つの取引を抜きだして経路をたどれ
  • 小さいものが全て大きいことを心得よ
  • そろばんを持つのは最後の最後

一年の総括

例年以上に忙しかった今年もあとわずか。 新年からあっという間の1年間でした…

一説によると、「歳を取るほど一年が早く過ぎる」というのは、本当に年齢、というか過ごしてきた時間と関係があるらしいです。 過ごす物理的な時間は老若男女皆同じでも、体感する速さは時間を経験の多さで割ったものになるのだとか。

今年は、世界中で東日本大震災をはじめとする天変地異と言っても良いような災害や、ヨーロッパでの経済危機などの問題が多く起こりました。 私や私の周囲でこれらを直接受けた方はおられなかったのですが、大変な目に遭った方々に対しては来年が良い年となることを祈りつつ、今年の総括行きます。

<仕事>

前年やその前とはうって変って前向きに忙しい一年となりました。

これまでの常識を超える規模のスポット業務、地方への出張、相続の発生など、新規業務が目白押しとなったことに加え、新規顧問先も若干増えてきたことによるものです。これに加え、会計士協会近畿会の役員や国際委員長などの役職、ロータリークラブの影響もあり、息つく間もないくらいの毎日となってしまいました。この結果、事務所は先代を含めても過去に類を見ないレベルで増収増益を達成することとなりそうです。

個別案件においても、財産隠しと取られても仕方のない絶対絶命な状況にあった相続税調査を文書の力で押し戻したり、(結論はまだ出ていませんが)国税不服審判所での審判にチャレンジしたり、また自分自身の税務調査を受け、無事終了したりと、小さくとも重要かつ今後に資する論点をたくさんこなすことができました。

その反面、お世話になった方やそのご家族のご逝去も少なくありませんでした。相続税申告書作成という業務は、大事な人を失うことから始まる仕事である、という大変難しい事実を再認識させられました。正直もうしばらく相続税申告書の作成がないことを祈りたいほどです。

昨年の事務所改装は非常に効果的で、私だけではなく職員も快適かつ効率的に仕事を進めることができました。 前年までのような人の問題も全くなく、とても気楽に経営させてもらえた点、職員のみなさんには本当に感謝しています。

<プライベート・趣味>

お客さんから不動状態で貰い受け、ぼちぼちとリストアしながら乗っていたMoto Guzzi LeMans 1000。

最終的には全くノートラブルな状態まで達成できたため、意を決して東京往復を敢行しましたが、故障もなく完璧に任務を遂行してくれました。

25年前のバイクが、何の苦も無く1000キロを超える一気走りに耐えるというのはやはり感動ものです。 が。 これを機に、この歴史ある美しいバイクを他の人にも味わってもらうため譲渡。代わりに2台目のBMWとなるG650X Country(クロスカントリー)がやってきました。

仕事の忙しさもあってバイク以外の内容があまりありません(笑 ただ、相変わらず(あまり多くはないものの)とても良い友人たちに囲まれ、楽しく過ごすことができました。特にキャブレターズのみなさん、本当にありがとうございます。

家庭においては、長男が無事難関の中学受験に合格したことが一番の喜びです。嫁さんともども本当によく頑張ってくれたと感謝しています。

<体調>

片足1.5キロのアンクルウエイトを普段から装着して極力歩いたり、筋トレしたりと頑張ってはいるのですが、体重を増やさないので精いっぱい。健康診断の結果もばっちりというわけではありませんが、なんとか風邪もひかず無事生きてます。

<来年の目標>

今年のように大きな収入は見込めないと思いますが、後半から始めた業務改革、営業体制を本格化させ、きちんと基盤を整えたいと思います。 ここ数年蒔いてきたたくさんの種を、これから2、3年で少しでも実らせたいところです。

今年もたくさんの方に助けられ、無事一年を終えることができました。 来年は皆様にとっても平和な良い年となりますように。

(緊急)安全な食品と風評被害-仲卸事業者とは何か

1.今何が起こっているのか

食品の風評被害が顕著になってきました。

分かる気もします。そりゃ、訳も分からない一市民としては、放射能だろうが重金属だろうが、少しでも危険のありそうな食品なら(自分はともかく)大事な家族には与えたくないと思うのが当然です。

しかし、今起こっている問題は少し焦点がずれています。

本来安全でおいしいものを安く選びたいという消費者の需要と、その需要に応えるべく努力をする生産・流通からの供給のバランスが保たれているのが健全な経済です。
そういう健全な状態であれば、極端な需要や粗悪な供給は(ある程度)排除され、良い状態に向かっていくというのが古典的なミクロ経済学の考え方です。

「そうなっているじゃないか」とおっしゃるかもしれませんが、私にはどうも(食品に限って言えば)そうなっていないように見えて仕方がありません。
「鮮魚仲卸事業者」という立ち位置を中心に、以下疑問点など書いてみます。

いつもながら長い文章でくどいですが、最後まで読んで頂けると幸いです。

2.鮮魚の仲卸事業者

1)「中抜き」

元々、鮮魚(いわゆる「お魚」)の流通は、こんな形が主流でした。

  産地→産地市場→各中央市場→小売店→消費者

産地で獲れた魚を、産地市場に持ち込み、ここから各地の中央市場(複数段階になることもあります)が仕入れたものを小売店や飲食店に販売、一般消費者に販売するという流れです。

多段階の事業者が関与していますが、この事業者を通過する間に利幅が乗り、少しずつ付加価値が増えていきます。

最近は、このような多段階の流れが「無駄」であるとして、流通の工夫や情報化によって以下のようなルートを取ることも珍しくなくなりました。

 産地→→→→→→→→→大規模小売店→消費者

一見すると、これは「中抜き」する事業者がおらず、消費者にとっては非常に良い結果を生むように思えます。
それでは、単に間に立っている事業者は「中抜き」するだけの「ブローカー」なのでしょうか。

2)仲卸事業者の本当の機能

実はそうではありません。市場、特に中央市場の仲卸事業者は、元々以下のような機能を期待されているのです。

  • 小分流通機能
    卸売業者から仕入れた商品を、市場内での売買参加権のない買付人(小売業者など)向けに小分けして販売する。
  • 評価機能
    専門家としての立場で商品を識別、評価し、価格形成や流通調整の基礎とします。
  • 流通調整機能
    集荷先や供給先を調整したり、一時的に備蓄するなどにより、そのままであれば不安定となりがちな自然産物の供給を安定させます。
  • 価格形成機能
    専門家としての観点から品物を直接評価すること、また需給関係を勘案して適正かつ安定した価格を形成します。

よくお正月にテレビで「初セリ」の模様が放送されますが、あれは古典的な価格形成の一セレモニーに過ぎません。最近はセリを通す取引はかなり少なくなっており、一説によると「TVが季節の風物詩を撮りたいという希望に応えているだけ」という側面もあるようです。

3)現状

ただ、上で述べた「機能」を仲卸事業者自体が失いつつあるのも確かです。

私は一部の仲卸事業者しか知らないのですが、自らが上で述べたような機能を持っていることについて認識していない事業者が多いように思います。また、そのような機能を認識したとしても、いわゆる「中抜き」を大規模小売店に仕掛けられると、中小企業が多い仲卸事業者には太刀打ちできないのが事実だと思います。そんな訳で、統計上仲卸事業者は年々減少しているようです。

  (参考)クローズアップ現代  食卓が変わる?鮮魚の新流通

3.消費者として

私が子供の頃は、まだ魚はスーパーで切り身を買うのではなく「魚屋さん」で買うものでした。
物言わぬ特売シールではなく、魚屋さん(信頼出来ないと駄目ですが)が薦めるモノだったり、出来る人は自分で目利きして買うものだったと思います。

ま、そういうのは面倒なんで、結局スーパーで並んでいるモノを買うだけになってしまった訳です。

それはそれでいいんですが、若干なりとも流通業におけるそれぞれの立ち位置を見ることが多くなってくると、本当に皆がちゃんとあるべき機能を果たしてくれているのか?と気になります。

物量に走り直送を重視する生産地、本来の機能を果たせない仲卸事業者、消費者のニーズを「安い」ことしかとらえきれず、規格の揃った工業製品のように取り扱おうとする大規模小売店、そして旬を忘れ、形の揃ったそれなりのモノがいつも安く手に入ることを当然と考える私達のような消費者。

ここに「適切な価値の認識」ひいては「健全な需給調整」が起ころうはずもありません。

結局、こういう状況に大企業ならではの「事なかれ主義」が重なると、今回のような「風評被害」が起こるのではないかと思います。実際に、テレビで大手スーパーの社員さんが「福島県産のほうれん草についてはすぐ販売を止めました!」と語るところなどは、大企業としての立場は分かりますが流通業としての立場は完全に放棄していると感じざるを得ません。

4.興和水産という仲卸事業者

ここからはお客さんのPRに見えるかもしれませんが、そうではありません。不快な方はスルーして下さい。

大阪市中央市場に、興和水産株式会社という老舗の鮮魚仲卸事業者があります。この会社の河合淳一社長は、若い頃(今でも若いですが)から創業社長の鉄拳修行を受け、魚、特に青物(イワシ類・サバ類・サンマなどの、いわゆる「背の青い魚」を言います)についてはプロ中のプロ中のさらにプロです。

さてこの社長、最近こういうことを始めました。

美味しい~~!!千葉県鴨川の大羽いわし (04/21)

ページのコメントを転載すると、以下の通りです。

今日は、 千葉県鴨川の山平商店から上品の大羽イワシが入荷しておりますが。現在、関西は、風評被害で一部の量販店で千葉県などの魚をボイコットして販売していません。モニタリングでもOKが出ているのですが、私どもでは、産地あっての消費地、消費地あっての産地だと、常々思っております。今、産地をつぶしてしまったら大変な事になります。これからも安心・安全な物であれば頑張って販売して行きたいと思います、それが私達魚屋に出来る一番の支援と考えます。
どうぞ宜しくお願いいたします。
(東京では、普通に販売されております。)

これは本当にすばらしいと思います。
誤解のないように言いますと、私がすばらしいと思うのはこの行動が単に支援をうたっているからではありません。
社長が仲卸事業者として至極真っ当に行動していると思えるからです。

つまり、「プロとして」きちんと安全を確認した上で、「プロとして」産地から必要なモノを調達し、「プロとして」品質=価格を保証することができるという仲卸事業者の本来果たすべき機能を淡々と果たしている訳です。

これに対して、放射能と放射線の違いも分からず、「なんか出た」だけで「とりあえず止めてしまえ!」と逃げ腰の人たちは、結局の所普段から十分な付加価値を生む仕事をしていなかったのではないかと勘ぐりたくなります。

私は、この社長のように「まともなプロ」の「目利き」を信じたいと思います。

以上、取り急ぎの記事でした。

第1回CFE研究会東西交流会

先日(1月26日)、東京不正検査研究会、不正の早期発見研究会、関西不正検査研究会の三研究会が合同で、第1回目となる東西交流会が開催されました。
今回は東京不正検査研究会さんが主催で、芝浦港南区民センターを会場に、各会の会員及びACFEジャパンの安田事務局長を加え18名の参加となりました。

ただ、私はきちんと参加連絡をしていなかったようで…
大変ご迷惑をお掛けしました m(_ _)m > 皆様

司会の米澤勝さん(東京不正検査研究会)からご挨拶のあと、各研究会の紹介がありました。三会だけではなく、現在は東海や業種別の研究会も設立されているようですので、これからも盛会になりそうな気がします。

その後、第一部は関西の山口利昭さんから「不正調査と刑事告訴」というテーマで発表していただきました。
弁護士さん以外にはなかなかなじみの少ない「事実認定の方法」や「事情聴取」に加え、いつもながら豊富な実務経験に基づく興味深いお話を頂きました。

第二部は東京の高橋孝治さんから「不公正ファイナンス」についてお話頂きました。
今年冒頭から日経でも特集されるなど、第三者割当増資や現物出資を悪用した不公正ファイナンスは、日本の証券市場の恥部と言っても良い程大きな問題になっていると思います。この問題について、法令や事例を基礎として詳しくお話頂きました。

その後品川に移動し、「創作ダイニング土間」さんにて懇親会。
時間の関係でお話できなかったことや、全く関係のない話まで、じっくりと楽しく過ごせました。

次回(来年?)は関西での開催ということになるかと思いますが、ジャパンカンファレンス同様一層盛り上がるようにと願う次第です。
ご参加の皆様、特に開催頂いた東京不正検査研究会の皆様、米澤様ありがとうございました。

コラム「公認会計士が解説する民事再生手続」第4回(最終回)

塩尻公認会計士事務所の塩尻明夫です。

「公認会計士が解説する民事再生手続」コラムは、今回が最終回となります。

5.その他の論点

1)税務の観点

民事再生業務の本質は「再生計画案」の策定や決議、履行にありますが、実はその中枢には税務、特に法人税の税務に関する論点がたくさん含まれています。メジャーなものは以下の通りです。

  • 債務免除益課税とタックスプランニング
  • 期限切れ欠損金控除(民事再生の特例)→期限切れ欠損金を青色欠損金等に優先して控除可能(平成17年からは一定の私的整理でも可能となった)
  • 資産の評価損計上(民事再生の特例)→財産評定結果の損失を損金化可能
  • 青色欠損金の繰戻控除(民事再生の特例)→申立前2期間まで可能

2)破産への移行について

再生手続開始の申立の棄却、再生手続廃止、再生計画不認可または再生計画取消の決定が確定した場合において、裁判所は、当該再生債務者に破産手続開始の原因となる事実があると認める時は、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をすることが出来ます。

また一旦否決されたあと期日が続行できない場合、また続行してもなお否決された場合には、再生手続が廃止される場合があります。手続が廃止されると、原則として裁判所によって破産手続に移行されることになり、やはり破産宣告を受けます。

3)詐欺再生罪について

民事再生法における罰則はいくつかありますが、今回は詐欺再生罪のみ取り上げます。

再生手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で次の行為をなした場合、再生手続開始の決定が確定した場合には、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれが併科されます。

  1. 債務者の財産を隠匿し、または損壊する行為
  2. 債務者の財産の譲渡または債務の負担を仮装する行為
  3. 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
  4. 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、または債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為(事情を知りながらその行為の相手方となった者も同様に処罰される)

4)不正への対応

民事再生に限らず、破綻状態にある企業やその経営者は追い込まれていますので、どうしても不正に手を染める可能性が高くなります。取込詐欺的な行為はもちろん論外ですが、通常は経営者が個人保証によって自己破産を余儀なくさせられるケースがほとんどであるため、資産隠しを図る場合があります。

自分自身が関与した業務にも幾つか事例があるのですが、守秘義務あるのでこのコラム上は和光電気の例を挙げます。

和光電気と鎌田社長は4月28日、民事再生法適用を大阪地裁に申請し、財産保全命令を受けた。調べでは、鎌田社長は申請前の4月中旬、同法適用申請が避けられないことを認識しながら、個人所有の6種類の株券約3万株(二千数百万円相当)を証券会社から引きだして自宅に隠した疑い。

和光電気は58年設立。近畿地方を中心にチェーン店を展開し、2000年3月期には1262億円の売り上げがあった。しかし、個人消費の低迷や関東系大型店の進出による競争激化などで経営が悪化し、民事再生法の申請に追い込まれた。

鎌田社長は同社の負債総額約300億円のうち約220億円について個人で債務保証していた。 (2003/06/30 17:16 朝日新聞)

以上

こちらのページからご質問などが可能です(連載終了)。

コラム「公認会計士が解説する民事再生手続」第3回

皆さん、あけましておめでとうございます。

塩尻公認会計士事務所の塩尻明夫です。
今年もよろしくお願い申し上げます。

前回は民事再生申立側の手続についてご説明しましたが、今回はこの手続をチェックする、監督委員側の実務について解説します。

4.監督委員側の実務

1)監督委員

民事再生法の特徴の一つが、この監督委員の制度だと思います。民事再生手続において監督委員は通常必ず選任され、再生手続が適正に行われているかどうかについて検討、意見書を作成します。

具体的には、下記のような業務を行います。

  1. 再生手続開始の申立について、そもそも手続を開始して良いのかどうかについての意見を述べる
  2. 開始後の申立企業の財産処分や業務遂行の監督
  3. 業務状況及び財産状況の調査
  4. 不公正な弁済や財産処分があった場合の否認権の行使
  5. 申立企業が作成した再生計画案についての意見書の作成
  6. 再生計画案が承認されたときに申立企業が計画通り履行しているかどうかの監督

監督委員の業務については上記以外にも広範囲に渡る論点があるのですが、私は弁護士ではなくあまり詳細にご説明することが出来ませんので、この項目はこれくらいにしておきます。

2)監督委員補助者

この監督委員に依頼され、会計や税務面についてその業務を補助するのが補助者です。この補助者には公認会計士や税理士が就任します。監督委員を務める弁護士は会計の専門家ではないため、会計や税務の専門家としての側面から補助的に意見を述べる必要があるからです。

「補助者」という名称から見て、文字通り補助的な業務だけを行う役割かと思うと、実は正しくありません。再生計画の大半を会計、税務に関する論点が占めますので、これらについて詳細な意見が求められますし、その意見は通常監督委員の意見書において引用され、意見形成にも大きな影響を与えます。

監督委員補助者の業務において、特に難しいのが、財産評定の検討と、再生計画の履行可能性に関する意見です。

財産評定における評価結果は、開始決定時の清算配当率計算を通じて再生計画が予定する弁済率の妥当性につながりますので、特に重要です。補助者の検討結果によって再生債務者が弁済率を上げざるを得ない場合もあります。

また、再生計画履行可能性に関する意見も重要です。再生債務者は将来の企業努力や需要増大なども見越して再生計画を策定しますが、このような将来の事象を前提とした項目の検討は、本来占い師でも無い限りは言えるわけがありません。そういった意味で極めて困難な業務であると言えます。実際には、過去や直近の実績、現在の営業状況、市況の調査など広範囲な情報を総合的に判断して、「再生計画案の履行が明らかに不可能ではない」点が存在するかどうかについて意見を述べることが多くなります。

経験上から私見を述べますが、私は監督委員補助者としての独立性は十分に保ちながらも、再生に向かって努力する会社(再生債務者)の経営者や従業員たちの強い気持ちを出来るだけ汲み取るように意識しています。もし再生がうまく行けば、再生債務者だけではなく、債権者や従業員、取引先、地域など多くの利害関係者に良い影響がもたらされるからです。

反面、民事再生を不正に利用しようとするケースも少なからずありますので、後述する不正への対応については十分に注意しています。

3)監督委員意見書の効果

さて監督委員やその補助者の意見書がどのように記載されたとしても、最終的にその再生計画案の適否について結論を出すのは再生債権者です。このためもあってか、今まで「監督委員や補助者の意見書が原因で否定された」案件はないとの事です。

しかしこれは、どのような再生計画案でも認める甘い判断を行うというのではありません。実際にそのような再生計画案を当初提出してきた再生債務者もありましたが、そういう場合には監督委員と共に、再生債務者やその代理人弁護士と相当厳しいやりとりを通じて、債権者のためになる計画案に修正させていくべく努力することになります。

監督委員やその補助者は、申立側とはまた違った意味で、民事再生の達成そのものに大きな役割を持つといえるかも知れません。

こちらのページからご質問などが可能です。

次回は、税務、破産に移行する場合、不正などについてご説明します。