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令和3年税制改正の大綱について(概要)

1.税制改正の大綱とは
令和2年12月21日、「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。この税制改正の大綱は、政府が今後の税制改正のあり方について明確に方針を示すもので、毎年12月に公表されます。今回から数回にわたり、この税制改正の大綱について簡単に説明します。

税制改正の大綱は、政府が税制のあり方についての方針を示すもので、その後の税制改正はこの大綱に基づいて行われることとなります。

これに対し、与党自民党と公明党が発表する「税制改正大綱」と呼ばれるものも、政府の「税制改正の大綱」の直前に発表されます。これらはほぼ同じものなのですが、前者が「与党の方針を示すもの」であり、後者が「政府の方針を示すもの」であることから、場合によっては異なる場合もあり得ます。ただ現在のように政権与党がある程度安定している場合には「ほぼ同じ」と思っておいて良いようです。

税制改正大綱R3

2.税制改正の大綱の概要
今回発表された税制改正の大綱の概要は、以下の通りです。
これらのうち、私たちのお客様に大きく関係する項目については、これから数回にわたってメルマガ等で順次細かく解説いたします。

<個人所得課税>

  • 住宅ローン控除の特例の延長等(適用期限延長、面積要件緩和)
  • セルフメディケーション税制の見直し(範囲の重点化と手続簡素化、延長)
  • 国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置(国や自治体からの子育て助成を非課税に)
  • 退職所得課税の適正化(年数が短い法人役員の退職金課税を強化)​

<資産課税>

  • 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充(非課税枠を据え置き、面積要件緩和)
  • 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し(節税的利用防止、延長)
  • 土地に係る固定資産税等の負担調整措置(コロナ対策で負担調整据え置き)
  • 国際金融都市に向けた税制上の措置(外国人家族が相続する国外財産の課税対象外)

<法人課税>

  • 産業競争力強化に係る措置(DX促進、カーボンニュートラル、研究開発、コロナ禍対応賃上・投資促進、繰越欠損金控除上限引き上げ)
  • 中小企業支援(投資促進税制延長、所得拡大促進税制見直し、中小企業の経営資源の集約化)
  • 株式対価M&Aを促進するための措置の創設(M&A対象会社株主の譲渡損益課税を繰り延べ)
  • 国際金融都市に向けた税制上の措置(投資運用業役の員業績連動給与を損金算入可)

<消費課税>

  • 車体課税(エコカー減税及び自動車税・軽自動車税の環境性能割見直し等)
  • 金密輸に対応するための消費税の仕入税額控除制度の見直し

<納税環境整備>

  • 税務関係書類における押印義務の見直し(地方税関係書類についても同様)
  • 電子帳簿等保存制度の見直し等
  • 地方税共通納税システムの対象税目の拡大
  • 個人住民税の特別徴収税額通知の電子化
  • 国際的徴収回避行為への対応

<関税>

  • 暫定税率等の適用期限の延長等
  • 個別品目の関税率の見直し(ポリ塩化ビニル製使い捨て手袋の暫定税率無税)

個人事業主の年間「税金スケジュール」

インターネットの普及はユーチューバーや転売ヤーなど、新しい個人ビジネスを生みました。
また、クラウドワークスに代表される、フリーランスに対して仕事をマッチングするサービスも盛んであり、個人事業主として活躍する方が増えているようです。

そこで今回は個人事業主の一年間の税金に関するスケジュールを簡単に説明したいと思います。

個人事業主が納める主な税金は、所得税・消費税・住民税・個人事業税の4つです。これらは同時に納付するのではなく、税金によって納付する時期が異なります。

1.所得税の確定申告
まず、個人事業主の方が納める所得税は、いわゆる暦年課税とされ、事業年度が暦年、つまり1月1日から12月31日と決められています(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定 国税通則法15条2項1号)。この期間にかかわる所得を計算し、報告する手続が確定申告です。この手続は、事業年度の次の年の2月16日~3月15日に行うこととされています。この確定申告期限日までに申告とともに所得税を納税しなければなりません。

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2.消費税の確定申告
消費税も所得税と同様に、個人事業主の課税期間は1月1日から12月31日とされ、この期間にかかわる確定申告書を提出し、税金を納付します。ただ所得税と異なり、確定申告と納税の期限は、3月31日です。

3.住民税
確定申告した所得税の内容は、国税局から各地方自治体に伝達され、住民税が計算されます。
これに基づいて税額の計算がおこなわれ、住民税の通知書が6月ごろに地方自治体から届きます。住民税は4回(6月、8月、10月、翌年1月の各末日)に分けて納付する分割納付か一括納付かを選択することができます。

次に8月ごろに、都道府県税事務所から個人事業税の通知書がきます。8月、11月の末日が納付日ですが、一括納付に変更も可能です。

4.予定納税・中間納付
前年の所得税や消費税の納税額が一定金額を超える方は、当年度の税金を先に納税する、つまり前払いする義務が生じます。

所得税は予定納税と言われ、前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納めることになっています。

消費税は中間納付と言われ、前年度の確定消費税額(地方消費税額は含みません)が48万円を超える方が対象となります。納税額は前年度の納税額を基準として算定され、中間納付税額によって、支払回数が異なります。1回、3回、11回の3パターンあり、一回当たりの負担を軽減するために、納税額が大きいほど回数が多くなり、分割して支払う仕組みとなっています。前年度の確定消費税額が48万円を超え、400万円以下の場合で、年1回とされ、前年度の納税額の2分の1を8月31日までに支払います。

5.源泉所得税
源泉徴収義務者(従業員を雇っている方など)で、納期の特例の承認を受けている方は、1月から6月までの分を7月10日までに、また7月から12月までの分を1月20日までに納付しなければいけません。この源泉所得税は事業主自らが金額を集計して納税する必要がありますので、忘れないように気を付けたいところです。

まとめると以下のようになります。期限を超えるとペナルティが生じることもありますので、期限には注意してください。

1月 ・1/20 源泉所得税納付期限(納期限特例の場合、7~12月分)
3月 ・3/15  所得税確定申告及び納付期限
・3/31 消費税確定申告及び納付期限
6月 ・6/30 住民税第1期
7月 ・7/10 源泉所得税納付期限(納期限特例の場合、1~6月分)
・7/31 所得税予定納付(第1期)
8月 ・8/31 消費税中間納付(年1回の場合)
・8/31 住民税第2期
・8/31 事業税第1期
10月 ・10/31 住民税第3期
11月 ・11/30 所得税予定納付(第2期)
・11/30 事業税第2期

 

自己株式取引における「時価」の考え方(弁護士・会計士・税理士向け)

株式会社が自己の発行する株式を株主から買い取ることがあります。
上場会社の場合株価対策や株主への還元を目的とすることが多いですし、非上場会社の場合は筆頭株主支配の強化、相続人からの買取による株式分散の防止、組織再編などの目的が多いようです。
今回は、この株式を買い取る際の「時価」の考え方について説明します。
この記事は専門性が高いため、内容は会計士や税理士といった会計専門家、また弁護士などの法律専門家に向けて記載しました。

株式をそれぞれの発行会社が買い取る(自己株買取)際には、その取引価格をどのように決定するかが問題となります。特に、当該取引は同族関係者間での取引ですから経済合理性に基づかない価格が設定されると課税上の問題が発生する恐れがあります。
これに加え、完全支配関係下(100%支配グループ内)における取引の場合には、グループ法人税制の適用が想定されますので、この論点にも注意する必要があります。
以下、上記を踏まえて自己株式を取引する場合(非上場会社)の時価の考え方について説明します。

1)法人間における非上場株式取引
法人対法人で非上場株式を譲渡する(自己株式ではない)場合、一般的には相続税の申告において株式の時価評価に使用する「財産評価基本通達」の178から189-7にある方式を「課税上弊害が無い限り」一部修正して計算するのが原則です。この場合の時価を「法人税法上の時価」と呼びます。この場合、譲渡後の議決権割合を基として計算方法が決定されます。議決権を基礎とするのは、株式会社においては議決権割合こそが会社を支配する力を表すからです。

2)グループ法人税制適用外における自己株式取引
ところが、自己株式の取引に関して上記1)を厳密に適用すると、議決権の数は0として規定されている(財産評価基本通達188-3)自己株式を取得した場合、最も評価の低い「配当還元方式」で評価されるべきという考え方となってしまいます。
しかし、通常の取引において十分な価値を持つ株式の場合、自己株だからといって非常に評価の低い金額で取引しても問題がないと言い切ってしまうのも問題があるため、「譲渡前の議決権数」を基礎として1)を適用する考え方が(理論的には完全ではないものの)実務的には多く使われているようです。
なお、自己株式取引において低額譲渡(時価とされる金額より低い価格で取引)の問題が発生した場合、譲渡側の法人には寄附金課税が見込まれるものの、譲受法人にとっては資本取引の為、受贈益課税が発生しないと考えられています。

3)グループ法人税制適用下の取り扱い
さらに、グループ法人税制適用下においては、自己株式の譲渡損益が資本金等の額に加減算され、課税所得に算入されないことになりました(平成22年改正税法)。また、グループ法人税制適用下においては、自己株式取得に伴って発生するみなし配当(株式を買い取る場合、資本にあたる部分以外を配当支払とみなす)も全額が益金不算入となります。
また、グループ法人税制適用下の寄附については、税務上なかったものとみなされ、支出法人側で損金不算入、受取法人側で益金不算入とされます。但し、この取扱いが適用される寄附金と受贈益は、一方の法人において寄附金となり、他方の法人において受贈益となるものに限られます(法法25の2①括弧書き、37②括弧書き)。このため、一方の法人においてのみ寄附金の額が発生し、他方の法人においては受贈益の額が発生しないというようなもの(前述)で発生する譲渡法人の寄附金課税)に関しては、この取扱いは適用されず、一般的な寄附金課税となると考えます。

オンライン忘年会の費用を会社が払ったら?

新型コロナウイルス感染症は、ビジネスや観光、日常生活といったあらゆる分野に大きな影響を与えています。
中でも著しい影響を受けているのが、「人が集まる機会」です。
飲み会やパーティ、ライブ、スポーツなどのイベントにはたくさんの人が密な空間に集まりますので、どうしても感染可能性が高まってしまいます。
このため、多人数での飲食を禁止している会社も多いと思います。

1.オンライン飲み会
そんな中注目を浴びているのが「オンライン飲み会」です。
オンラインミーティングの機能を使って皆がバーチャルに顔を見ながら、それぞれが自宅などに用意した食事や飲料とともに会話を楽しむという、まさに新しい常識(ニューノーマル)を象徴するような機会です。

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2.イベント費用の会社負担
新型コロナウイルスが問題となるまでは、会社は従業員間の親睦をはかって一体感を高めるために、リアルな飲み会、食事会といったイベントを普通に開催してきました。特に年末になるとほとんどの会社が「忘年会」を開催し、皆で一年間の頑張りを慰労する機会を設けていました。
この忘年会、会費制の場合もありますが多くの会社は一部又は全部を会社が「福利厚生費」として負担しています。これは、前述の通りこのようなイベントが会社の円滑な運営の為必要ということがその理由です。
そのため、税法も

  • 専ら従業員の慰安のために行われるイベントのため通常要する費用
  • それらが社会通念上一般的に行われていると認められるイベントであること

であれば、「課税(※)しない」スタンスを採っています。
但し、そのイベントに参加しなかった役員又は使用人(業務のため参加できなかった者を除く)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合や、役員だけを対象としてイベントの費用を負担する場合には課税されることとなっています。

※今回のブログに言う「課税」には、法人税や所得税における課税が含まれますが、その内容については説明を簡単にするため省略します。

 3.オンライン飲み会の費用補助
では、オンライン飲み会でそれぞれの参加者が必要とする食事や飲料に充てる費用を会社が負担した場合にはどうなるでしょうか。
まず、元からある「イベント費用を会社が負担した場合」に課税されないための条件は満たしている必要があると思います。
すなわち、①専ら従業員の慰安のために行われるイベント、であり、②そのために通常要する費用(高すぎないこと)、そして③そのイベントが社会通念上普通のものであること、という条件になります。

オンライン飲み会は、コロナ禍前には一般的ではなかったかもしれませんが、現在の「新しい社会通念」においてはもう既に普通になっていると思います。
また、飲み会で通常会社が負担している一人当たりの費用より少ない金額であれば、「そのために通常要する費用」として考えても間違っていないと思います。
問題になるのは、それぞれの社員に金銭(金券や電子マネー等金銭同等物を含む)を支給することそれ自体です。
課税されない条件として最も確実なのは、上の条件に加え「実際に参加して係った費用のレシート等を収集し、これについて会社から補助を行うこと」です。このことで、法人税、所得税は課税されません。またついでながら消費税も控除の対象になると思います。

ただ、たくさんの社員からいちいち細かいレシートを取得し、精算するというのも面倒なので、社員全員へ一律に一定額を支給するというケースもあり得るでしょう。このような場合、参加しなかった者への参加に代えて支給する金銭や、実際に要した金額を大きく超える場合については、その支給する金銭は課税されることになると思います。

この論点はまだ非常に新しく事例も少ないので、法令や現在の取り扱いに照らしながら考えてみました。参加した者に対する実費を精算することが一番安全ですのでまずはその方法をお勧めしますが、その他の方法の場合は、顧問税理士などに十分ご相談の上実施されるのが良いと思います。

合併手続の留意点~合併無効とならないために

近年組織再編に関する法整備が進み、合併、分割、株式交換・移転といった組織再編手法が大変使いやすくなりました。
その中でも、昔からよく使われている「合併」については、基本的なM&A手法として大変便利な手法であると言えます。
しかしながら、合併については会社法に規定された手続を正しく進めなければ、それ自体が無効となってしまうリスクがあります。もし無効となった場合、単に手続自体が無駄になるだけではなく、合併を前提に進められている様々な契約や事業活動が全て合併前の状態に戻されるため、甚大な悪影響があります。

今回は、このようなことがないよう、満たされるべき最低限の手続について記載してみました。
※税理士の分野である税法やその他の分野に関してはまた別の機会があれば記載します。

①合併のスケジュール
合併手続はおおよそ下記の通りの手順で行われます。

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これらの合併手続は会社法に規定されており、これらの手続に従わなければ合併を行うことはできません。この手続や登記申請書の添付書類に瑕疵がある場合、合併自体が中断する場合や、のちに合併無効の訴えにより遡って無効となる場合があります。

合併手続が中断、中止する場合はもちろん問題ですが、遡って無効となる場合には、合併を前提に進められている様々な契約や事業活動が全て合併前の状態に戻されるため、甚大な悪影響があります。このため、合併手続が登記まで適切に行われているかどうかについて、下記の手続を中心に十分注意する必要があります。

②合併契約の締結
合併契約には、消滅会社の株主に交付する対価や効力発生日など、法律で定められた事項を漏れなく決定しなければなりません。合併契約には法定の必須事項があり、この必要事項を欠くと合併の無効原因になります。また合併契約書は合併登記申請における添付書類となります。

③合併に関する書類の事前備置
存続会社および消滅会社は、株主や債権者が合併の適否や合併無効の訴え提起を判断できるよう、合併契約や当事会社の計算書類など一定の書類を本店に備え置かなければなりません。備え置く期間は合併の効力発生日後6ヵ月を経過するまでです。

④債権者保護手続
存続会社および消滅会社は、債権者に対して合併に異議があれば一定期間内に申し出る旨を官報(一定の場合は日刊新聞紙、電子公告)で公告しなければなりません。異議申出の期間は1ヵ月以上必要です。

⑤株主の株式買取請求
存続会社および消滅会社は、合併の効力発生日の20日前までに株主に対して合併する旨の通知(一定の場合は公告)をしなければなりません。

⑥株主総会による合併契約の承認
合併契約は、合併の効力発生日の前日までに存続会社および消滅会社の株主総会で特別決議による承認を受ける必要があります(但し簡易合併、略式合併の場合は、原則として株主総会による決議を省略できます)。

⑦登記・財産等の名義変更手続
存続会社の代表者は、合併の効力発生日から2週間以内に、存続会社の変更登記と消滅会社の解散登記をする必要があります。また、消滅会社の権利義務はすべて存続会社に移転するため、預金、土地および建物など、消滅会社の名義になっている財産等については存続会社への名義変更が必要です。

⑧合併に関する書類の事後備置
存続会社は消滅会社より承継した権利義務や合併手続の経過等を記載した書類を作成し、効力発生日から6ヵ月間本店に備え置かなければなりません。

⑨手続瑕疵の影響
上記の手続に瑕疵(かし 欠陥のこと)があった場合には手続の無効原因となり得ますが、その瑕疵が重大でない場合でも必ず合併が無効となるわけではありません。瑕疵が発見された場合には、合併手続に詳しい弁護士、司法書士などの専門家から無効性について意見を聴取した上で対処を判断する必要があります。

 

役員のお給料、そのやり方で大丈夫?結構危ない3つの注意点

役員のお給料は、従業員のそれと違って、法人税法上非常に重要な制限があります。
一つ間違えば、せっかく払った給料が会社の経費にならず多額の税金がかかる!なんてことが簡単に起こります。この制限を知って、無駄な法人税の発生を押えましょう!

※このコラムは一般向けのため、例外や詳細な条件などを省略してある部分がありますのでご注意ください。詳細についてのご質問は、事務所までお問い合わせ下さい。

1.役員の給料と従業員の給料の違い
会社のために仕事をしたら、お給料は当然もらえるものです。
ですが、一般の従業員さんと役員さんでその意味が違う、という点は御存じですか?
一般の従業員さんのお給料やボーナスは、原則として会社の費用(法人税法上は「損金」と言います)になるので法人税を減らせるのですが、役員さんはそうはいかないのです。
役員さんのお給料については大きく3つの注意点があるので、是非ご注意ください。

2.(注意点その1)役員のお給料は「原則経費ではない」
意外なことに、法人税法には「役員のお給料は『原則として』損金(税金の引ける経費)にならない」という驚きの定めがあります。
でも、おかしいですよね。
会社のために働いて、その分がお給料として支払われているので、会社の経費にならないのはどう考えても変です。
実は、会社の経費にするためには、次の3、4についての条件を満たす必要があるのです。

3.(注意点その2)役員のお給料は「定時」「同額」でなければ経費にならない
「原則経費にならない」とされる役員のお給料は、「定時(毎月決まった日など)」に、「同額(金額が変化しない)」支払の場合に限って経費になります。
例えば、毎月25日に100万円のお給料を支払っている方の場合、ある月だけ120万円にしてしまったら、増えた20万円部分が経費にならないのです。
このお給料を全額損金のまま変更できるのは、なんと決算日後3カ月までの間だけ。

役員給与1
増額変更がOKのケース(3月決算の場合)

これ以外の場合は、上で書いたように変化した部分が経費にならないという問題が起こってしまいます。例えば、下記のようなケースの場合、8月以後増やした部分(点線より上)が全部損金にならないのです。

役員給与2
増額
変更がNOのケース(3月決算の場合)

4.(注意点その3)役員のボーナスは、「あらかじめ届け出た金額」から1円でも違えば経費にならない

定時・同額という事ですから、ボーナスはもってのほかです。
出した金額が全て経費にならない、という大変痛い状態となってしまうのです。
但し、決算期末から4カ月以内に「いつ、幾らのボーナスを出す」ことを書いた「事前確定届出」を税務署に出し、その届出通りの支払日、支払金額のボーナスを出した場合に「限り」そのボーナス金額が経費になります。
如何でしたか?
以上の通り、役員さんのお給料については、一般の従業員と非常に大きな違いと注意点があります。
この他にもたくさんの論点がありますので、十分にご注意ください。

 

ダブルで得する「税額控除」

会社の場合でも個人事業の場合でも、特に順調に売り上げや利益を上げている場合には税金(法人税や所得税)の負担が無視できません。
この記事は、その税金を減らすうえで非常に大きなメリットのある「税額控除」という制度を取り上げてご説明します。
中小企業を中心とした企業経営者や個人事業主の皆様は、是非参考になさってください。

1.事業に関する税金の計算方法
我が国の税制は個人事業と法人の制度を完全に分けているのですが、基本的なところは同じです。簡単に言うと、売上などの収入から費用を差し引いた「利益」に対して税金がかかるということになります。
つまり、売上が大きくなったり、費用が下がったりして利益が増えると、その分税金が増えますし、逆もまたしかりということになります。
実際には税金の計算はもう少し複雑で、法人なら「税金を減らさない費用(損金不算入の費用と言います)」があったり、個人の場合は「費用や支出ではないが税金を減らす項目(所得控除といいます)」があったりと、なかなか大変です。

2.税額控除とは
これに加えて、法人税や個人所得税には「税額控除」という制度が用意されています。
この制度は、政策的な目的、例えば設備投資や雇用の拡大、試験研究の実施といった企業活動がなされると、税金を一部免除するというインセンティブを与えるために税金を控除するという形を採っています。

税額控除の仕組
税額控除の仕組み

上記の図をご覧ください。
先に説明した通り、税金はもともと利益に対してかかるものなのですが、その税金から「さらにマイナスができる」という所が税額控除のメリットになります。

3.特別償却との違い
よく似た目的を持った「特別償却」という制度もあります。
この制度も、同じように政策的な目的から設けられているのですが、効果については大きな違いがあります。

設備投資された資産は一度に費用となるのではなく、何年かに渡って分割して費用とされるのですが、その分割年数は法律に基づくルールで定められています。
この特別償却は、そのルールより早く費用とすることで、利益を圧縮し、税金を少なくしようとするものです。
なお政策的な目的が同じですから、特別償却の対象となる資産と、税額控除の対処となるものはほぼ同じとなっています。

税額控除と特別償却の目的は一緒なのですが、効果(税金を減らす)については大きな違いがあります。
特別償却は「費用化を早くする」だけで、トータルの費用額は「買った値段」で変わりません。
しかし税額控除の場合、特別償却よりは遅いものの、費用化額は全体として同じである上に、購入金額に応じた税額控除も受けられることになるのです(ある意味「二重に引ける」ことになります)。
ですから、よほどの理由がない限り、税額控除と特別償却が選択できるなら前者を選ぶべき、ということになります。

4.税額控除の例
税額控除の制度は多く用意されていますが、主なものは下記の通りです。
なお、これらの制度は「個人事業主でも会社でも適用可」となっています。

  • 試験研究費…試験研究費を支払ったり、増加した場合
  • 生産性向上設備投資促進税制…生産性向上設備等を取得した場合
  • 中小企業等投資促進税制…機械等を買った場合
  • 雇用促進税制…人数が増加した場合
  • 所得拡大税制…雇用者給与支給額が増加した場合

5.税額控除の注意点
税額控除を利用する際には、主に下記の点に注意する必要があります。

  • 最初の申告の際、原則「税額控除を利用する」ことを記載した明細を提出しないと、後から適用できることが明らかになっても認めてもらえない(訂正できない)
  • 法人税や所得税の一定割合が限度(極端な話赤字だと適用できない)

如何でしょうか?
これらの制度は、実際には非常に複雑ですので申告書を作る際には税理士などの専門家に必ずご依頼ください。
とはいえ、制度が使えるかどうかについて、経営者が知っておくことは経営判断を行う上で大変重要と思います。
是非ご参考になさってください。

Refund of the consumption tax and the registration for foreign companies

1)Refund of the consumption tax for foreign companies

For registered taxpayers, consumption tax to be paid (except in “simplified deduction” status) is calculated deducting the amount of paid consumption tax from a consumption tax for taxation sales. This deduction is calculated by multiplying “taxation sales ratio” by paid consumption tax(*). Therefore, zero taxation sales makes no tax return because both taxation ratio and deduction are zero.

However, export sales which is treated as a consumption tax exemption is included in taxation sales when taxation sales ratio is calculated. If there is not any other tax-free income (land loan, transfer of securities, bank dividend and so on) in Japan, all of paid consumption tax will be returned theoretically.

The payment consumption tax paid by becoming a taxation enterprise will be returned entirely theoretically if other tax-free incomes (land loan, securities transfer, a dividend) do not occur in Japan.

——————-
(*)If “taxation sales ratio” is more than 95% and taxation sales of the period is not exceeding 500mil Yen, all amount of the paid consumption tax can be deducted.

 

2)Consumption tax registration

“Taxpayer registration” should be filed to the local branch of national tax agency. But when tax return is filed once, they will register as a taxpayer without any registration (practical treatment).

Nonetheless if you want to control the status of consumption tax (Actual amount deduction, simplified deduction, and exemption), taxpayer registration should be filed. For example, “taxpayer registration” should be filed to refund consumption tax paid if taxable sales was less than or equal 10 mil two years ago. And of course the registration is free of charge.