ガーナゴールド詐欺と「尾崎豊の妻」~ポンツィ・スキーム

1.ガーナゴールド詐欺
5年近く前、週刊誌等で取り上げられた「ガーナゴールド詐欺」をご存知ですか?
カカオ豆の産地として有名で、チョコレートの商品名にもなっている「ガーナ」で、金採掘が大ブームだとして投資を集め、途中から分配金を支払わずに逃げる、という典型的な詐欺事件です。

ガーナ

こういった「投資資金として集めた金を配当と偽って支払、さらに人を集める」手法を「ポンツィ・スキーム」と呼びます。
この事件は、「架空の投資話」「新規投資資金を配当に流用した見かけの高利回り」「国会議員、有名経営者、タレント等との関係を強調」といった「ポンツィ・スキーム」の特徴をすべからく備えているのですが、その特徴の一つである「紹介者」に、とても有名な方の名前が挙がってしまいました。
それは、26歳という若さでこの世を去った伝説のシンガー「尾崎豊」の妻、尾崎繁美さんです。

2.紹介者とは
詐欺の被害に気付いた人間が、その詐欺師を友人や知人、親族など大事な関係者に紹介することは絶対にあり得ません。しかし多くの投資詐欺の場合は「騙されている」ことに気づかされないまま、拠出した資金が高利で運用されている、自分は利益を得ていると「思い込まされている」ことがほとんどです。

そうなると、その良いパフォーマンスを身近な人たちにも教えて儲けさせてあげたいという親切心(または「自分がこれだけ儲けている」ことを示したい、若干の自己顕示欲かも知れません)から、詐欺被害を拡大させる手助けをしてしまうのです。また、有名人との(見せかけの)関係や大言壮語からくるカリスマ性などから首謀者に心酔してしまい、宗教的に他人を勧誘してしまうケースも多くあります。

例えば「こんな良い話はない。私も多額の配当を受け取っており、経営者も信頼できる素晴らしい人だ」などと初対面の人間に言われても警戒心ばかりが募ってしまいますが、もし同じことを信頼している知人や尊敬している先輩から言われた場合、人間の心理として警戒心の水準が大きく下がってしまう傾向があります。つまり、「この投資話は大丈夫かどうか」を自分で判断するのではなく「この人が持ってきた話なら大丈夫だろう」と、投資話の内容より普段から付き合いのある、信用できる紹介者の人間性で信じてしまうのです。

3.この事件での役割
当時の雑誌記事によると、出資者の一人は「『良い資産運用があるの』と尾崎繁美さんに誘われ、ガーナでの金採掘事業に投資をしました。本当に大丈夫なのかなと思いましたが、あの尾崎豊さんの奥様が言うなら、と信用したんです。しかし結局、分配金は途中からパッタリと止まり、現在は投資した企業の経営者ともまったく連絡がつかない状況です……」と述べています。当該詐欺の関係者によると、少なくとも数人が、繁美さんの勧誘で投資しているとのことです。

4.ポンツィ・スキームについて
巧妙に仕組まれたポンツィ・スキームは、時に一つのコミュニティを構成してしまうほど大きな影響力を持ち、何の備えもない者(人や会社)にとって抗うことが大変難しい誘いとなり得ます。
だからこそ、これまで多くのポンツィ・スキームが生まれ、また多くの人が騙されてしまったと言えると思います。
ポンツィ・スキームの手口や防止に関する専門家として、下記のような記事を書いています。
他人事と思わず、是非参考にして自己防衛を図ってください。