<はじめに>
7月末、米国ワシントンDCで行われた、不正検査士協会のアニュアルカンファレンスに参加して参りましたので、その内容や感想についてご報告申し上げます。
英語力の貧弱さや、また単身での参加ということもあり、内容が完全に網羅出来ていない点については何卒ご容赦下さい。
<カンファレンスの概要>
1.正式名称
21st Annual ACFE Fraud Conference and Exhibition
2.日程
・プレカンファレンス(25日)
・メインカンファレンス(26~28日)
・ポストカンファレンス(29~30日)
の三部構成となっています。
<参加イベント(25日)>
①受付
大量の資料とバッグ、カップなどのノベルティが渡される。
②Pre Conference
メインカンファレンスに先立ち、プレカンファレンスが行われました。
プレカンファレンスは、「デジタル・フォレンジクス」と「FCPA(米国腐敗防止法)」の2テーマです。私は後者を選んだのですが、以前この勉強会で研修して頂いた知識が基本にありましたので、ある程度スムーズに聞くことができました。FCPAの制度、ペナルティの説明や事例、また海外での不正をどのように防止・発見するか、その場合のフィーなどについても、参加者と講師との間で活発な議論がありました。
③ウェルカムパーティ
プレカンファレンス後、コンベンションホールでウェルカムパーティが行われました。イベントとしてスピーチなどあるのかと思ったのですが、単なる立食パーティ的な感じで、何となく始まってなんとなく終わっていました。
ただ、ホールにはいくつものブースが設けられ、不正調査や防止に関連したツールやサービスの展示、リクルートなどを目的とした様々な企業が出展していました。出来るだけたくさんのブースに立ち寄って担当者に話を聞いたり、パンフレットやノベルティをもらったりと積極的に活動してみましたが、やはりこの分野に関する米国市場の厚みを感じました。
<参加イベント(26~28日)>
①オープニングセレモニー
こういう儀式は特に皆さん好きなんだろうなぁと思います。各参加国の旗を持って行進し、壇上に立てていくというFlag Processionが荘厳に行われました。集合場所を間違っていて危うかったのですが、後述の石原さんのおかげでなんとか参加することができました。
②メインカンファレンス
それぞれのトラックごとに6セッション(一部のセッションは同内容が二回実施あり)が用意されています。これらのセッションは内容のレベルによって「ベーシック」と「インターミディエイト」に分類されています。これらの中から、26,27日は3講座、28日は2講座の計8講座を選択することになっています。
また、それぞれのセッションの間、朝や昼に食事をしながらの講演も用意されています。
<Track A>
Eyes Wide Open: Fraud Awareness, Prevention and Detective
不正の認識、防止、発見
(受けたもの)
・Things That Most Auditors Don’t Do Well
監査人が調査を実施する上で、不正を発見するために効果的となる重要な業務、例えばウォークスルーや調査対象現場への立ち入りなどは十分に行われていません。これらについて、実例を挙げながら説明がありました。話の中で「現在プロフェッショナルスタンダードとして求められていなくても、状況によってはそれ以上のことをすべきである」と強調していた点については大変印象に残りました。
<Track B>
Taking Action: Fraud Detection, Investigating and Resolution
不正の発見、調査、解決
(受けたもの)
・Fraud Investigations: What Not To Do
「不正調査でやってはならないこと」と題して、不正調査の失敗事例を中心に、契約時の利益相反からインタビュー、文書作成や陪審への対応などまで幅広く説明していました。
・The Best of Crimes, the Worst of Crimes: Fraud Stories that Prove the Truth is in the Transactions
テキストマイニングなど、取引データの詳細な分析によって不正を発見する手法について細かく説明がありました。一定のキーワードを含むメールから不正取引をあぶり出したり、日報データと旅費データの比較を行ったりと、日本でも使えそうな項目が多く提示されていました。
・Lessons Learned from Examining The Oversight of Ponzi Schemes
マドフ事件についてSECの調査を担当したデービッド・コッツ監察官が、マドフ事件や同様のポンツィスキームであるアレン・スタンフォード事件について説明しました。ただ、このセッションだけはレジュメが事前に発表されておらず、ぼそぼそと早口なしゃべりだったため細かい点まで聞き取れなかったのが残念です。
次回に続く