<参加イベント(26~28日)> 続き
<Track C>
Knowing What You Do Not Know: Emerging Trends and Issues
最近のトピック
<Track D>
Finding and Fighting Fraud Through Auditing
監査における不正対応
<Track E>
The Impact of Technology in the Fight Against Fraud
不正との闘いにITが与える影響
(受けたもの)
・ The First Eleven Places You Look When Investigating on the Internet
ネット上で調査をするにあたって便利なツールや、インターネットサイト、及びその使い方を紹介していました。グーグルなど日本で既にメジャーなものもありましたし、SNSのバックドア検索や企業情報検索など初耳なツール・サイトもあり、大変興味深いものでした。
・ Using Computer Forensics to Prevent and Detect Fraud
これも事前のレジュメがなかったので十分聞き取れないか…と思ったのですが、やはりIT用語はわかりやすくて助かりました。昨今の記憶容量増加がデジタル・フォレンジクスに与える問題や、PC調査の際なぜいきなりプラグを抜くか、USBのユニークIDがどこに保存されているかなど実務的な話題を紹介していました。
・ The Monster Fraud List: Developing a Comprehensive Library of Fraud Detection Tests
不正調査のために利用する、不正のトライアングルからみたデータ分析手法についての説明がありました。統計学を利用したり、テキストマイニングを利用したり、不正に利用される単語を使ったEメール分析といったITを高度に利用した手法が紹介されました。SOX法監査は「ルールベース」であるが、不正対応はそれだけでは十分でないという、考えてみれば当たり前の点を強調していたのが印象に残りました。
<Track F>
Coloring Inside the Lines: Compliance and Risk Assessment
コンプライアンスとリスク評価
(受けたもの)
・ Mitigating Risk: A Legal Perspective for Audit and Compliance Departments
本カンファレンスの「プログラム・ディレクター」でもあるブルース・ドリス氏が担当のセッションです。公務員のプライバシーに関する判例、「Honest Services Statute(正直なサービス法?)」という不正に関する法律についての注目の判例、PCAOBの違憲性に関する判例など、不正調査・防止業務に関連する判例を解説していました。ドリス氏の話術はさすがに巧みで、参加者からの質問、議論が最も活発だったのが印象的でした。
<Track G>
Addressing the Legal and Ethical Issues of Fraud
不正の法的、倫理的側面への対応
<Track H>
Identifying and Implementing Best Practices
ベストプラクティスの認識と準備
<Track I>
Learning the Hard Way: Case Studies
ケーススタディ
<Track J>
No Unique Problems: International Anti-Fraud Efforts
国際的な不正対応の努力
<Track K>
Exhibitor Education and Presentations
展示企業のセミナー・プレゼンテーション
<Keynote Speakers>
朝食時や昼食時には、大会場に参加者を集めて講演がありました。事前のレジュメが手に入らなかったので細部まで内容が理解出来なかったのは残念ですが、それでも相当興味深い話が多くありました。詳細についてはACFEジャパンのページに日本語のレポートがありますのでまたご覧下さい。
・ Working Lunch(26日)
サブプライムローンなどの金融危機を解決するため、金融安定化法の一環としてTARP(Troubled Asset Relief Program)という制度が出来ました。これは、一種の公的な不良資産買取制度です。
スピーカーのニール・バロフスキー氏は、このTARPを悪用して公的資金を不正に取得することを防ぐ「Special Inspector General of TARP」に所属しています。この中で、TARPに関連する不正調査に従事した業務経験について話がありました。
・ General Session(27日)
スピーカーのアービング・ピカード氏は大規模なポンツィ・スキームによる不正を行ったマドフ事業の破産管財人を務める弁護士事務所のパートナーです。このセッションにおいては、破産管財人としてどのように不正を暴き、資金の流れを解明し、回収し続けているかについての話がありました。
・ Working Lunch(27日)
スピーカーのジェームズ・T・リース博士は、25年に渡りFBIに勤め、犯罪者プロファイリングなどを行ってきました。この後コンサルティング会社を設立し、現在に至っています。冗談も多くてかなり聴き取りにくかったのですが、CFEがどのような姿勢を持ち、常に高いレベルのスキルを求めなければならないかについての話がありました。
・ General Session & Closing(28日)
締めのスピーチとして、ジャスティン・ペーパニー氏による講演がありました。ペーパニー氏はUBSやメリルリンチ、ベアスターンズなどで証券投資を行っていたブローカーです。顧客からのパフォーマンス要求により、誘惑に負けてポンツィ・スキームによる不正に手を染めてしまったことや、逮捕、収監、そして現在の困難などの生々しい話がありました。
ACFE年次総会は毎年、総会の最終日の基調講演として、不正行為によって逮捕・収監された者をスピーカーとして招いています。このスピーカーには報酬は支払われませんが、何らかの犯罪者更正プログラムの一環なのではないかと思います。
< 参加イベント(その他)>
3)その他
①表彰式が非常に多い
・ クリフ・ロバートソン・センティネル・アワード
・ チャプターオブザイヤー
・ チャプターニュースオブザイヤー
・ リサーチコミュニティサービス賞
・ CFEテスト最高点賞
・ エデュケーターオブザイヤー
などなど…
②エキシビション
・ 40以上の企業、大学、団体などが展示、セミナー実施
・ LexisNexisなど日本サービス提供している企業(私は知りませんでしたが)もありますが、ほとんどはあまりまだ日本で知られていない会社ばかりでした。
・ ただ、各々の企業が提供するサービスは、法律や文化の違いはあっても、近々に必要になると感じられるものばかりでした。
例:新日鐵ソリューションとNorkom Technologies(アイルランド)の提携など
・ その他、リクルーティングを目的にしたものや、キャリアアップのための大学のブースなどもありました。
③朝食
カンファレンス期間中は、毎日エキシビションホールで朝食が用意されます。立食のビュッフェ形式でたくさん用意されているのですが、やはりというか味はそれなり…でした。会話にもあまり自信はありませんが、出来るだけいろんな方と話すように心がけてみました。
お話出来た方のうち、興味深かったのは、
・ ホワイトカラー犯罪対策コンサルタント
ニュースレター「White Collar Crime Fighter」を発行していたので、一部もらってきました。
日本の中小企業経営者が不正や不正リスクにフォーカス出来ておらず、不正リスクマネジメントや調査、防止業務が伸びにくい旨の話をしたのですが、程度の差こそあれアメリカでも中小企業経営者は同じ問題を抱えているとのことでした。
・ フロリダにある会計事務所のパートナー会計士
「マドフの会計士を知っているか」と聞いてみたのですが、フロリダだけでも会計士は多すぎて全く知らないとのことでした。
・ 「オランダ領アンティル」(カリブ海の島国)からの参加者
政府関連の仕事をしているとのことでしたが、イマイチ理解できていません。
余談ですが、この国は「日本のシンドラー」と呼ばれた杉浦千畝がリトアニアで発行した大半の通過ビザにおいて最終目的地とされていたそうです。
4)アフター5
いきなり日本語で話しかけられたと思ったら「リソース・グローバル(NY)」で働いておられる岩田潤さん(CPA/CFE)でした。高校から海外経験の長い岩田さんは、ご両親が日本におられたり国籍が日本のままではあったりするものの、それ以外はいわゆる日本人とはかけはなれた生活や考え方なのが印象的でした。
D-Quest脇山社長、石原さん、今村さんには途中でお会いできたのですが、26,27日の夜は岩田さんも合流して楽しい飲みとなりました。海外の場合一人ではさすがに遅くまで飲みに出ないのですが、数日ぶりの日本語でずいぶん楽しくリラックスさせて頂きました。
次回に続く